キはキモノのキ

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快楽亭ブラック毒演会

2008年09月16日 | 今日のキモノ

 快楽亭ブラック師匠。前々から名古屋によくおみえのことは知っていましたが、過激だよーーとの噂に興味をそそられたり躊躇ったりしていたのです。でも先月桃葉さんが大阪のブラック師匠の会を手伝い、「とても書けない…」と書いていらっしゃったことでついに『背中丼』。行ってまいりました!

 ブラック落語にはやっぱり、ちょっと毒入りオトナなコーデよね、とこんないでたち。 
 
 今日の着物:セオα蜘蛛の巣(竹蔵龍)
 今日の帯:赤蜻蛉名古屋帯(きものなかむら)
 今日の半衿:秋の味覚模様ハギレ(きむら)
 今日の帯揚:秋草模様ハギレ(大須骨董市)
 今日の帯締:黒に赤三分紐(ふちこまさん)
 今日の帯留:蛇戦国玉(ふちこまさん)
 今日の簪:紅花模様トンボ玉(ふちこまさん)
 今日の足袋:黒地鼓模様(まねきや)
 今日の下駄:紫縞花緒畳表台(松屋)

 会場は名古屋の『』。居酒屋さんですが、定期的に落語会が催されているそう。
 
 案内してくれたのはことりちゃんです。ことりちゃんは最近落語熱があがりっぱなし。なので異色の落語にも興味津々。「シモネタがわからなかったら教えてね」「OK,まかせて!」…いや別に何の自信もありませんがわたくし。
 さらに「シモネタな落語なんだけど」「へー、楽しみ」と二つ返事でmayさんも同行してくれました。頼もしい友でございます。
 

 開場ぎりぎりくらいの時間に着きますと、すでに常連らしき人々が三々五々たむろしていました。落語の常連客ってなんか独特の雰囲気がありますが、この毒演会にたむろしていた人々はそれともちょっと違った感じ。ひとことで言って『濃い』感じ。

 高座はお店の二階。早めの整理券をもらって前から二番目ちょっとはすかいになるいいところに席を占め、下に降りてあらためて見てみますと…
 
 玄関横には芸人さんのサインがいっぱい。ここに来て寄席などなさったひとたちなのでしょうか。
 
 今日は営業していないけど、いつもは居酒屋さん。ありゃま、十四代がずらっとあったり、いいお酒置いてますわ!「わたしが好きなもので…」と店主さん。ご本人も高座に上がられるそう。居酒屋のお客になって、おしゃべりしながら美味しいお酒が飲めそうですわね。

 さて、時間となりました。出囃子の『青い目の人形』が鳴り、ブラック師匠の登場です。開口一番のマクラから毒入りの時事ネタいろいろ、そして歌舞伎の裏話で笑わせてもらってそのまま一席目は『蛙茶番』。マクラから続く芝居噺がとっても達者で印象的。後半のおげれつ部分は余裕で大笑いいたしました。ふ。シモネタって言ってもこれくらいならぜんぜんOKねっ。

 と思っていたら…二席目は…『一杯のかけそば』パロディ『一発の(ぴーー)』。のっけから連呼される関東四文字。うひゃあ。そして、シモネタマシンガン。うひゃあうひゃあ。おっ・・・おかしいっ!
 これ、元ネタ知らなくても十分笑えますが、かのお涙頂戴話がなぜかまともに受けてたあの頃に聞いたならばもっと破壊力あったろうなあ。あのとき聞きたかったなあ。今だったらそういうネタってなんだろう…あれなどどうか?などなど、触発されて黒い心がむくむくと沸き起こるわたくし。
 しかし、汚れちまったわたくしはともかく、清い心の我が友は大丈夫か?引いちゃおらんか?と横を確かめましたら、ふたりとも大笑いしてて安心いたしました。わたくしたち大人よね大人。

 中入りの後三席目は『七段目』これはエロなくすぐりはちょろっとありつつもたっぷりと芝居話を聞かせてもらって満足。

 そして、最後。「おう、今帰ったよお兼、なんだ真っ暗にしておいて…」マクラなしでいきなり始まりました。江戸弁の歯切れよいやり取りがここちよい、あ、これは江戸落語、名作『文七元結(もっとい)』ではありませんか!
 ちょこちょことくすぐりはありつつも、人情話がテンポよく語られていきます。身投げしようとしていた文七に、娘が身を売って作った五十両を呉れてやる名場面も、親父さんの葛藤がひしひしと伝わってきて…。
 ところが。店に帰って文七が店主と話してるところから話がどんどん。あれ?文七の奉公先が『四つ目屋』って…文七がお金をなくした理由って…ありゃりゃりゃと思っているうちに話がどんどんエロ方面へ!で「ここは泣くところ」というところで大笑いして快楽亭ブラック毒演会、お開きとなったのでした。
 ちなみにタイトルは『文七元結』ではなくて『文七○っとい』でございました(○は伏字でございます。任意のひらがなをあてはめてくださいませ)。

 と、そんなこんなで笑わせてもらった快楽亭ブラック毒演会。「ブラック師匠の落語は二度と行きたくないと思うか病みつきになるかどちらかなんですって」とmayさんが桃葉さんから聴いてきたとか。病みつきってほどではないですが、面白かった。二度と行きたくないなんてことないよね、また行こうねー…と、言い合って別れたことでありました。異色の噺を聴けたヨロコビとともに、友は大人だということも確かめられ、二重のヨロコビを感じた一日でした。
 
 『生涯変態』 潔いフレーズですわ。