キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

笑福亭小つるのき楽寄席!

2007年12月05日 | キモノイベント

  
 かねて予告の通り、12月1日(土)石川県立音楽堂にて『笑福亭小つるのき楽寄席』が催されました。わたくし、スタッフとして参加。お茶子さんしてまいりました。ちなみにオットがカメラマンとしてお手伝いを。なので手元に大量の写真がございます。さぁ、張り切ってレポートいたしますわ!

 当日、開演は14時から。準備のため12時前に到着しましたら、すでに小つる師匠・若手の笑福亭松五さん、お囃子の勝さんのご一行は到着して、音合わせをしているところでした。
 
 舞台袖にお囃子がいて、高座の師匠との音のバランスを何度も調整しています。この段階ではまだ小つる師匠もみなさんも私服。でも、空気は本番さながらに張りつめています。

 
 女優に演技をつける舞台監督‥ではなくて、受付スタッフと打合せをする主催の金沢落語情報・なぁさん。

 
 わたくしは舞台袖にて場内アナウンスの練習をしたり、舞台に上がって「ひっくりかやし」の稽古をしたりしておりました。

 ひととおりのことが済むと、開場まで忙中閑。なので、キモノの写真を。

 左から、よしこさん・takeさん・ばあさん・がんねーさん。
 皆さんきりっと紬系で決めておられます。抑えた中にも華やぎ。やっぱりキモノはいいですねえ。
  
 ばあさんの帯周りはクリスマス仕様!

 わたくしは昨日と同じ矢羽根の銘仙に、予告どおり鶴の帯鶴の簪。「縁のものやん」と小つる師匠にも喜んでいただけて満足です。さらにこの銘仙の模様をtakeさんが「鶴の足跡って感じ!」と言ってくださいました。なるほどそうか。いただきまーす。
 お客様の前に出るのだから、半襟と足袋は白にしました。きちんとしたいので下ろしたてです。さて、お茶子さんにふさわしいコーデでしたでしょうか?なんか他のスタッフと並ぶとミョーに派手なんですが。


 さぁ開場。一番太鼓とともにお客様が入ってこられます。


 キモノに着替えて会場を見つめるなぁさん。帯の浪人結びが決まっててかっこいい。

 さて二番太鼓も鳴り「携帯電話はお切り下さい」のアナウンスも終え、いよいよ始まります。さぁ、出囃子だ!・・・あれ?
 しまったあっ!!わたくし、名ビラ返してないっ!

 と慌てて舞台袖から隙見していますと、師匠自ら名ビラを返しておられる。ひえー。

 師匠にめくらせちゃった‥と脱力していると、横に座っている三味線の勝さんが囁きます「名ビラ!返してきて!師匠、見つけられなかったみたいっ!!」。
 どうやら小つる師匠、2枚いっぺんにめくっちゃって、見つからなくって、そのまま高座に座られたよう。ひゃー。わたくし、ダッシュで舞台に上がって名ビラ返してひっこみました!汗汗‥。いやー勝さん、ありがとうございます。袖で合掌御礼。
 

 と、そんなこんなで始まった一題目は『煮売屋』。
 この噺はいわゆる『旅もの』で、暢気者二人連れがお伊勢参りの道中に起こる珍騒動を描いたもの。『伊勢音頭』はじめとする鳴りものも入った賑やかな噺です。

 ネットで調べたところ、この噺って長い長いシリーズものの発端の噺なのですね。この噺の次が去年のき楽寄席で笑福亭喬若さんが演じた『七度狐』だそう。また一昨年に林家市楼さんが演じた『軽業』もこのシリーズ。ほかにも『こぶ弁慶』や『三十石』など聴いたことある噺も同じ道中の出来事だとか。ほー。

 また、この噺って前座さんが演じることが多いそう。張り扇や小拍子をリズミカルに打ちながら話すのは、昔上方落語が大道芸だった頃の名残だそうで。前座さんがまずそうやって衆目を集めたわけですね。そういえば師匠、マクラでそんな話もしてみえました。落語をあまり知らない我々に小道具の説明をしてくれてた、だけではなくて、伝統に則って師匠自ら前座さんをお勤めになった、というわけなのですな。うーん、深い。

 さて、二題目は若手の笑福亭松五さん(しょうごさん、です。「まつご」とゲンの悪い呼ばれ方をすることもありますねん、とつかみで笑わせてくれました)。

 演目は『牛ほめ』。与太郎話です。新築の家をほめに行って、ちゃっかりお小遣いにありつこうという算段、さてどうなりますやら‥。
 よく耳にする噺は、演者の個性がよく伝わってきますわね。松五さんの与太郎ちゃん、ちゃっかりおっとりしててお人よしそうで可愛らしかったです。

 ここで中入り。師匠が長襦袢姿で袖にやって来て中入り太鼓を打ちました。
 休憩は10分。今度は忘れまい、名ビラを返すこと。
 
 びら。返しました。

 さぁ、中入りも終わって最後の演目。出囃子が鳴ります。三味線は勝さん、太鼓は松五さん。当たり鉦はなぁさんが叩いています。そして、小つる師匠は拍子木を打っている‥と、いきなりそれを私に向かって差し出すではありませんか!ええっ!わたし、打つの?いきなりーー!きゃーー。
 こうなったら度胸を決めて見様見真似。カンカンカンカンカンカン!カンカンカンカンカンカンカン!三味線太鼓当たり鉦に合わせてリズムを刻んでいるうちに、だんだん楽しくなってきました♪ああ、わたくしの中のみゅじしゃん魂が目覚める(嘘)。


 さあいよいよトリの演目『尻餅』。
 舞台は貧乏長屋。年の暮れなのにお正月のお餅も買えないと嘆くおかみさんに、ご亭主はせめて餅つきの音だけでもさせて近所に見栄を張ろうと画策。餅つきの音を何で出すかというと‥おかみさんのお尻!
 早朝お布団でごそごそする夫婦の情景や、ご亭主が何人もの餅つき職人をひとりで演じてる(この演じわけがまた細かくておかしい)様子、そしてクライマックス、ぺったーんぺったーんといい音させてお尻を叩くシーン。舞台袖で笑いをこらえるのがたいへんでした。

 そうして、爆笑の中になんともいえない艶っぽさが漂っているのです。だって、若いおかみさんがお尻まくって、ご亭主が手のひらでぺったーん!ですもの。
 それに餅つき‥古い関西弁で『あもつき』って、房事の隠語でございましょ。近松の『関八州繋馬』に「今宵はお寝間でしっぽりと、お二人のあもつき」ってフレーズがございましたわ。そうすると、その、なにやらいろいろ意味深で‥(妄想爆発中)。

 えー、閑話休題。
 実は今回の寄席、わたくしはずっと舞台袖にいましたので、師匠の表情までもはちゃんと見ることができなかったのです。でも、うちに戻ってオットの撮った写真を見てすごいーと思いました。本当に、いろいろな表情をなさるものです。


 まだまだいっぱいいい表情が!しかもこれら、ほとんどマクラの写真なのです。ネタに入ったらシャッター音が邪魔になるから撮影は遠慮しないとなので。
 言うまでもなく、ネタに入ったらますます表情は豊かになって行ったはず!うーん、見たかったあ。でも、お茶子さんもいろいろ楽しくて、来年もまたやることになっても、フロアから見る役になっても、どっちにしてもまた参加したい!と思ったことでありました。なぁさんよしこさん、金沢の皆さん、よろしくねー。
 そして、この記事をお読みのみなさま、来年は金沢の『き楽寄席』にお運びになってみませんか?楽しいですよー。


 なんとかかんとか、お茶子さんやってきました~(名ビラ~/汗)