226734 中国はなぜ342億ドルの米国債をだまって売り抜けたか?~日本が再び米国債保有No.1に
猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/02/18 PM10
『日本は「やっぱり信頼できる同盟国」? 米国債保有ナンバーワンに返り咲いて 中国はなぜ342億ドルの米国債をだまって売り抜けたか?』(宮崎正弘の国際ニュース・早読み)リンクより転載します。
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米財務省は09年12月統計での外国の米国債保有リストを発表した。なかでも中国が342億ドルを売り抜けて保有を劇的に減らしたことが明るみに出たため債券市場に少なからぬ衝撃を与えた。
「動機は政治的圧力に決まっている」とするアナリストは米国に多い。「チベット、人権、台湾への武器輸出、そしてグーグル問題と米中間に立て続けにおきた難題解決のため北京はワシントンへ圧力をかける政治的武器にした」(アルジャジーラ、2月17日)
米財務省が国別の米国債保有の詳細を発表したのは16日、英国フィナンシャルタイムズなどは、この「事件」を大きく報じた(17日付け)が、日本のマスコミは反応が鈍い。英誌FTは「中国が昨年師走に342億ドルもの米国債を売却したのは、ドル下落傾向を見込み、同時に米国の予算の赤字が肥大化することをふまえての行為だろう」とした。
ちなみに2009年12月末の米国債権保有は
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1)日本 7686億ドル
2)中国 7554
3)イギリス 3025
4)産油国 1868
5)カリブ海 1847
6)ブラジル 1606
7)香港 1529
8)ロシア 1185億ドル
となって日本が首位に返り咲いた。
(注 上表のうち「イギリス」の統計にはマン島、チャネル諸島などオフショアを含む。「産油国」のカテゴリーにはサウジ、UAE、バーレンのほか、エクアドル、ベネズエラ、イラン、イラク、クエート、オーマン、カタール、アルジェリア、リビア、ガボンを含む。また「カリブ海」とはいわゆる“タックスヘブン”でバハマ、バミューダ、ケイマン、パナマ、オランダ領アンチレス群島に英国領バージン諸島も含む)。
▲「産油国」と「カリブ金融機関」の謎
謎は幾らでもあるが、まず「カリブ」に区分けされた英領バージン諸島はたった1ドルで会社の設立登記ができるペーパーカンパニーの本場である。ここにはあちこちに弁護士事務所があり、香港籍の企業が二万社以上登録されている。何をしているのか曖昧、責任者は殆どが外国人。
しかも英領バージン諸島に登記された企業の多くが中国共産党幹部のダミーと見積もられている。香港とカリブ海は同期間に合計で50億ドルほど米国債保有を「増やして」いる。
つぎに「中国はドルの下落をみこしてドル建て財産を減少させ、ほかの通貨へとシフトさせる分散投資の一環であり、政治性はない」という見方(ウォールストリートジャーナル、2月17日付け)。
「全体では342億ドルを減らしたが、同期間に長期債のほうは46億ドル分も増やしている。つまり短期証券を売却したが長期債を買い増ししたのであって、賢い投資に切り替えただけ」(市場関係者)。
「ユーロの下落を目撃し、いま現在は再びドル資産にもどしているはずであり、心配の必要はない」(ファンドマネージャー)。
とはいえ「中国が米国債権保有で世界という絶頂時点から、すでに合計で461億ドルを減らしている。中国が米国債を購入するという財政的余裕が出て、本格参入した2000年は790億ドルに過ぎなかった(現在の台湾がちょうど790億ドル)のであり、それが2009年五月は8015億ドルに達していた」(ウォールストリートジャーナル、同日)。
▲中国は政治的意図で市場を攪乱する実力を身につけた
中国が340億ドル分の米国債を市場で売り抜いた同時期に日本は110億ドル分を増やしたため、世界一に返り咲いたのだが、おりしもワシントンで始まったチャイナ・バッシングの風に乗って、「やっぱり日本は鳩山反米政権と雖も同盟国なんだ」という妙な解釈もまかり通っている。
市場の現場から言えば、日本が購入しているとは言っても、それは政府ではなく、民間の機関投資家であり、金融機関であり、つまりは金利が安くて魅力ある投資対象が日本国内にない限り、資産運用を金利の高い、リスクの少ない米国債権で運用するのはファンドマネージャーとしては当然の行為に過ぎない。
中国はこの点で購入しているのは中国の国有金融機関と国有ファンドであり、政府の意図がまるまる働いている。換言するなら中国はある時、命令一下、突如大量に売りに走り、市場の暴落を企図しての政治的行為にでた場合、その保有額から言っても世界債券市場と金利相場をガタガタに攪乱する実力を身につけたのだ。この事実を西側は知っておいたほうが良いだろう。
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猛獣王S ( 30代 営業 ) 10/02/18 PM10
『日本は「やっぱり信頼できる同盟国」? 米国債保有ナンバーワンに返り咲いて 中国はなぜ342億ドルの米国債をだまって売り抜けたか?』(宮崎正弘の国際ニュース・早読み)リンクより転載します。
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米財務省は09年12月統計での外国の米国債保有リストを発表した。なかでも中国が342億ドルを売り抜けて保有を劇的に減らしたことが明るみに出たため債券市場に少なからぬ衝撃を与えた。
「動機は政治的圧力に決まっている」とするアナリストは米国に多い。「チベット、人権、台湾への武器輸出、そしてグーグル問題と米中間に立て続けにおきた難題解決のため北京はワシントンへ圧力をかける政治的武器にした」(アルジャジーラ、2月17日)
米財務省が国別の米国債保有の詳細を発表したのは16日、英国フィナンシャルタイムズなどは、この「事件」を大きく報じた(17日付け)が、日本のマスコミは反応が鈍い。英誌FTは「中国が昨年師走に342億ドルもの米国債を売却したのは、ドル下落傾向を見込み、同時に米国の予算の赤字が肥大化することをふまえての行為だろう」とした。
ちなみに2009年12月末の米国債権保有は
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1)日本 7686億ドル
2)中国 7554
3)イギリス 3025
4)産油国 1868
5)カリブ海 1847
6)ブラジル 1606
7)香港 1529
8)ロシア 1185億ドル
となって日本が首位に返り咲いた。
(注 上表のうち「イギリス」の統計にはマン島、チャネル諸島などオフショアを含む。「産油国」のカテゴリーにはサウジ、UAE、バーレンのほか、エクアドル、ベネズエラ、イラン、イラク、クエート、オーマン、カタール、アルジェリア、リビア、ガボンを含む。また「カリブ海」とはいわゆる“タックスヘブン”でバハマ、バミューダ、ケイマン、パナマ、オランダ領アンチレス群島に英国領バージン諸島も含む)。
▲「産油国」と「カリブ金融機関」の謎
謎は幾らでもあるが、まず「カリブ」に区分けされた英領バージン諸島はたった1ドルで会社の設立登記ができるペーパーカンパニーの本場である。ここにはあちこちに弁護士事務所があり、香港籍の企業が二万社以上登録されている。何をしているのか曖昧、責任者は殆どが外国人。
しかも英領バージン諸島に登記された企業の多くが中国共産党幹部のダミーと見積もられている。香港とカリブ海は同期間に合計で50億ドルほど米国債保有を「増やして」いる。
つぎに「中国はドルの下落をみこしてドル建て財産を減少させ、ほかの通貨へとシフトさせる分散投資の一環であり、政治性はない」という見方(ウォールストリートジャーナル、2月17日付け)。
「全体では342億ドルを減らしたが、同期間に長期債のほうは46億ドル分も増やしている。つまり短期証券を売却したが長期債を買い増ししたのであって、賢い投資に切り替えただけ」(市場関係者)。
「ユーロの下落を目撃し、いま現在は再びドル資産にもどしているはずであり、心配の必要はない」(ファンドマネージャー)。
とはいえ「中国が米国債権保有で世界という絶頂時点から、すでに合計で461億ドルを減らしている。中国が米国債を購入するという財政的余裕が出て、本格参入した2000年は790億ドルに過ぎなかった(現在の台湾がちょうど790億ドル)のであり、それが2009年五月は8015億ドルに達していた」(ウォールストリートジャーナル、同日)。
▲中国は政治的意図で市場を攪乱する実力を身につけた
中国が340億ドル分の米国債を市場で売り抜いた同時期に日本は110億ドル分を増やしたため、世界一に返り咲いたのだが、おりしもワシントンで始まったチャイナ・バッシングの風に乗って、「やっぱり日本は鳩山反米政権と雖も同盟国なんだ」という妙な解釈もまかり通っている。
市場の現場から言えば、日本が購入しているとは言っても、それは政府ではなく、民間の機関投資家であり、金融機関であり、つまりは金利が安くて魅力ある投資対象が日本国内にない限り、資産運用を金利の高い、リスクの少ない米国債権で運用するのはファンドマネージャーとしては当然の行為に過ぎない。
中国はこの点で購入しているのは中国の国有金融機関と国有ファンドであり、政府の意図がまるまる働いている。換言するなら中国はある時、命令一下、突如大量に売りに走り、市場の暴落を企図しての政治的行為にでた場合、その保有額から言っても世界債券市場と金利相場をガタガタに攪乱する実力を身につけたのだ。この事実を西側は知っておいたほうが良いだろう。
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