渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

武術の要諦 〜とりわけ刀術〜

2024年03月07日 | open
 
200km/hオーバーの速度からの
フルブレー
キングで次の右コー
ナーに備える。
フロントフォークはフルボトム
し、前輪も
へしゃげ潰れ、後輪
は持ち上がる。
何Gという荷重がかかる瞬間で
あるのに、
上半身は硬直せず、
肩もこわばらず、肘は
緩く曲げ
て、右膝は次のアクションに備
て既に開いている。
無論、腕を突っ張ってハンドル
に体重を
乗せてしまうような事
はしない。
物凄い加圧領域の中でも、一切
この乗り手
は身体を硬直させて
いない。
 
さて、なぜこんなことが出来る
のでしょう
か。
この二輪の操縦方法は、実は武
術、とり
わけ刀術と全く同じ
事をしている。
それは「抜重」。
脱力とは異なる。
この抜重なくば、日本刀は全く
切れない。
緩めと締め、これの使い分け方。
これは手の中(うち)の極意の一に
も通じる
だが、固めと弛み
の使い分けだ。
刀術の柄手の奥義の「ひなたぐ
そ」もそれ
の類別に属する。
 
拵を着けた定寸の木製の軽くし
なり易い
ツナギの刀身を真っ向
から思いっきりの速度で振っ
てみるが
よい。
そして水平で止める。
その時、左右に全くぶれずスッ
と全て
の慣性と力が消滅するよ
うに止める。
勿論、敵の面を斬り抜くつもり
で思いっ
きり振る。ゆっくりで
はない。
しかし、水平位置ではピタリと
ぶれずに
止める。
まるで、水平位置から思い切り
上に刀を
振り被る映像の逆回
しのような具合に。
 
日本全国、どれ程の人たちが
これを出来る
のか。
力任せでは絶対に出来ない。
出来ている人は、知らず知らず
のうちに
「抜重」が出来ている。
その人は、切れる。
 
やり方は多くのヒントがあるが、
要諦は
各々が師事している先生
に習ってくださ
い。
軽い刀をぶれずに振る事が出来
ない人は、
重い刀を正確に振る
事は出来ません。

要するに、二輪の操縦も日本刀
の操刀も、「術」なんだよね。
会得するまでは多少時間がかか
るが、体得すると何て事はない。
だが、その時すでにレベルは格
段に上がっているから、凡人か
らは非凡に見えたりする。
ところが、術者にとってはごく
普通の当たり前の事柄となる。




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