渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

TADの不思議

2023年04月19日 | open


今まで見て実際に撞いたTADで
一番驚いたのは大阪の道頓堀の
玉屋にあったオールドTADだっ
た。
華台前のキュー置き場にあった
常連さんのバーテンダーさんの
持ち物だった。
店の人が連絡をとってくれて、
持ち主の仕事上がりの1時まで
自分のキューで店の人と撞きな
がら待った。
仕事を終えて道頓堀ビリヤード
に来たバーテンダーさんと朝まで
撞いた。
初対面だったが、TAD熱烈ファン
同士すぐに打ち解けて10年来の
知己のようになった。
その方は「ここに置いてあるから、
貴方が来たらいつでも私のこの
TADを使ってください。店の人
にも言っておきます」とまで言っ
てくれた。
いやいや、と恐縮していたら、
「ほんまですよ」と。

途中からその彼のTADで撞いて
みてぶったまげた。
シャフト先が異様に細い。スヌ
ーカーキューみたいだ。
ところが、だ。
トビがとんでもなく少ない。
バットは矢羽と座布団、黒檀8剣
の純オールドTADだ。
シャフトが細いので玉負けする
かと思ったら、決してそんな事
はない。
しかも、例によって鬼切れ物だ。

それまでもTADはかなり撞いて
来た。
自分自身の持ち物としても2本
経験しているし、東京にいた頃
は、周囲は上級者は全員TAD持
ち、みたいな環境だったので、
懇意になるといくらでも撞かせ
てくれる。それはプロでもアマ
でも。東京はそうだった。
勿論、誰にでもではなく、こち
らもTAD熱烈ファンであり、
TADユーザーであるからだろう
が。
大抵は、私の撞き方を見ていた
らまず撞かせてくれる。TAD撞
きだからだろう。
最近でこそややスタン気味の撞
きもするが、私の撞きは基本は
何というかエフレンのような
キュー出しだ。
ただ、TADを高く評価していた
モスコーニやバルシスたちは、
どちらかというとスパンと撞き
抜くスタン系のシューターだっ
た。
TADはスタン系よりもエフレン
のようなしなやかなキュー出し
のショットで最大限の能力を発
揮するキューだ。

驚いたのは、その道頓堀の矢羽
TADは、しなやかだろうが叩き
気味だろうが、あらゆる撞き方
で異様な高能力を見せた事だっ
た。「え?」となるような。

良い作、というのはあれの事を
いうのだろう。
今でもあの撞き味が忘れられな
い。
TAD遣いで、故人となった同い
年の立花PのTADも非常に良かっ
た個体だったが、あれにも優る
とも劣らないようなTADだった。

残念ながら、道頓堀ビリヤード
は閉店になった。
TAD遣いのバーテンダーさんも
今はどうされているのか分から
ない。
きっと、どこか大阪市内の別の
店で、あのTADでまだ撞いてらっ
しゃる事だろう。


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