渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画のロケ地探索

2021年03月07日 | open


古い映画のロケ地の比定は、街の場合、
景観が時代と共に変わりすぎていて、
映像からは特定することがだんだん困難
になって来ている。
この『彼のオートバイ.彼女の島』(1986)
の主人公コオのアパートなどは、ネット
上でも探しまくっている人は多くいるよう
だが、誰も特定できてはいないようだ。
同作の聖地巡礼ではよく広島県尾道市の
岩子(いわし)島や国道20号線沿いにあっ
たドライブインなどだけが注目されて、
そこを訪れる人が多い。
だが、それらは簡単だ。
最難関は都内の撮影場所の特定だ。
特に、スナック「道草」とコオのアパー
ト。
「道草」の決め手は東急線の2.2メートル
のガードがどこかであり、コオのアパート
は、路地の背後に大きな寺が見える事が
場所特定の情報となる。
しかし、東急線の架線再開発は著しく、
現況から86年公開の映画の場所の特定は
ますます困難になっている。
むしろ、まず廃棄されないだろう寺院が
映り込んでいるコオのアパートのほうが
難易度が低いかも知れない。
しかも、コオの2階の部屋の窓の外には
墓地がある。
あくまで勘だが、これ新宿区かと思う。
窓を開けたら墓地という風景は新宿区で
はあちこちにある。寺だらけだからだ。
昔、江戸の御府内だったので、やたらめ
ったら寺がある。そして江戸は坂だ。
コオのアパートは明らかに旧江戸エリア
であり、坂のある事から新宿区の四谷や
神楽坂や柳町や箪笥町のあたりであろう。
しかし、場所を私も特定できていない。
コオがバイクで走っていてずーとるびの
新井くんの車と揉めたり、別場所を走って
いるシーンの場所はすべて特定できてい
る。
だが、「道草」とコオのアパートだけは
特定できていない。

こちらのほうが探索しやすいかも知れな
い。
映画『キリン』に出て来た豪邸だ。
原作劇画には無い設定で、元スズキワー
クスで唯一マン島TTレースを制した男が
登場する。その人の屋敷として描かれて
いる。



一番してやられたのは映画『道頓堀川』
だった。
深作監督は、道頓堀のセットを作って
撮影した。店内のシーンはどの店もすべ
てセット。川向こうに遠く見える喫茶店
もすべてセット。
3ヶ所出てくる玉撞き場もすべてセット。
あれはやられたわあ。
全くセットだとは思わなかったもの。
どんだけあの界隈を探しまくった事か(笑
おかげで、あのあたりの玉撞き屋の人たち
と仲良くなれたけどね。
へえ?ほんまでっか、そんなん探してはる
んですか、と。
大阪の地の人はフレンドリーだ。

見知らぬ場所を映画作品に求めて、そこ
を探しに行く旅は面白い。
すでに参拝客が溢れる人に知られわたった
「聖地巡礼」とはかなり違う、秘境探検の
ようなオリエンテーリングだ。
映画製作者たちはロケハン(ロケーション
ハンティング)で非常に苦労をするのだが、
そうして確定されたロケ地を映像作品のみ
から視聴者が逆ロケーションをハンティン
グして、ロケ地を特定して映像の謎を紐解
いて行く。
これ、映画との接点の一つのジャンルと
してもかなり面白いですよ。
ここはどこだ?よし、探しあててそこに
行ってみよう、というように。
「ポツンと一軒家」の番組も、それに近い
見知らぬ場所の探検探索への興味から企画
された番組かと思う。

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