迷彩のうち、単色ではなく柄物では、配色
とパターンに工夫が凝らされる。
柄物の配色パターンは風景と同化させて
着用者のシルエットを紛れさせる事が目的
とされる。
そして柄のパターンと同時に色使いに知恵
が絞られる。
例えば、それは木々の葉を想像してほし
い。
木の葉には全く同じ色は無いでしょう?
実に多様な色合いが折り重なっている。
それをどれだけ簡略化させて風景に馴染む
色使いと配色と柄のパターンにするかに
人は苦心する。
最近はコンピュータで風景画像をデジタル
処理して、それを迷彩パターンに落とす
方法も採られるが、人間の世は不思議な
物で、そうした手法で作ったきっかりし
た迷彩柄よりも、なんだか何を描いている
のだか分からない、といった柄物のほうが
視覚的な迷彩効果は高い。
だが、米軍戦闘服などは、その盲点を背景
の色合い画像をピクセル化する事で迷彩
効果が低下しない事を発見して、その方法
でデザインされた服を着るようになった。
これは戦闘服としては効果が高いかも
知れないが、被服のマテリアルの柄が
どうかというファッションやデザイン
の観点からは、実に「つまらない柄」と
なってくるという限界を持っている。
しかし、軍物は戦闘服だからそれでよい。
ファッションで戦闘をするのではないか
ら。
ただし、街着やユニフォームとしての柄
物パターンとしては、ピクセル迷彩柄は
非常に味気ない。
阪神タイガースも、グレー系の迷彩を
期間限定ユニフォームで採用して今シーズ
ンに臨んでいるが、極めて秀逸なデザイン
パターンの迷彩柄物となっている。
自由自在に線を描ける人の手による迷彩
柄物は、ピクセルでは超えられない人的
視覚効果としてのファッション性を持つ。
迷彩柄物のパターンというものは、面白
い。
木々の葉を見上げてください。
あれが迷彩色です。
同じ顔、同じ表情、同じ色はひとつもな
い。
迷彩柄物は、人間に一番近い柄なのです。