土曜日はトレチャコフ美術館の新館に行ってきました。この美術館には本館と新館があり、後者には20世紀の作品が収蔵されています。目玉はやはりアヴァンギャルド芸術でしょう。
有名なマレーヴィチの『黒い正方形』の実物をこの目でしかと見てきました。ちょっとした驚きでしたよ。というのも、眼前のキャンバスに塗られていたのは黒ばかりではなく、その黒の下に幾つもの色彩が隠れていたので。絵には多くのひび割れができており、そのひびの下から緑色が覗いているのです。あと赤や黄もあったような気がします。聞いた話では、マレーヴィチはこの絵画を描くのにあらゆる色を用いたうえで、一切を黒で塗りつぶしたらしい。従来の絵画を否定する身振りを取ったマレーヴィチ像として出来すぎた話ですので、ホントかいな、と思っていましたが、実物を目にすると、それもあながち作り話とは言えなさそうです。
でもこの日最大の衝撃は別の所にありました。フィローノフ。噂には聞いていましたが、凄まじい絵を描く作家です。キュビスムを突き詰めたらここまで到達しました、という風でもあるし、あるいは一方で、独自の変態的嗜好を突き詰めたらこうなっちゃいました、というような毒々しさといかがわしさを充満させてもいる。幾何学的な無対象ではなく、人間を対象としながらも、その腕は幾重にも分かたれ、指も分裂し、身体は無数に分断されている。地獄絵図のようでもあり、しかし奇妙な祝祭感をも感じさせる。とにかく圧倒的なスケールで描かれた、圧倒的な印象を与える傑作だと思います。自分に絵画を批評する能力がないのが残念でなりません。う~ん、すごかった。
トレチャコフ美術館は、本館があまりにも有名なので、観光客もそちらにばかり押し寄せるようですが、新館に行かないのはもったいないような気がします。20世紀芸術は万人受けしませんが、でもフィローノフみたいな発見もあるので、アヴァンギャルド芸術はちょっとなあ、と思っている方にもお勧めです。
ちなみに本館・新館共にかなり広いので、全ての作品をつぶさに見ようとするのは大変です。
有名なマレーヴィチの『黒い正方形』の実物をこの目でしかと見てきました。ちょっとした驚きでしたよ。というのも、眼前のキャンバスに塗られていたのは黒ばかりではなく、その黒の下に幾つもの色彩が隠れていたので。絵には多くのひび割れができており、そのひびの下から緑色が覗いているのです。あと赤や黄もあったような気がします。聞いた話では、マレーヴィチはこの絵画を描くのにあらゆる色を用いたうえで、一切を黒で塗りつぶしたらしい。従来の絵画を否定する身振りを取ったマレーヴィチ像として出来すぎた話ですので、ホントかいな、と思っていましたが、実物を目にすると、それもあながち作り話とは言えなさそうです。
でもこの日最大の衝撃は別の所にありました。フィローノフ。噂には聞いていましたが、凄まじい絵を描く作家です。キュビスムを突き詰めたらここまで到達しました、という風でもあるし、あるいは一方で、独自の変態的嗜好を突き詰めたらこうなっちゃいました、というような毒々しさといかがわしさを充満させてもいる。幾何学的な無対象ではなく、人間を対象としながらも、その腕は幾重にも分かたれ、指も分裂し、身体は無数に分断されている。地獄絵図のようでもあり、しかし奇妙な祝祭感をも感じさせる。とにかく圧倒的なスケールで描かれた、圧倒的な印象を与える傑作だと思います。自分に絵画を批評する能力がないのが残念でなりません。う~ん、すごかった。
トレチャコフ美術館は、本館があまりにも有名なので、観光客もそちらにばかり押し寄せるようですが、新館に行かないのはもったいないような気がします。20世紀芸術は万人受けしませんが、でもフィローノフみたいな発見もあるので、アヴァンギャルド芸術はちょっとなあ、と思っている方にもお勧めです。
ちなみに本館・新館共にかなり広いので、全ての作品をつぶさに見ようとするのは大変です。