8月27日に行われた農研機構と日本養蜂協会主催の「海外養蜂事情研究会」を聴講しまし
た。その中で米国農務省農業研究局ミツバチラボのジェフ・ペティス博士がCCD(蜂群崩壊
症候群)に関して興味深い講演をされましたので、要点だけ書いてみます。但し、あくまでも
養蜂家としてアマチュアである私が理解した範囲の記述であることに注意下さい。
米国におけるCCDの原因は(1)栄養、(2)殺虫剤(農薬・殺菌剤)、(3)病気の3つの要因
が複雑に影響しあっているとのことでした。それぞれについて簡単に記述します。
(1)栄養
米国で栽培されている虫媒花作物7種(ブルーベリー、クランベリー、リンゴ、アーモンド、
メロン、カボチャ、キュウリ)のポリネーター(送粉者)として利用されている蜂群を調査し、
巣箱の花粉を分析したところ、花粉源が極端に偏っているか、花粉不足に陥っており、栄
養不良状態に陥っている蜂群が多く、これがCCDになる初期のストレスになっている可能
性があると考えられる。
(2)殺虫剤 (農薬・殺菌剤)
農薬はその種類により蜂群に与える影響は様々であり、ある種の殺菌剤の方がネオニコ
チノイド系農薬より蜂群を弱体化させているものがある。つまり、ネオニコイノイド系農薬ば
かりに目を向けるのではなく、殺菌剤にも注目しておく必要がある。また、ミツバチに寄生す
るダニ対策として使用する殺ダニ剤フルバリネートもCCDに対して高リスク要因であること
が判った。
(3)病気
(1)と(2)によりストレスを与えられた蜂群に病気が入るとCCDに移行する傾向にある。
特にバロア病とノゼマ病には気をつける必要がある。
CCD対策としては、植物の多様性を高めること、農薬暴露を制御することなどが提案され
ていました。栄養の偏りを無くし、殺菌剤やフルバリネートにも注意し、ダニの寄生を如何に
防ぐかがポイントだと理解しました。なお、講演は通訳付きでした。良かった!