映画『ザ・ウエスト』におい
て、保安官助手のワイアット・
アープは駅馬車強盗に遭った
被害の現場検証に行く。
そこで、倒れた御者のそばに
落ちていたコーチガン(短
銃身散弾銃)を拾い上げて装
弾を確認する。
同僚は言う。
「賊はすぐに逃げたんだ」と。
ワイアットは、コーチガンを
確認しながら吐き捨てるよう
に言う。
原音を聴いて、日本語字幕を
読んでなんじゃこりゃと思った。
原音では正しくこう言っている
からだ。
つまり、「奴らは撃ち倒され
さえしなかった」と言ってい
る。発砲云々は言っていない。
実際にコーチガンは雷管が潰
れて発砲後であったが、これは
御者が発砲したが一人も倒せず
に犯人たちは逃げ去ったという
ことを映像で表している。
発砲の隙さえ与えず?
現実はその前のシーンで犯人
たちはパンパン銃撃しながら
駅馬車を襲っているし、襲撃
後の映像ではコーチガンの
シェルは二発とも射撃後の雷
管であった。
「発砲の隙も与えず」とはどこ
をどうしたらこの映像の流れ
から生まれるのであろうか。
また、原文の台詞にも発砲云々
は一切無い。撃ち落されたか否
か、しかワイアットは言ってな
い。
ひどい邦訳の例だ。
作品の物語の流れを理解せずに
適当な意訳をするとこうなる。
戸田奈津子などは典型で、「15
年連続世界チャンピオン」を
「第15回大会チャンピオン」と
字幕翻訳をつけたり、多くの作
品で適当な出鱈目翻訳をして来
た。
ロードオブザリングではあまり
にひどい外国語訳をするので、
製作者によって排除された経歴
もある。
しかし、本人はどこ吹く風で出
鱈目訳を続けながら「日本語字
幕の女王」として映画界に君臨
している。『アポロ13号』など
はひどすぎた。
トム・クルーズが出演する作品
は戸田が翻訳するのが専業みた
いになっているので、彼の作品
は日本語吹き替え等のDVDで観
るほうが映画館よりも安心だ。
英語が出来る人は字幕などは要
らないが、ペラペラのペランチョ
マンでない限り、早口やスラング
多出の映画のセリフはタイムリー
に理解は難しい。
それでも中学生英語のヒヤリング
ができれば、変な字幕というのは
解ったりもする。
それにはヒントがあるから。
映像の物語の流れとは辻褄が合わ
ない字幕が出てきたら、大抵は
日本語の字幕翻訳がテケトンだっ
たりするのだ。