『地獄への道』(1939年)
カラー作品。
実在したアウトロー、ジェシー・
ジェームズと兄のフランク・ジェー
ムズを描いた西部劇。
西部開拓時代、何が無法の暴力か
というと、北部資本による強引な
鉄道敷設と地上げだった。
ただ同然で開拓農民から土地を奪
い、弁護士に交渉を依頼しようと
する農民たちには容赦ない暴力を
資本家と権力者は行使した。
そうした暴虐に抵抗したジェシー
兄弟は義賊となり、鉄道会社と権力
と闘う。お尋ね者となってまでも。
1939年の映画だ。
今から83年前製作のカラー作品。
だが、今観ても、非常に完成度も
高く、楽しめる。
そして、テーマには人間世界の歪み
と人々の希望が描かれている。
日本での公開は戦後の1951年だっ
た。
これが映画だ。これぞ映画だ。
1939年の時点で、このような深い
テーマの映画作品をカラーフィルム
でハリウッドは撮影していた。
日本が戦争を仕掛けて勝てる道理が
無い。
ジェームズ兄弟はアメリカではアウ
トローであるのにヒーローだった。
日本では、「官軍(捏造のニセモノ)」
に逆らう者たちは国賊であり、それ
は敗戦まで続いた。
この1939年あたりでは、かつての
新選組や幕府側や東国の諸士は無
法者の朝敵であり国賊扱いだった。
日本の程度はそんなものだ。
実は、アメリカ以上にジャイアン
体質であり、権力に逆らう者は犯
罪者の烙印を押して敵視させる洗
脳を国民に強いていた。
間抜けな国民は、それを信じて、
天朝様が治めるわれらが神州と思
い込んでいた。
だが、アメリカでは、自ら立ち上が
り、命をかけて抵抗したジェームズ
兄弟は民衆のヒーローだ。
この違い。
この人間としての精神性の違い。
日本が戦争でアメリカに勝てる事は
金輪際存在しない。
せいぜい、日本は手前味噌の自己
美化を今後も繰り返すだけだ。
自分の意思で決起をした歴史のな
い民しかいない国などはその程度
のものだ。
自分と自分たちの力で未来を切り
開いて国を作ろうとはしない。
西欧人は死を恐れず、自ら起ち上が
って国を作った。既存の権力を打破
して。その歴史を持っているし、
その行動と自分たちの建国の歴史に
誇りを持っている。
日本はどうだ。
せいぜい、いじめに明け暮れてるの
が関の山の民たちの国。
何もかもが小さくセコ過ぎる。
幕末の内戦を「東西戦争」の内戦と
きちんと公正妥当に見定め、東も西
も同位として正しく位置付け、「明
治維新」という偏向表現を改める
視点が国定教科書にも記されて、全
国民にその意識が広がる日が来ない
限り、日本のまともな国としての未
来はない。
「勝てば官軍」。
このウルトラジャイアン精神を否定
する視座を全国民が獲得しない限り、
真の民衆の国作りはこの日本には
到来しない。