20年近く前に、「漢方薬を飲んだ方に間質性肺炎が起きて、多くの方が被害を受けたり死亡する原因となった。」と報道されました。多くの患者さんがその記事を読んで、あんたの漢方薬は大丈夫なのかい!と詰め寄ってきたものです。
当時の私はかなりとんがっていた(いまもかな?)ので、「納得いく説明が欲しいならいくらでもいたします。でも、素人記者の記事の方を信じて、心配ならうちから買わないでください。びびって飲む漢方薬は効き目が鈍ります。」という姿勢でおりました。
事の原因となった漢方薬は「小柴胡湯(しょうさいことう)」です。
これは、当時の日本の医学界で、「肝臓病には小柴胡湯(ツムラの9番)一択!」として認識されていたことに起因します。「カゼにはルル3錠」と同じノリで「肝臓病には9番小柴胡湯」と処方されていたのです。患者さんの体質を無視した結果です。
小柴胡湯は急性の肝炎で、しかも体熱が旺盛な患者さんに処方すると大変効果がある漢方薬です。
その適否は、細かい問診、触診、病院であれば詳しい検査データと照合して処方されるべきものでした。
書籍「山本巌流漢方入門」12頁からの言葉を引用すると、「小柴胡湯は消炎作用がある。炎症状態を改善するため、普通は急性肝炎にしか用いない。冷え性や虚弱者に用いるのは、かき氷や解熱剤を一日3回毎食前に長期間服用し、さらに冷やし続けるようなものであり、どこかが悪くなってもおかしくない。中略 こうなると漢方薬の副作用と言うよりは、ごく初歩的な知識もなく連用した無知による人災と言える。中略 元厚生省の調査結果によると、漢方薬の副作用のすべてが、病院から出された漢方薬によるものであった。」とのことである。
患者さんの体質に合わせて処方をするという姿勢を崩さなければ、漢方薬は危険ではありません。メモリアルデー連休の日曜日。たまたま漢方関連の書籍を読んでいて、みつけだした記事です。以前も読んではいましたが、副作用はすべて病院から出された漢方薬によるものだとの内容を観て、もう一度ビックリしました。
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