渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

二輪の転倒 ~クルマの在り方、人の在り方~

2021年09月28日 | open



二輪は自転車も動力付二輪車も、
転倒を経験したことが無い人は
いないのではなかろうかと思う。
また、転倒の体験なくばどうやった
ら転ばないかを学べない。
転倒は幼少の頃にどんどんやって
覚えていたほうがよいと思われる。
安全な場所で練習して。

私はオートバイでの立ちごけという
車体を倒してしまった「転倒」(?)
は経験がないが、走りゴケは嫌と
いう程に経験した。
もう「お前は馬鹿なのか?」という
程に。前輪からも後輪からも、いろ
んなパターンで。

やがて、ある事に気づいてから(某
レーシングコンダクターに車の根本
原理と接し方を厳しく教えられて
から)は公道では一切転ばなく
なった。コースではその後何度か
転倒したが、やがて極度に転倒が

少なくなった。公道では一切転ば
ない。全く転ばなくなった。
メカニズムというか、車の事と接地
感というものの折り合いをトラク
ションとの関係で体で理解
したら
転ばなくなった。

遅く走れば転ばないというのでは
ない。道理はそうなってはいない。
立ちごけなどは超遅いのに転んで
いる。
二輪車の転倒(含む:倒し)という
ものは原理と道理がある。
それについて深く考察して、転ば
ない
方法を選択すれば、転倒は回避
できる。

確実に回避できる。
クルマがまともならば。

それと、私が転ばないのは、私が

旧車という古いオートバイにしか
乗らないからというのもあるか
もしれない。
20世紀の日本のオートバイは実に
よくできていて、車体自体がセンサー
のような作り込みになっている。
まったく「ぼやかし」や「ごまかし」
が無いのだ。ダイレクトに乗り手
に路面とマシンの状態が今どのよう
な領域なのか、どうなっているのか、
どこまでが大丈夫でどこからが危険
であるのかを車が知らせてくれる
のである。これまじ。
なので20世紀に生産されたオートバイ
は、乗り手がすべて己の意思の下に
車を制御操縦することが可能だった。
極端な話、スロットル開度にしても
「今シリンダーはどれ位混合気を
欲しているか」とか、他にも「キャブ
はどれ程
の意見を訴えているか」
「タイヤは
どんな事を知らせている
か」「サス
は」「フォークは」
「ステムは」
「スイングアームは」
等々、すべて
車体が語りかけてくる
のだ。

いや、これ本当に。
そのような車作りを有能な開発ライ
ダーたちがやっていた。
これは競技車両だけでなく一般公道
車両にもまったく同レベルの車作り
が実行されていた。
それが20世紀の末期20年の実相
だった。

なので、往時の二輪車というクルマ
は乗り物として最高の出来だったと
断言できる。
「ぼやかし」が一切無い事。
これを現実に車両で実現させるのは

並大抵の事ではない。人の英知が
詰まっている。

21世紀が20年過ぎた現代は、ぼやかし
もぼやかし、もはや誤魔化しとさえ
いえる程の「輪っかが二つ着いた
乗り物」になってしまっている。
オートマより始末が悪い物体に。
正直なところ、私は新型現行二輪には
真剣には興味が湧かない。
あの20世紀のテイストを内実共に
再現復元しているマシンでない限り。

「真新しい物がすべて最良だ」という
ことは世の中存在しないという真理
をもっと多くの人たちが思い出した
ほうがいいと思う。
ほら、PCにしてもOSではウインドウズ
のMeなんて歴史的に不出来な物だった
でしょ?
最新物だから当時はあれを搭載した
PCに変えざるを得なかったけど。
あれ、二つの開発チームで別方向で
開発したからWin2000との性能差と
信頼性が大きく乖離したんだよ。
「最新物は常に最良」
これは技術を以てする産業進歩の
過程においては存在しないのよ。
内実は行ったり来たりで少しずつ
進歩するのよね。
今は、二輪に関しては、操安性に
おいては、極度に退化している
時代と断言できる。
今は今の新型オートバイがどんどん
「危険な乗り物」
になっている。
それは、「人間不在」だから。
人の事を考えて安全に配慮している
つもりでいても、実態は全く逆で、
人をないがしろにするクルマを作ろ
うとしているし、それをやっている。
でも、運転するのは人間だから。
人間不在の開発思想で、よりよい車
ができるわけないじゃん。そんな道理
は世の中ありっこない。

そゆこと。
お為ごかしのぼやかした誤魔化しの
車には僕ぁ乗りたくないなぁ。
「幸せだなぁ。僕ぁ君といる時が
一番幸せなんだ」(by 加山雄三)
というようなのが一番幸せだと
思いますよ。オートバイとのつきあい
は。


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