渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

マルティーニ

2020年06月11日 | open
 




北欧ナイフの代表格はフィン
ランドのマル
ティーニナイフ
だ。
え?あのブランドも?それも?
というほど
に多くの他メーカー
ブランドのナイフを
マルティー
ニが作っている。有名なルアー
メーカーのナイフもよく知ら
れたナイフ
メーカーのナイフ
も、実はマルティーニ製
だっ
たりする。なんだか、日本の
関の刃物
製作所のようで面白い。
 
マルティーニのナイフはゾッ
とするほどに
よく切れること
で日本のナイフ業界では
有名
だが、それは主として良質な
炭素鋼を
メインに使っていた
からだろうと思う。
炭素鋼の切れ味はステンレス
鋼より優位
立つからだ。
 
そのマルティーニが新素材
T508という
クロム含有鋼を
新採用して製作したモデル
がある。
それがシルバーカービノッ
クスだ。
北欧プーコナイフの基本的
造形を崩さな
いまま、靭性
を上げて耐候性の向上も狙っ
たようだ。
鋼材の成分表示は不明だが、
ナイフ業者の
談話では完全
ステンレス鋼ではないの
防錆には注意を要する
とのことゆえ、多分
D2の
ような亜ステンレス鋼なの
ではなか
ろうか。
 
ステンレスとはクロム含有
13%
以上の鋼のことなの
で、T508はクロムがそれ
以下
なのだろう。
D2(JIS表示SKD11)の場合は
刃物鋼では
なく構造鋼のた
め、刃物として使用した
場合、
切れ味は良いのだが、初析
炭化物の
偏在によりボロっ
と大欠けすることもあ
る。
D2は製造時の圧延鍛造のみ
に任せず、鍛冶
炉で鍛打し
ての鍛造をすれば含有炭素
バラつきも均すことができ
て良質鋼になる
のだが、それ
をやるナイフメーカーを
私は
知らない。
そして、いつのまにか、D2
の欠点
を補うD2的な新鋼
材が日本でも登場し、D2
154CMのように過去の
鋼材になりつつある。
 
構造鋼を刃物用に流用するの
ではない刃物
専用の特殊鋼の
開発は日本においては戦前

らその動きはあったが、産業
刃物では
なく、ことナイフ専
用の鋼材の開発は日立
によっ
て成された。
154CMを改良したATS34の開
発販売は
削り出し工法をシス
テム化したナイフの
神様ボブ・
ラブレスがATSを採用する事
で一気に花開いた。
硬度、耐候性、靭性、研ぎや
すさにおい
て、日立金属の
ATS34は今でも優秀な
能力を
示している。
 
その後、粉末鋼をロバート・
ワインクラー
が採用するこ
とで粉末特殊鋼が一躍脚光

浴び、今では
粉末特殊鋼は
80年代中期
に登場した最強
のATS
に取って変わろう
としている。
また、鋼の国日本では、
日立以外にも大同
や武生で
も優秀な特殊鋼が開発され、
良い
刃物が生まれている。
武生のV金10号など
はかなり
出来が良い鋼となっている。
 
世界を俯瞰するに、日本の鋼
が圧倒的に
良質であるが、北
欧スウェーデンや海を
跨いで
隣接
するドイツの鋼もかな
り良い。
また、スウェーデン製鋼会社
とドイツ
企業の連携も見られ
る。
特にスウェーデンは炭素鋼の
質が飛び抜け
て良く、それは
車両に使われる錬鉄である
スチールにおいても全く質性
の良性が認め
られる。ベンツ
などのボディの鋼材が日本

よりも優れているのは、惜し
みなく良鉄
を使うためだろう。
 
マルティーニのシルバーカー
ビノックスは
ブレードの長さ
がいくつかあるが、概ね
9セ
ンチ程の絶妙な長さの中型
ナイフと
なっている。
プーコ自体が短いか長いかに
大別できる
傾向にあり、長い
物はコンバットナイフと
して
長く信頼されて使用されてき
た歴史も
ある。グルカ兵の
ククリのようなものだ。
先に紹介した私のM-95も
コンバットナイフ
として作ら
れている。
実はこのナイフも大元の製造元
はマル
ティーニだ。
 
マルティーニはフィンランド
北部のラッピ
県の県庁所在地
ロヴァニエミにある。
オーロラを見ることができる
美しい都市
だという。


マルティーニのナイフは日本円
で3000円
台の物から大体2万円
台までの豊富なライン
ナップが
ある。
首都ヘルシンキにはマルティー
ニの専門店
もあり、観光土産
とし
ても人気を博してい
ようだ。
ただし、土産物といっても、日
本の室町時代や
江戸期の桑名物
つまり劣化コピー模造品

日本刀のような物ではなく、
本当
によく切れる本家本元
のナイフだ。
 
以前、母がヘルシンキに
立ち寄った時、
その店で
ナイフを私に土産に買っ
てこよう
かと思ったが、
別な物にしたとのことだっ
た。
なんでラップナイフにして
くんなかったの
よー、とか思う
が、土産に注文はつけられ
ない(笑)。
 
シルバーカービノックスは梅雨
明けに本格
的に実践投入して
テストしようと思ってい
る。
モーラ、ペルトネンM-95と共
にアウト
ドアでテストする。
北欧プーコブレード
の研究考察
のためだ。
ただし、バトニングには多用し
ない。
北欧の人たちはナイフでバト
ニングなどは
しない。皆斧を
使う。それが文化として根

いている。
ナイフで薪割り
というのは、
緊急事態時の
軍事的使用法の援用なのだ。
北欧の人たちは、小さな手斧
から大型の
斧まで揃えていて、
かち割り用や切り下ろ
しの
刃先での削り用まで自在に
斧を使って
いる。
 
ブッシュクラフトにおいて
は、持ち物を
最小限化させ
て森から生存と共存を学ぶ
事を目的とした野外活動だ
が、大自然を
相手にする
恒常的生活形態としては、
割りでは北欧人は斧を
使う。
これは日本もそうだった。
薪割りには日本も古くから
斧、鉈を使う。
竹を割るにはスカンジエッヂ
の竹割りを
日本人は使用して
いた。
 
今、日本では列島各地が本格
的な梅雨入り
だ。
梅雨明け後に存分にマルティ
ーニのカービ
ノックスをフィ
ール
ドテストするのが楽し
みだ。




MARTTIINI CAVBINOX GIG M 215012 + 
SILVER CARBINOX 214012
 
 

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