日本の鍼灸学校では、東洋医学の授業と臨床学習のみならず、西洋的な解剖学、生理学、病理学などを徹底的に教わります。それも、一年生から三年生の卒業まで各々毎週2-3時間はついやしていました。とくに解剖学の授業では実際にご遺体の解剖の授業もあり、大変充実したものでした。
米国の東洋医学校の解剖の授業は解剖学に出てくる人体の塗り絵のような教科書ポンと渡され、たったの2学期間(約8ヶ月)で終り。
英語の解剖用語を覚えるのに苦労をしましたが、「なんじゃい、これだけかい。。」という感じでした。
日本の鍼灸学校では、これらのことを常にいわれていたものです。
1.東洋医学や東洋哲学の古典的な書物を読み込むこと
2.何か東洋的な習い事や趣味を持つようにすること
3.西洋医学の知識の学習もおろそかにしないこと
日本では鍼灸医学が専門学校卒扱いで「医療類似法行為」という屈辱的な位置づけにされているゆえ、事あるごとに医師たちにも東洋的な見解と、西洋的な見解の両方でキチンと説明ができるように、また、東洋医学の「専門家としての意地」もあいまって、このような勉強法で教育を受けているのです。
米国では鍼灸医学が大学院卒扱いで「医療行為」とされているというところが大きな違いです。なんだかうれしい位置づけです。しかし、授業内容は専門学校扱いの日本のほうがはるかに素晴らしいものでした。
米国の鍼灸師の試験、特にカリフォルニア州のそれは、当時は日本からの鍼灸師で一発で受かった者はこの5年間一人もいない。。。。といわれていました。
その試験内容は、難しいというより「変なんです!」という感じです。
それは、試験を作る機関がすべて外人で占められていて、東洋的な文化や知識に乏しい面々がその試験内容を管理しているので、おかしなことになっているようです。
試験内容は鍼、灸、漢方生薬学(専門家は湯液といいます。)西洋医学の学科と関連法規です。そして、この東洋医学の試験を作るのが全て「知ったかぶりの外人さん」です。
これは例えていえば、たまたま少しカラオケがうまくてイタリア語を学んだことのある日本人が、強引にアメリカでイタリアオペラ協会を作って会長におさまっているといった状態です。その人が本場イタリア人向けにオペラの試験を出しているような感じです。
或いは、へんなサムライかぶれの外人が、ちょんまげを結って日本舞踊を舞っているつもりで、その実は太極拳をディスコ(古い。。)のリズムで大真面目に踊っているようなものです。また、この人たちはベジタリアンで自称レイキ治療家でバークレーあたりに住んでたりするんだ。。うっかりすると自称仏教徒でよくきくと××××の信者だったりするんだ。。(あーまた怒られるな。。。。)
渡米して13年目になりますが、こちらで多くの職人気質の日本人に会うたびに、どんな技術でも、習い事でもそうですが、「日本のそれは素晴らしい。」と確信しています。「心技体の一致と師匠と道具を大切にする心と謙虚にいつも勉強し続ける心意気」がある限り、何事においても、日本が一番です。
精進精進っと。。。。
(ちなみに私は一発で試験を突破しています。。。あー言っちゃいましたね。。。その数ヶ月後に過労で一月寝込みましたが。。。。。一発で受からなかったら腹を切る!と宣言していましたし。。。)
ニッポン万歳です!
漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。
私の記事が載っている月刊誌
「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。