渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ククサの鑑賞

2020年06月21日 | open

ヤマハのタッちゃんククサで珈琲を飲んで
いてふと目がとまる。
 
フィンランドのショップ「リーピゼン」
扱っているパッカタイデ社タイプの
このククサは、ドリルを使っていない。
すべて手彫りなんだ、これ。


現在、残念ながら日本刀のナカゴ穴は
すべてモーターツールであるドリルで
穴を開けられています。
古刀や新刀の時代刀は、ドリルなどは
無いので、タガネで穴をうがち、そして
丸くヤスリで成形されました。
そのため、古い時代の日本刀は、この
ククサのハンドル穴のように、穴の中央
部に彫りの頂点があります。
但し、武用としての物理的な観点
からは、
ピンである目釘をとめる穴の
内周に山が
あるのは、荷重が一点(細い円)
にかかるの
で目釘が折れやすいといえる
でしょう。
ドリルで開けたように穴の内面は真っ平
であるほうが「面」で目釘を固定するので
武用には適しているかと思います。
 
私は武用刀にはなました鉄目釘を使って
いますが、煤竹ならば竹で充分かと。
あと、竹刀の竹も使えます。
 
私が製作した武用鉄目釘。




ナカゴ穴に齧り付くようにタガネで刻み
を入れました。
ただのギザ入れだけでは面白くないので、
ちょっとした遊び心で竹の図を彫ってみ
ました。タガネを利かせてあるので枕が
立ち、ガッチリとナカゴ穴に食い込み
す。いわゆる抜けどめ。


生鉄なので錆びるため、黒錆加工。


ケミカルの実銃用ガンブルーを使います
が、黒錆変化させては油で磨きまた加工
してを繰り返して黒く染めて行きます。


製品として出荷、斬鉄剣ユーザーの手に
渡りました。


私が本気で精魂込めて作った武用鉄目釘
です。
現代刀の平らな穴でないと食い込み面が
少ないので実用的には使えません。
ドリル穴には頭抜けた安定性と安全性を
発揮します。25年間で実証済み。
古刀や新刀には、目釘自体が凹んで面圧
を出す竹目釘のほうがマッチするでしょ
う。
 
穴のおはなしでした。
 
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