目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

悪の教典 ★★★★

2012-11-23 17:39:58 | ★★★★
悪の教典

綾川のイオンモールのワーナーマイカルシネマで鑑賞。

悪の教典、これは面白かったです。伊藤英明は海猿みたいな作品に出てて爽やか筋肉質キャラを演じさせたら右に出るものはいない!ほどの役者だったのに、ここへ来てまさかのシリアルキラー(大量殺人者)役!!

144分もあるのですが、全く時間の長さを感じさせないくらいに後半が面白い。人間って不思議なもので、こういうリアルな、そして不可解な殺戮劇を観てても不思議とじーっと観続けてしまうんですよね。この作品はR15になってるので、恐らくは地上波では放映されないでしょう。映画館の大音響で散弾銃の銃声をこれでもか、と聴きたい方はぜひとも劇場へ。

ネタバレします!


ネタバレと言っても大まかには予告編で流れてた通りの展開でして、優秀な英語教師の「ハスミン」こと、蓮見先生がクラスの40人の生徒を次々と殺害していく、という話で、前半の一時間はそのための前段階です。蓮見先生がいかにクラスの生徒から慕われていて、完璧な人間かがわかる展開になってるのですが、住んでるところからして、なかなかに廃墟、乗ってるのはオンボロ軽トラとまあ、ちょっと不穏すぎる感じですが次々と生徒を殺し始める展開に…。ここからが何気にこの映画の白眉でして、爽やかな彼が歌ったりしながら脳内でジャズ流しながら次々と散弾銃で割合と、素直な生徒たちを撃ち殺しまくる。もう本当にそこにはドラマはあんまり無くて、次々とまるで流れ作業のようにドッカンドッカン銃声を響かせまくるわけです。

前半の伏線が後半になって効いてくるあたり、お話も脚本自体もよく出来ていて、うまく構成出来てるなあ、と感心しました。
それにしても、伊藤英明演じるハスミンは恐ろしく用意周到に見える割に脇が甘い。屋上で女子生徒とチューしてるところを見られてしまったり、ペットボトルを灯油に入れ替えたことにしたって成功するかどうかわからないバクチだし下手したら証拠が残る。女子生徒を屋上から吊り下げて自殺に見せかけようとしても死んでなかったし、最後には死んだ生徒の顔を確認しなかったばかりに捕まってしまうわけだし。まー、お話なのでそういうところを突っ込んでも仕方ないわけですが。

一番恐ろしいのは、殺しては埋め殺しては埋め、と証拠を完全に隠滅してしまえば、殺人ではなく、失踪扱いとなって判明する可能性は極端に下がる、ということ。
この辺りは園子温の冷たい熱帯魚なんかで取り上げられたような連続殺人事件を例に挙げるまでもなく、つい最近もワイドショーを賑わせている保険金連続殺人事件も同様でして、証拠が見つからず痕跡も見つからなければ大半の殺人事件は露見しない、という恐ろしさです。

全員を殺して他の先生に罪をなすりつけよう、という発想も凄いのですが、(証拠が多過ぎてそれは無理ありそうですけどね)その後、責任能力が無いからと、罪を軽減させようとするあたりは北欧で起きた連続殺人事件に近いものを想起させます。

実際、そういう事件が起きていることを考えるとサイコパスという存在についてもかなり実在性を感じますね…。アーチェリー部の男の子が最初に死んでいる軽音部員を見て嘔吐してましたが、あれが普通の反応ですよねえ。バタバタと人を殺してかつ、笑顔で振舞える、と言うのは映画と言えどなかなかに強烈だなあ、と。

デートムービーにはまちがっても選ぶべきではないですが、とても面白い作品ですし、映画化は成功してるように感じます。オススメです。


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