203005 銀行がつぶれても誰も困らない!?~ダメな金融機関をつぶしてよい理由
猛獣王S ( 30代 営業 ) 09/03/27 PM06
『ダメな金融機関をつぶしてよい理由』(大前研一氏)リンクより転載します。(長文ですのでかなり部分的な転載)
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~前略~
銀行にとって資本金というものはそれほど意味がない。預金者から金を集め、そこから貸し出して運用する。そして少々の額を手元に残しておくのが銀行の経営のあり方だ。例えば10兆円集めたら、9兆5000億円ほど貸し出しに充当し5000億円ほどは手元に残しておくという格好である。銀行にとっての資本金はいざというときの蓄えにすぎないのだ。
したがって、貸し出した金が焦げ付いた、いわば「腐ってきた」からといって、そこに公的資金を注入する(しかも資本金へ注入する)というのは一番駄目なやり方である。資本金とは金融機関が持っているアセット(資産)の数十分の一のものであるにすぎないからだ。公的資金の「資本金への」注入を人体に例えて言うなら、大量出血していて壊死した部位があるときに、それを切り離すこともなく、ひたすら基礎体力をつけようとしているようなものなのだ。
では、正しい処置とはどういうものか。もちろん、わたしがかねて述べている「流動性機構」による対策が最も正しい。だが銀行に対して個別の「対症療法」を行うとしたらどうだろうか。手順としては、貸し出した金が「腐って」きたらそれを処理するのが順当である。そこで、いっそ銀行自体がつぶれてしまってもかまわないとわたしは思う。なぜなら銀行がつぶれて誰かが困るということはまずないからだ。
~中略~
銀行がつぶれたとして、やることはなにか。ペイオフを行い、払うものを払うだけである。その際にFDIC(連邦預金保険公社)による処理があり、それでも不足なら公的資金注入などが挙がってくるのだ。「××銀行がつぶれそうだから救おう」と言ったところで生き残ることはまずない。先述のとおり、日本ではあおぞら銀行や新生銀行を立ち上げて延命を図ったところで、それらは「死に体」をさらしているのである、
わたしに言わせれば、駄目な銀行は国家による救済を行わずに、そのままつぶすべきである。つぶれても仕方ないという覚悟があれば、どの銀行も自助努力をするはずなのだ。日本の大銀行もつぶれてしかるべきだったのに延命「させられて」しまった。これは非常に悪い事例であると思う。先に「いっそのことAIGも含めて一回つぶしてしまえばよいのではないか」と述べたのはこういう理由からである。
つぶれても仕方ない銀行が延命させられたうえで、現在やっていることは何だろうか。銀行は大きくなりすぎて威張るようになり、なんのサービスもしなくなった。コンシューマーに対しては傘下の「サラ金」を通じて金を借りろと言い、中小企業に対してはまったく貸し出しをしない。一方、金融庁の審査が甘かったファンドには野放図に金を出し、これが今、昔のノンバンクに対する貸し付けのように腐ってきている。まともな個人や法人には金を貸さないのが日本の生き残った大銀行ということになる。3月の終わりは決算期。今週は困る企業が続出して大変なことになるだろう。
こういう状況であるにもかかわらず、銀行マンは、レイオフ(一時解雇)されることもほとんどないし、給与も日本で最高レベルのものを得ている。彼らは本来なら日本で最低レベルの給与になっても、自行がつぶれる寸前までがんばらなければならない立場であるのに、そうはしないでいる。預金者の金を守りもせず、日本の金融を支えるための努力も惜しんでいる有り様だ。その一方で経営が破綻すれば国に救済を求めるのである。なんたる虫のよさであろうか。
~中略~
今の世の中を見ていると、銀行を恨みながら倒産していく企業は不動産業界をはじめ山のように出てきている。いっそのこと江戸時代の米騒動よろしく、銀行への焼き討ちでも起こったらいいとわたしは思っている。わたしとて本当はこんな物騒なことは言いたくないが、今の政府は銀行には至れり尽くせりで、ノンバンクは上限金利でつぶすつもりだし、不動産会社は結局明治以来の財閥の名前の付いたところしか(つまりは系列の銀行を持つところしか)生き残れない状態になっている。大銀行の「のほほん」とした状況を許せないとしている人々は少なくとも実業界には多いのは事実だ。
~後略~
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猛獣王S ( 30代 営業 ) 09/03/27 PM06
『ダメな金融機関をつぶしてよい理由』(大前研一氏)リンクより転載します。(長文ですのでかなり部分的な転載)
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~前略~
銀行にとって資本金というものはそれほど意味がない。預金者から金を集め、そこから貸し出して運用する。そして少々の額を手元に残しておくのが銀行の経営のあり方だ。例えば10兆円集めたら、9兆5000億円ほど貸し出しに充当し5000億円ほどは手元に残しておくという格好である。銀行にとっての資本金はいざというときの蓄えにすぎないのだ。
したがって、貸し出した金が焦げ付いた、いわば「腐ってきた」からといって、そこに公的資金を注入する(しかも資本金へ注入する)というのは一番駄目なやり方である。資本金とは金融機関が持っているアセット(資産)の数十分の一のものであるにすぎないからだ。公的資金の「資本金への」注入を人体に例えて言うなら、大量出血していて壊死した部位があるときに、それを切り離すこともなく、ひたすら基礎体力をつけようとしているようなものなのだ。
では、正しい処置とはどういうものか。もちろん、わたしがかねて述べている「流動性機構」による対策が最も正しい。だが銀行に対して個別の「対症療法」を行うとしたらどうだろうか。手順としては、貸し出した金が「腐って」きたらそれを処理するのが順当である。そこで、いっそ銀行自体がつぶれてしまってもかまわないとわたしは思う。なぜなら銀行がつぶれて誰かが困るということはまずないからだ。
~中略~
銀行がつぶれたとして、やることはなにか。ペイオフを行い、払うものを払うだけである。その際にFDIC(連邦預金保険公社)による処理があり、それでも不足なら公的資金注入などが挙がってくるのだ。「××銀行がつぶれそうだから救おう」と言ったところで生き残ることはまずない。先述のとおり、日本ではあおぞら銀行や新生銀行を立ち上げて延命を図ったところで、それらは「死に体」をさらしているのである、
わたしに言わせれば、駄目な銀行は国家による救済を行わずに、そのままつぶすべきである。つぶれても仕方ないという覚悟があれば、どの銀行も自助努力をするはずなのだ。日本の大銀行もつぶれてしかるべきだったのに延命「させられて」しまった。これは非常に悪い事例であると思う。先に「いっそのことAIGも含めて一回つぶしてしまえばよいのではないか」と述べたのはこういう理由からである。
つぶれても仕方ない銀行が延命させられたうえで、現在やっていることは何だろうか。銀行は大きくなりすぎて威張るようになり、なんのサービスもしなくなった。コンシューマーに対しては傘下の「サラ金」を通じて金を借りろと言い、中小企業に対してはまったく貸し出しをしない。一方、金融庁の審査が甘かったファンドには野放図に金を出し、これが今、昔のノンバンクに対する貸し付けのように腐ってきている。まともな個人や法人には金を貸さないのが日本の生き残った大銀行ということになる。3月の終わりは決算期。今週は困る企業が続出して大変なことになるだろう。
こういう状況であるにもかかわらず、銀行マンは、レイオフ(一時解雇)されることもほとんどないし、給与も日本で最高レベルのものを得ている。彼らは本来なら日本で最低レベルの給与になっても、自行がつぶれる寸前までがんばらなければならない立場であるのに、そうはしないでいる。預金者の金を守りもせず、日本の金融を支えるための努力も惜しんでいる有り様だ。その一方で経営が破綻すれば国に救済を求めるのである。なんたる虫のよさであろうか。
~中略~
今の世の中を見ていると、銀行を恨みながら倒産していく企業は不動産業界をはじめ山のように出てきている。いっそのこと江戸時代の米騒動よろしく、銀行への焼き討ちでも起こったらいいとわたしは思っている。わたしとて本当はこんな物騒なことは言いたくないが、今の政府は銀行には至れり尽くせりで、ノンバンクは上限金利でつぶすつもりだし、不動産会社は結局明治以来の財閥の名前の付いたところしか(つまりは系列の銀行を持つところしか)生き残れない状態になっている。大銀行の「のほほん」とした状況を許せないとしている人々は少なくとも実業界には多いのは事実だ。
~後略~
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