『イースト・ミーツ・ウエスト』
(1995年松竹/岡本喜八監督)
出演:真田広之、竹中直人
岡本監督の西部劇。
快作だ。
今回観たのは5回目くらい。
これ、映画館の大画面で観たい
なぁ。
真田の演技も良いが、なんと言っ
ても忍び役の竹中直人が怪演だ。
舞台は1860年の咸臨丸での米国
渡航の時の話。
出てくる拳銃は全部パーカッション
モデル+コンバージョンだ。
結構そのあたりはリアルに作って
ある。
勝海舟(仲代達也)が忍びの為吉
に「これ持って行きな」と投げ
渡す拳銃は龍馬の銃S&Wモデル2
だったりもする。
ただし、撮影はサンタフェ郊外で
のロケだったが、出てくる銃は
すべてプロップガンだ。
もしかすると、日本人スタッフが
作った舞台銃のステージガンの
モデルガンかも知れない。
プラスティック製だからか、画面
で見る限り、使っている銃に金属
感が乏しくABSかヘヴィーウエイト
ぽい質感となっている。
劇発音はモデルガンのそれであり、
実銃のプロップガンの音ではない
がエフェクトをかけているのも
感知できる。
作品中は多くの西部劇映画への
オマージュが散りばめられて
いる。
ラストシーン前にジョー(真田)
がハットを軒先に掛けるシーン
は『レッド・サン』(1971)への
オマージュだろう。あれはう〜ん
マンダムが日本刀を電線に掛ける
ラストシーンだったが。
そもそも本作のOPとEDの文字
自体が『レッド・サン』の文字
フォントを似せてオマージュと
している。
テーマも、奪われた日本の宝を
仇討ちを兼ねて追う侍という
点でも両作は同じだ。
三船敏郎の黒田と真田広之の
上条が英語を話せるという点
も一緒だ。
映画『レッド・サン』(1971)から。
そして、父をならず者に殺された
白人の金髪少年は『シェーン』
(1953)のジョーイを思い起こ
させる。
武士上条(真田広之)が少年に
脇差を与え、少年は抜刀術を
稽古する。そして父の仇を討つ。
その後、二人は親子として西部
の旅に立つのだった。
上条は実は通弁役として潜入した
水戸浪士の刺客だった。
だが、彼が咸臨丸の幕府要人を
探してワシントンに向かう中、
すでに咸臨丸は日本へと帰還の
ために出航していた。
その後、この日本人の侍と白人
の子の親子の消息は不明となる。
為吉(竹中直人)は悪党に奪わ
れた3000両を咸臨丸に届けた後、
インディアン娘のナンタイと12
人の子をなし、玄孫(やしゃご)
まで含めて100数十名の大家族
を抱えて酋長となり、134才で
死んだ。
1860年時点で25才設定とした
ならば、1969年まで生きたと
いう設定になる。
ラストシーンでタメ=トミー
の家族が見守る中、彼は砂漠に
倒れるが、このシーンは凝って
いて、曾孫たちの衣装やサング
ラスは1970年前後の物を着用
している。
この作品は、岡本喜八の時代劇
なのだ。
この作品、娯楽作品としてかなり
良い。おすすめ。
EAST MEETS WEST(予告編)