半世紀前のアイビーファッション （7）円安に翻弄される息子 暗転！
続きです。
台北在住の後輩からの電話
「年内で台北駐在事務所は閉鎖します」。
真坂！やっと登り始めた坂道が閉じられたのだ。
下り坂はない。
立ち往生。
「海外貿易しか生き残る道はない」
強い確信が崩れ退路はは衰退への道だ。
「やはり 駄目か 」
俺ってのは、人生落第なんだ！
妻子を抱えて暗澹たる眠れぬ日々。
朝 何処に行くあてもなく、湘南電車に乗り
車窓から白波の海辺を眺めながら小田原駅で下りた。
伊豆箱根鉄道大雄山線に乗り
天狗が棲む寺 最乗寺に向かった。
溢れる杉木立の山道を上がり、心を静めた。
20代半ば、独身、青春の挫折を繰り返した。
宗教など縁がないが、車で来ては
心の安定を清逸な寺院と木立、鳥の囀に求めた。
台北の後輩から電話が入る。
台北のステーショナリーメーカー社長から
相談があった。
内容は
「今後、直接 取引をしたい」
「日本語が出来る社員を入れる」
後輩は更に言った。
「合弁会社も了承した」
「大丈夫、心配しないでください」。
暗転から好転するのだ。
続く。
夢をあきらめないで - 岡村孝子（フル）