けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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日射病、熱射病の処置

2007-09-04 00:57:37 | 東洋医学全般
しばらくブログをちゃんと書いていませんでした。恐縮です。

さて、私は昨日日射病というか熱射病で苦しんでしまいました。サンマテオであの炎天下、焼き鳥を焼いてしまったのです。

はじめはビールがまずい、水をいくら飲んでも足りないという状態でしたが、だんだん体や手足が重だるい、節々が痛くなってきました。漢方でいう典型的な「体重節痛」という状態です。そして、体中が暑くて、胸の中がいっぱいになった感じで、ため息ががんがん出ました。とにかくいてもたってもいられないような変な苦しさです。

こんなときに水風呂や冷たいシャワーは厳禁です。「死ぬ場合」があります。
私がミャンマーで医療活動をしていたころは、特に暑い日にいきなりラジオとテレビで「今日は帰宅後すぐに水浴びをするな!30分以上経って落ち着いてからならよい」という居丈高な放送が行われました。軍事社会主義の国ならではのえらそうな放送でした。

実際にこれを無視して冷水浴をして、死亡する人が多く、驚いたものです。
これはそれでなくとも日射病の初期で夏が体内にこもった状態で帰宅して、いきなり冷水を浴びたために、毛穴が閉じてしまい、さらに熱気の発散ができなくなったのです。そうすると普段から熱の多い胸に来て、心臓麻痺を起こしたり、熱せられた頭がさらにオーバーヒートして脳卒中が起きたりするのです。恐ろしいことです。

しょうがない!私は「刮痧 Gua Sha コアシャーと聞こえます」をしてもらうことにしました。これは中国および東南アジアの民間療法で、日射病などの体に熱がこもってしまって発散できない状態をエイヤッと取り除く方法です。
かなり強い刺激なので、一般の患者さんには行いませんが、私の場合はあまりに苦しかったので、素人の方にやってもらいました。これは誰にでもできるのです。

中華料理のレンゲ。陶器製かプラスチック製がよいでしょう。金属製は痛いです。
ニベアクリーム、オロナイン軟膏やワセリンなどのクリームを用意します。
東南アジアではいわゆるタイガーバーム(萬金油)とその蓋を使います。

まずクリームをうなじの辺りから、首、肩まで、肩こりが置きやすいあたりに塗ります。また、肩甲骨の内側と背骨の間で凝っているようなところにも塗ります。

そしてレンゲの先を使って、クリームを塗った皮膚を上から下へガリッガリッとおっ掻いてゆくのです。少し痛いくらいがよいでしょう。「痧」という皮下にたまった熱気があると、すこしおっかいただけでそこの皮膚に赤紫や青紫色の血がバアッと浮いてきて驚かされます。しかし皮膚の外に出血しているわけではないので大丈夫です。

うなじから肩までと肩甲骨の内側を上から始めて、下30センチくらいに赤紫の恐ろしい感じの内出血の帯ができたら終りです。この内出血は数日消えませんが、日射病はすぐに治ります。
私もすぐにのどの渇きが取れて、胸の苦しさもなくなり、30分後には手足の重だるさも取れて快適でした。

荒治療ですが、緊急のときはお試しください。
コメント
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