渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

本歌と写し 〜ブローニング/ハットリ〜

2022年01月15日 | open

ブローニング#3000チーター

ハットリ#3718


上は銃器メーカーのブローニングの
ナイフ。
下は日本のメーカー服部刃物のナイ
フ。
上が本歌で下が写しなのだが、そう
も呼べないかもしれない。
というのも、ブローニング社から
委託されてチーターを作っていた
のは服部刃物だったからだ。
アメリカメーカーの殆どが日本の
ナイフ会社に製造を依頼していた
1980年代の事。
ガーバーはサカイに依頼し、アルマー
はモキに依頼し、ブローニングは
服部に依頼した。他にも多くある。

そのため、チーターはブローニング
の本歌といっても、実体はハットリ
ナイフだったのだ。
今は中国製。アメリカンナイフの
全てが中国製。
そして、そのブローニングと服部
刃物のOEM解消以降、服部が自社
オリジナルとしてブローニングチー
ターのケーパーのシルエットをドロ
ップポイント風にミリ程変更して
ラインナップしたのがハットリの
#3718なのだ。
そのあたりの事情はナイフ雑誌にも
書かれていなかったが、私が直に
服部刃物のおやじさんの娘さんから
伺った。

上のチーターは親友から1990年代
前半に貰った物。
今、六本木ヒルズ向かいでワイン
バーやってる。
「研ぎの練習にでも使いなよ」と
くれた。
使い倒したし、研ぎまくった。
鋼材は440C。
ハンドルはマッカーサーエボニー
(縞黒檀)だ。

下のハットリは服部刃物さんから
直に購入。
鋼材はV金10号。武生生まれの
優秀な鋼材。めちゃくちゃ切れる。
出荷時から蛤刃に仕上げていて、
高硬度により背筋が寒くなるよう
な切れ味を示す。
ハンドルは真っ黒なエボニー(本
黒檀のマグロ)。今では貴重な材
だ。
ただ、高級箸でもそうだが、本黒
檀は欠けやすいので、縞黒檀のほ
うが耐久性はある。

この二つのナイフは、ブレードの
形状が日本の伝統的刃物に近く、
とても使い勝手が良い。身幅も
鎧通し程度だ。
だが、どちらも、これも鎧通しの
ように厚く、チーターは最初5ミリ
近くあった。頗る頑丈。
頼れる良いナイフだ。

ただ、彫刻刀のようにハンドル
細いので、細かい作業やロープ切り
などには使いやすいが、こうした
圧(へ)し切り系の用法ではハンドル
がやや細過ぎるきらいはある。


それでも、この手の細身のタイプ
のハンドルは、日本だけではなく
アメリカでも伝統的な物だった。
安定の伝統的形状。
信頼できる。
ブレードのタング(なかご)はハン
ドルエンド(柄頭)まで突き通しに
なっている。

ジョン・ウェイン。1930年。
今から92年前の写真。


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