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179902 インフレは来ない?“商品価格高騰”の先に見えるデフレの脅威

2008年06月25日 | 経済破局か?市場の軟着陸は可能か?
179902 インフレは来ない?“商品価格高騰”の先に見えるデフレの脅威
  猛獣王S ( 30代 営業 ) 08/06/25 PM01


『インフレは来ない?“商品価格高騰”の先に見えるデフレの脅威』(原田武夫の『国際政治経済塾』)より転載します。
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 ~前略~

「確かに一部の穀物価格は騰がっているし、原油価格も騰がっています。でも、これって実際の需要供給バランスによるものっていうよりも、むしろ先物取引によって吊り上げられているのですよ。したがって、投機的売買が逆向きに行われるようになれば、たちまち値崩れします。インフレは脅威じゃないですね」。

 ~中略~

今の「インフレ脅威論」は、原油や穀物の価格高騰を原因に挙げるが、これらをめぐっては、投機的売買がかなり大きな意味合いをもっていることは、もはや自明の理なのである。そして投機的売買は、必ず値崩れを起こす。なぜなら「空売り(ショート)」の方が短期間でより多くの利益を生み出すからだ。

つまり、「下げのための上げ」なのである。これを語らずして、無分別なインフレ脅威論を語る者には、次のように問いかけるべきなのだ。「アナタ、一体、そんなに騒いで何を狙っているのですか?」と。

 ~中略~

現在のマーケットは単純な構図で描き出せるものではない。それなのに簡単な絵柄で説明を試みようとする向きは、明らかに何かを隠ぺいし、あるいはどこかに誘導しようとする悪意を持っていると思って間違いない。

この「インフレ脅威論」についても同じである。よくよく考えてみれば、サブプライム問題とは不動産価格の下落、すなわち“資産価格の調整”によって米国で生じているものなのだ。価格の下落がここまで大幅に起こっているというのに、それでもなお「インフレだ」と騒ぐのにはそもそも無理がある。

そこで持ち出されたのが、実需とは関係なく、「上げる時は上げる、下げる時は下げる」ための道具立てとしての商品先物取引なのであろう。百歩譲って、それにより“インフレ傾向”が演出されているとしても、気になるのは“その次”ではなかろうか。

この観点で大変気になる報道を最近見つけた。「インフレよりも、むしろデフレこそ、間もなく私たちの心配材料となるであろう」という記事である(6月16日付英デイリー・テレグラフ参照)。これによればまず、現在の状況を石油ショックのあった70年代と単純に比較するのは全くの誤りなのだという。

なぜなら、後者では石油国有化といった実際の需給バランスを大きく揺るがす出来事があったのに対し、前者ではあくまでも“価格高騰”は商品先物取引によって誘導されているに過ぎないからである。

さらにいうと、現在すでに各国の中央銀行たちは一斉に「インフレ退治」に乗り出しつつある。本来、サブプライム問題を背景とした景気減退を恐れ、金利を引き下げることで景気浮揚を図るべきなのであろうが、これがインフレを加速させてしまっていると叫ばれている。そのため、欧米ではもはや「インフレ退治のための金利引き上げ」が秒読みとまで言われつつあるのだ。

仮にこれが徹底して行われたとすると、そもそも“価格高騰”が商品先物取引という仕掛けによって支えられているに過ぎない分、あっという間に価格は急降下することであろう。すると、そこに見えるのはインフレではなく、むしろ深刻な「デフレ」なのではないだろうかというのである。

 ~後略~
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