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246761 日本が貿易立国という誤解~内需大国たる本当の姿をデータに基づき検証

2011年03月08日 | 経済破局か?市場の軟着陸は可能か?
246761 日本が貿易立国という誤解~内需大国たる本当の姿をデータに基づき検証
 
猛獣王S HP ( 不惑 営業 ) 11/03/06 PM06 【印刷用へ
『日本が貿易立国という誤解』(経済コラムマガジン)リンクより転載します。
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●データに基づく検証

 ~中略~

貿易に関する経済数値の推移(単位:兆円、%)

年  名目  名目   実質  輸出額 輸入額 純輸出 設備
(暦年) GDP 成長率 成長率          額  投資率

57  10.9  15.1   6.5  1.0   1.5  ▲0.5  15.4
58  11.5   6.2   7.3   1.0  1.1  ▲0.1  14.0
59  13.2   14.2   9.3  1.2  1.3  ▲0.1  14.9
60  16.0  21.3  13.3  1.5  1.6  ▲0.2  18.2
61  19.3   20.7  11.9   1.5   2.1  ▲0.6  20.2
62  21.9   13.4   8.6  1.8   2.0  ▲0.3  19.2
63  25.1   14.4   8.8  2.0  2.4  ▲0.5  18.1
64  30.0   17.5  11.2   ー   ー    ー  18.3
65  32.9   11.3   5.7  ー   ー   ー  15.7
66  38.2   16.2  10.2   3.4  2.7   0.8  15.8
67  44.7   17.2  11.1  3.7  3.3   0.4  17.8
68  53.0   18.4  11.9   4.6  3.7   0.9  18.7
69  62.2   17.5  12.0   5.6  4.3   1.3  20.2
70  73.3   17.9  10.3   6.8  5.4   1.4  21.0
71  80.7   10.1   4.4   8.2  5.5   2.7  19.0
72  92.4   14.7   8.4   8.5  5.8   2.7  17.5
73  112.5   21.8   8.0   9.8  8.8   1.0  18.5
74  134.2   19.1  ▲1.2  15.9  15.5   0.5  18.4
75  148.3   10.6   3.1  16.3  14.8   1.5  16.4
76  166.6   12.3   4.0  19.6  16.6   2.9  15.1
77  185.6   11.5   4.4  21.1  16.6   4.6  14.1
78  204.4   10.1   5.3  20.0  14.8   5.2  13.7
88  381.6   7.3   6.5  33.4  21.6   11.8  17.6
98  515.8  ▲1.1  ▲1.1  48.9  32.9   16.0  15.5
01  506.1  ▲1.1  ▲0.2  46.5  38.1   8.5  15.5


●日本の本当の姿は内需大国

まず日本経済の高度成長期というものが一体どの時代を指すのかが議論の対象になる。以前は、60年の日米安保改定以降(所得倍増論の池田首相の登場)から64年の東京オリンピックまでが高度成長期であったいうのがほぼ定説であった。しかし時代が下って低成長が当り前になってからは、73年のオイルショックまでは高度成長期であったという意見が強くなったと筆者は感じる。

筆者も少なくとも70年までは、日本経済は高度成長であったと考える。ただ成長パターンが64年以前と以降では変わったと見られる。もし高度成長期を二つに分けるなら、60年から64年までが前期であり、それ以降から73年までが後期と呼べるであろう。

高度成長期の60年から64年までは本当に経済が成長していた時代である。今日の新興国以上の経済成長率を日本は実現していた。この期間の設備投資率は18~20%程度を維持しており、これが乗数効果によって所得を増やし、総需要を拡大させた。またこの旺盛な設備投資が一方で生産力を産み、総需要の増大に対応した(投資の二面性)。つまりこの時代の日本経済は、供給サイドの成長理論がある程度適応できる形であった。

しかしこの時代、輸出のGDP比率はずっと7~9%であり、輸出が日本経済をリードしていたという印象は薄い。特に輸出額から輸入額を差し引いた純輸出額は毎年マイナスで推移していた。輸出は自生的であり独立的であるのに対して、輸入は所得の従属関数と言える。

つまり爆発的に経済が成長しGDPが拡大したため、むしろ輸出以上に輸入が伸びていたのである。この時代の輸出品は水産物や繊維製品のような軽工業品が中心であった。一方、電機・自動車・機械・化学品・素材といった今日の主力輸出製品の国際競争力は弱かった。

当時の円は360円の固定相場であったが、この360円という為替レートは日本にとって高すぎるレートであった。できるなら今日の中国のように円を1,000円くらいに切下げたいところであった。また純輸出額がマイナスということが示すように、この時代、日本は慢性的な外貨不足に泣いていた。首都高も3車線にしたかったが、金がなかったので2車線で建設した(オリンピックに間に合わせるため新幹線と首都高は世銀からの借金で建設)。

したがって景気が良くなり輸入が増えると、緊縮財政と金融引締めを行って景気の過熱を冷ましていた。このように日本の高度経済成長期の前期においては「昔から日本経済は輸出によって経済成長を実現してきた」というセリフは全くあてはまらない。

局面が変わったのは64年の東京オリンピック以降である。したがって肝心な64年と65年の輸出額、輸入額が見つけられないことが残念である。しかしこの辺りで日本の経済の体質が変化したことは確かであろう。また東京オリンピックを成功させ、日本の国際的評価も上がり、日本人は自信を取戻しつつあった。

日本製品の国際競争力は向上した。筆者はこの背景に60~64年の活発な設備投資(GDP比18~20%)があったと見ている。投資によって世界の最先端の設備が導入されたのである。またオリンピックの翌年からの不況(この年株価が大暴落し山一証券の破綻の瀬戸際で日銀特融が実施された)が輸出を促進させたと考える。

次は「日本は貿易立国であり、輸出が日本経済の命運を握っている」というセリフを検証する。たしかに東京オリンピックを境に、輸出はある程度伸び、貿易収支は黒字化した。しかし輸出のGDP比率はだいたい7~9%である。上記の表で10%を少し超えたのは71年と74~77年ぐらいである(昔から設備投資のGDP比率の方がずっと大きくまた変動も大きい)。

日本の輸出が伸びるのは、決まって日本の景気が後退した時である。71年にはニクソンショックがあり、74~77年はオイルショックと日本列島改造ブームの崩壊による景気低迷が続いた。またこれらの前にもGDP比18~20%といった大きな設備投資ブームがあった。つまり過剰な設備投資の余剰生産物のはけ口が輸出であった。そしてこれらの年はおしなべて経済成長率は小さい。つまり輸出は日本経済の下支えになっているが、経済を牽引しているということはない。

また常に無視されているのが、日本の輸出のGDP比率が韓国や中国に比べずっと小さいという事実である。中国の比率は25%ぐらいであり、韓国にいたっては35~50%と言われている。これらの国が本当の貿易立国である。日本は加工貿易国であり貿易黒字国であるが、決して貿易立国ではない。むしろ日本の本当の姿は米国に次ぐ内需大国である。何も知らないマスコミ人や政治家、そしてデータを見ようとしないエコノミストや経済学者がとんだ誤解をしているのである。

 ~後略~
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