渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

言葉のニュアンス

2023年04月17日 | open



私は東京生まれだ。
日常会話では東京弁を話す。
ある時、日常雑談をしていて、
九州の友人から「『ちと』です
かー?(笑」と言われた。

あ、すまん。
それ東京弁(笑
大小の小の意味でなく、東京弁の
「ちょっと」や「ちょいと」は
veryとかenoughとかeverytime
やeveryoneやmoreやno more
の意味があるのです。
なので、仕事でうちの会社側に
ミスあって、気の置けないお客
んに「ちょっとしくじりました」
と言ったら、西日本の人たちには
結構言われる。
「ちょっとやないやろ」と。
関東以外では「ちょっと」は微量
の意味でしか解釈されていないの
で関東人は注意が必要だ。

江戸弁「ちょっと」にはhey!の
意味もある。
「ちょいと!おまえさん!」(喧嘩屋
右近の女房おげん)とか「ちょ
いと待ちなー」(日活時代の小林
旭)とか、キムタクの「ちょと待て
よ」とか。
「少し」というところの大小の
小ではないニュアンスなんす。
これらの「ちょっと」は「おい」
とか「よー!」とか「Hey! you!」
の意味。江戸東京弁です。
レイニーウッドの上綱さんの名曲
『青い瞳のステラ 1962年夏…』
に出てくる「ちょっといかした
ステップ」というのも、「かなり
カッコいいステップ」という意味
だ。多少の小では全く無い。
その意味を取り違えると、あの
曲のラストで死んだステラに
「こんなに上手くなったんだぜ。
土の中で眠ってないで見ておく
れよ」という意味には繋がらな
い。西日本地方の人、特に上綱
さんの地元でもある広島の人は
要注意だ。「ちょっと」は「少
い」の意味ではない。真逆だ。
「とっても」の意味であの歌の
詩は作られている。


東京もんは箱根から向こうに行っ
たならば注意したほうがいい。
全く言葉の意味を別な意味に捉え
られる事がかなりあるから。
典型例ではもう一つある。
それは江戸弁での「勘弁してくれ」
は「よせよ」「いい加減にしろい」
「金輪際願い下げだ」「ご遠慮い
ただこう」「出直して来やがれ」
の意味なのだが、それが西日本で
それを言うと地面にひれ伏して赦
しを乞う事であると誤解される。
これはもう完全にそのように誤解
される。
つい先日もあった。
「そいつぁ勘弁してもらおう」と
言ったら「そんなに掌返して急に
詫びを入れて態度を翻しても云々」
と。
こちとら詫びなんざこれっぽっち
も入れてねえっつーの。
「大概にしろ、このスットコドッ
コイ!おととい来やがれ」という
意味だ。
Too enough. Get away!
の意味だ、たぁけ!
と思った。

ただ、国が違うと言葉は通じない
事が普通なので、どちらにも罪は
ない。
気をつけろ、東京人。
諸君の言葉は、関東以外では通じ
ない。


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