Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

Campagnolo SHAMAL ハブのグリスアップと調整

2011-08-24 20:27:01 | 自転車整備 ハブ
すでに数回記事が続いている Canpagnolo SHAMAL カンパニョーロのホイール
シャマル 今回は新しいグリスを入れ組み立て調整の 最終作業を行います
多くの写真を使いその作業手順をご覧頂きます





カンパニョーロの完組みホイール Shamal シャマル まだ未使用の新しいホイールですが 
先日より分解、洗浄し マイクロロン処理も済ませました 今回は最後の作業、組み立て調整です





回転部分に使われているパーツはこれだけです




では始めましょう



樹脂製の茶色いリテーナーのケースに セラミックボールを
組み付けて行きます ここで使うグリスは極少量が良いですね
この段階で多くのグリスを使うと埃を呼ぶだけです






左右のリテーナーを組み付けました これは少し置いて
おきます








ハブ本体のボールレース(玉受け)にグリスを塗布します
グリスは 思いの外防水シールが効いていそうなので
マイクロロンのルブリカントを使います やはりこの
グリスの摩擦抵抗の低さは魅力です






このボールレースに 先程準備したリテーナーを入れますが
これには方向が有りますので注意が必要です 写真上の方向で
そのまま装着します






ボールレースにリテーナーを入れ そこにグリスを
塗布します






これはしなくても良い作業ですが ここでコーン(玉押し)を
一度装着し指先で回転させてみます こうする事でリテーナーの
方向の確認と グリスの回り具合を確認出来ます 私は今でも
必ず行う確認作業です






確認作業が終われば 白い防水シールを装着します






この防水シールは玉押しと一緒に回る事も有るので
ハブ本体との接触部分にはグリスを塗布します

このシールはただ置くだけでは無く ハブ本体にはまり込む
溝が有ります 写真ではドライバーを使っていますが 傷を
付けてはいけません 実際の作業では指の爪で押し込んで
行きました




ハブ本体片側に組み込む回転部品はこれで完了です






逆側にも同じ手順で組み付けます




回転部品を組み付けた ハブボディに シャフトを
装着しましょう シャフトには薄くグリスを塗っておきます
これは腐食防止で回転性能には関係ありません








このハブは左右でシャフト外部の構造が異なります

それらの外景を自転車のどちらへ持っていくかは
シャフトを入れる方向に関係して来ます リムのデザイン
などを良く観察しながら決めると良いですね これは
見た目の事だけで性能には関係ないので 拘らない
方は何も考える必要はありません






左側からシャフトを入れました 次は右側からの作業です
ホイールを反転させます (便宜上 右 左と言っています)






玉押しを装着します ネジは切って有りません 
押し込むだけです 全体に薄くグリスは塗って
おきましょう








背割りがされた金属スリーブを取り付けます
玉押しを押す為の部品です 右側のここまでは
各部品をシャフトの外側へ差し込んでいるだけです




次は玉当りを調整する為の部品です






上記部品の緩み止めの為のボルトです 青い緩み止め剤が
使われていますが ここは絶えず外気に晒される部分です

錆止も兼ねてグリスを塗っておきます マイクロロンの
ルブリカントはネジに塗るとネジが良く緩むので使っては
いけません カンパグリス LB100を使っておきましょう






玉当り調整の部品にも内ネジが切ってあります
ここも使うのは白い カンパグリス




ハブシャフトにねじ込みます 調整は後でするので
適度に締め込んでおきましょう ※ ネジは正ネジです






ステンレスのワッシャーですが グリスを塗り
ハブシャフトの上に置いておきます(シャフトと
外径が同じサイズです)






ハブの一番外側の部品で シャフトの内ネジに
ねじ込みます ここにもカンパグリスを塗布 
※ ネジは正ネジです




左右共 5mm のアーレンキーを使い 前出の部品を
目一杯締め込みます これで組み立ては完了です




玉当りの調整は この右側の部品を締め込んだり
緩めたりして 玉押しの当りの調整を行います
当りが決まれば 2.5mm のアーレンキーで ボルトを
締め込み 調整部品が動かない様にします




完了です 分解洗浄 マイクロロン処理 摩擦抵抗の少ない
マイクロロンのルブリカントを使い 私が出来るだけの整備、
調整をしました




これは私のロードに使っている リアが 120mm巾時代の
オールドカンパと呼ばれる 40年以上前のレコードハブ

回転の軽さだけで評価をしたら 40年以上前のハブが
ボロ勝ちです ただ現在はそれだけで評価をしたら
いけないのかも分りません





Campagnolo SHAMAL ULTRA ハブはカーボン胴で 回転部は USB SERAMIC Ultra Smooth bearings

カンパニョーロは 
ハブにUSB を採用し、ホイールの回転性能を大きく改善しました。軽量化が図られ、メンテナンスの
頻度も少なくすることが可能です。
比較試験によると、USB ベアリングはスタンダード・ベアリングより50%も優れた回転性能を持っている
ことが分かりました なんて紹介をしています

40年以上前にオールドカンパの あの回転性能を完成させていたカンパニョーロ それ以降
新しい素材も出来、製造技術も発達した現在 セラミックのベアリングまで使ったハブって
何処まで素晴らしいの? の期待を持って触ったシャマルのハブ・・・ しかしその回転の渋さに
がっかりで おまけにゴリを感じる始末 そんな事もあり今回のフルメンテになったのですが

今回分解整備をし さすがにゴリ感は無くなりましたが回転の渋さは相変わらず
これは防水性を追い続けた結果かな? 回転軸をゴムで挟むんだから仕方が
無いですよね 回転の軽さを犠牲にしてでも防水性を優先し整備性を上げる 
これが今の風潮なんでしょう 

そして硬度の高いセラミック、実走行なら歪みも無いから良いんだよ 机の上で
指で回しても仕方が無いよ実際走ってごらん なんて言われそうです ごもっともです・・

前回の記事 【 カンパ シャマル ウルトラ ハブの部品構成 】

リアハブの分解整備はこちら 【 Campagnolo シャマル ウルトラ フリー分解 】


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10 コメント

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抵抗感 (泥尾)
2011-08-25 10:28:31
ハブの回転が渋いと感じられたら、フレーム来た時装着するウルトラトルククランクの渋さには驚きますよ(^_^メ) けど昔のハブは手で持って廻した時はスムーズでも実際フレームに装着した際の抵抗が問題ですからね。 昔、ホイールの形ではなくハブだけをフレームに嵌めてクイックを締めた瞬間の異様な抵抗感に驚きました。 最新ハブは中空芯が太い分その点が改良されているかも知れませんね。 
ありがとうございます (トシ兄)
2011-08-25 13:12:12
何時もながら、分かりやすい写真、説明でありがとうございます。
玉押しの当りの調整は感覚でしょうか?
防水シール (ひろべ~)
2011-08-25 18:58:46
今中大介さんが著書の中で書いておられますが現役のころベルギー、オランダあたりの石畳の雨中のレースを走るとベアリングの中まで砂の粒子が入ってきたり、グリスが流れ出てしまったりした と仰っています。シマノもデュラの7700になるまでは本場のレースではいろいろ不具合が出たようですから そんなこんなで改良された結果なんでしょうね。
泥尾さん (Kino)
2011-08-26 06:11:57
このハブの回転の重さは4枚使われている 防水シールの抵抗だと思いますが
これが使っている間に馴染む事なんて有るんでしょうか

今日、別のレコードの新品ハブを触らせてもらいましたが やはり同じ質の重さを感じたので
このホイールだけでは無い様ですね

9mm.10mm の中空シャフトはそんな現象が起きたり 逆にクイックを締めるとガタが出る不思議な奴も有ります
でもこれはハブの癖が分ればそれを見込んだ調整が出来ますが
このシールの重さだけは 手の付けようがないですね
トシ兄さん (Kino)
2011-08-26 06:16:25
ハブの玉当りの調整

この回転部の部品構成で 背割りのアルミスリーブ
これが有る為に 自転車から外した状態では
ピンポイントの調整は困難ですね

私も今は やや甘めの調整で終えています
この後自転車に装着してから 車輪にガタを感じない処まで調整するつもりでいます

それが出来る構造だし 何かその方が確実な気がしますね
ひろべ~さん (Kino)
2011-08-26 06:18:01
もっと大昔のハブなんて どうなったんでしょうね
大昔のハブ (ひろべ~)
2011-08-27 09:43:25
昔のメカニックさんはレース中は毎日ハブのグリスアップをしたのでしょうか?あまりに手間がかかるのでカンパのハブのようにグリスホールの穴あけ加工をしたようなことも聞きましたが。Kinoさんご存知でしたらそんなお話も伺えたら楽しいですね。
ひろべ~さん (Kino)
2011-08-28 20:33:32
昔とは何時ごろの事なんでしょう
私がメカニックで試合に帯同していた頃には
そんな毎日ハブを分解した事はないですよ
それ以前の事はどうなのか知らないですが
ハブを毎日分解する話は聞いた事は有りません
ゴリゴリ感が気になって (まぁ)
2013-10-10 00:34:29
Kinoさん大変参考になりました、ありがとうございます。友人から頂いたSHAMALを飛行機で東京から福岡へ運んだ際にどうにかなってハブがゴリゴリ渋々なの??と不安になりグリスアップというか開けてみようと思い何か参考になりそうなサイトを探していて拝読しました。凄く分かりやすい写真付きの説明で助かりました。ありがとうございます。コーティングしてみたいけどそれは次回にし、とりあえず鉄粉混じりの古グリスを落とし新しく入れてみたら前よりゴリゴリ感も無くなりました。最後の締め付け具合で渋さもだいぶ変わるようですが、少し乗ってみてから調整します。ハイペロンの初期モデルでは、こんなメンテ必要無かったのでちょっと驚きでした。
まあさん (Kino)
2013-10-10 08:14:36
初めまして コメントを有難うございます

この様なブログがお役に立ち嬉しく思います
鉄粉が入っているのは良くないですね でも実際は必ず起こっている事だと思います
特に新しく降ろした回転部分は早目のメンテナンスをした方が良いかも分らないですね

わざわざ有難うございました

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