けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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牛ごぼうは最高のおかず。。牛蒡子(ごぼうし)は乳腺炎の名薬!!

2021-12-12 18:43:07 | 婦人科系疾患


これ、大成功の味でした!



ゴボウの種である牛蒡子は、乳腺炎の名薬です。即効性があり、古来より親しまれてきた漢方薬です。

米国では、お近くのチャイナタウンでも買えます。
日本のアマゾンでも買えます。


もしうちからお求めであれば、こちらからどうぞ。
https://www.kanpouamerica.com/product/122
だいたい一握りの牛蒡子をペットボトル1本から一本半のお水にで煮だし、薄めの麦茶ぐらいの色になったら、その汁を3つに分けて、一日3回飲みます。
ものすごく苦いのですが、ものすごくよく効きます。
一般の乳腺炎、乳房の粉瘤、乳汁のつまりによる乳腺炎にもよく効きます。

そして、乳腺炎にめちゃめちゃよく効くお灸のツボは、天宗(てんそう)でございます。
場所は、背中の肩甲骨の真ん中にあります。両側の天宗にすえるのです。正確な場所は、検索をするとすぐにわかります。また、お灸のためのツボは500円玉ぐらいの範囲でずれていても、十分に効果がありますのでご安心ください。

例えば乳汁の詰まりなどは、ここにお灸をしていると、しているそばから乳汁が噴出して、患者ガウンの前が母乳で広範囲に濡れてしまうほどです。うちのクリニックで、プロの行うお灸をしなくとも、ご自宅でせんねん灸による刺激でじゅうぶんです。


新型コロナウィルスでは死にません。
コロナは弱毒、バイオテロではなく、メディアテロです。
感染してもカゼとして自宅で治せます。
コロナは安全!ワクチンは危険!
どっしりと構えておりましょう。
大丈夫、だいじょうぶ。。


漢方アメリカOnline 
http://www.kanpouamerica.com
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牛蒡子(ごぼうし)以外の、乳腺炎の治療 「お灸や蒸しタオルなどを使う」

2012-12-16 01:24:21 | 婦人科系疾患
先日、牛蒡子(ごぼうし)の入荷の旨をアップいたしております。

しかし、牛蒡子はまずい。本当に苦いです。イコール良薬ということなのでしょう。乳腺炎に大変よく効きます。

これ以外に乳腺炎のケアはないのでしょうか?


天宗(てんそう)のお灸が最適です。
天宗の位置は肩甲骨の真ん中あたりにあります。

ここを指で押すと、「えっ?」と思うほど痛く感じることがあります。
特に乳腺炎を起こしていらっしゃる方は、驚くほど痛く感じます。
ここに、せんねん灸などでお灸をすえるのです。

たとえば、母乳が出渋っているときに、ここにお灸をすえると、その場で射乳現象が起こり、患者さんに来ていただいている患者着の胸のあたりが母乳でじわーっとぬれてくるほどの効果のあるツボです。

お灸がない方は、蒸しタオルをこの天宗穴のあたりにあてて、肩甲骨の真ん中あたりをよく温めても、効果があがります。

ぜひお試しになってください。
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当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 血虚による婦人科疾患と腎臓の治療など。。

2012-05-21 07:41:21 | 婦人科系疾患
本来この当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)はご婦人とくに血虚(けっきょ)体質の方に使います。

前回は瘀血(おけつ)のお話をしました。これは血の巡りが悪くなっている、血がどこかに充満して動きにくくなっているなどを指します。

虚血(きょけつ)は貧血とほぼ同義でありますが、東洋的な説明をしますと、人体に流れる重要な成分で、お互いに影響しあって働いている、「気」「血」「津液(しんえき)」のうちの津液と血の関係の乱れと考えます。

多くの場合は、虚血か瘀血、或は虚血と瘀血の両方の体質の方の3種類に分類できます。この体質をマイルドにカバーして、病気の元を断つのが東洋医学です。

体の中の水である「津液」は五臓の気を受けて、水から血に変ると解釈されています。体質的にこの水がだぶついている方は、この水が血に変りにくいので、貧血があったり立ちくらみがおきやすいといえます。
こういう方は水が多いので熱がりで寒がりの方が多いようです。

また、この漢方方剤は、腎臓疾患の方にも仕えます。
以前にも触れましたが、メキシコ人の患者さんの姪っ子さんで19歳くらいの方が、腎臓疾患を起し、人工透析を行わなければいけなくなりました。
ご本人はメキシコ在住ゆえ、電話問診をいたしました。

「何とかならないか。」とのご相談に対し、彼女の体質はまさに当帰芍薬散の証でありましたので、これを処方いたしましたところ、人工透析を免れることができました。

当帰芍薬散は血を増やし、体を温め、腎臓にもマイルドな癒しを提供します。

冷え性が中心となる治療は、この当帰芍薬散をお湯に溶かしたときに、ショウガの絞り汁と1-2滴入れて服用しますと、いっそうからだが温まります。

そして、お酒の飲める方は、寝る前などに服用するときに、この当帰芍薬散の粉を直接口に含み、お猪口1-2杯のお酒がワインでこれを飲み下すということもよい方法です。とても体が温まります。

これらの方法も伝統的で安全な服用方法です。

漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。

私の記事が載っている月刊誌「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。

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瘀血(おけつ)の治療 女性のメンテナンス、 古傷などのケア

2012-05-14 10:13:19 | 婦人科系疾患
「女性は血の道」いわれます。これは女性の体質は、特に血の状態がよいことが健康体を維持できることだということを示唆しています。もちろん男性にも血は必要でありますが、男性の場合は血のことよりも気という概念で観ることも多いようです。見るというよりも、敢えて「観る」という言葉を使います。

漢方医学の原典では、人体を流れる生命力のようなものと液体類を気と血(けつ)の2つに、或は他の原典によっては、これを気、血(けつ)、津液(しんえき、人体の血のように赤くはない色の液体)の3つから人体を観ることになります。

これに陰陽、五行などの東洋哲学から来る宇宙観とか人体観を主にして、人の体を天地の理と適合しているかどうかなどを含めて、診断をしてゆきます。

もちろん、患者さんは現代的な病名を医師に診断されて来院する方も多いので、現代的な解剖、生理、病理学の知識も必要になります。日本の鍼灸学校では、これらを全部学ぶことになり、実際のご遺体の解剖も行われます。
米国の東洋医学校で教え始めて驚いた事は、解剖学の授業がたったの半年間で、実際のご遺体に接する事もなく終る事でした。

さて、本日はこの気、血、津液の中の、「血(けつ)」を主にしたお話をしたいと思います。

1.東洋医学的には血の関連の病は、血が少ないという状態を「血虚(けっきょ)」といいます。英語でBlood deficiencyと表現します。

これは西洋医学的な貧血とも同じである部分も多いのですが、それ以外の意味合いがあります。
西洋医学的には、「貧血」は物理的に血が足りない、赤血球のヘモグロビンが酸素を捕まえる効率が悪いなどの状態を指します。
東洋医学的には、確かに血自体も少ないのですが、その血に含まれる「陽的な気」も血の中の液体成分である「津液(しんえき)」どちらも少なくなっているので陰陽共に虚している。という意味合いになります。
この状態から派生してできた病は、これらが補われる事によって、体が温まり、各臓器が潤されて、頭寒足熱の状態になって、結果的に病の元が断たれるということになります。

血虚で起りやすい症状を挙げますと、生理痛、生理不順、冷え性、不妊症、めまい、頭痛、元気がない、その他諸々の症状があります。

代表的な漢方薬は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。
また、鍼灸でいうと、お灸が血を補うのに適していて、特に足の三陰交(さんいんこう)などに毎日インスタントお灸をする事によって、ご自分でも治療することが可能です。

2.瘀血(おけつ)という概念が、上記の「虚血」と共に重要な要素です。
瘀血とは血の滞りということです。これは交通事故や手術、ご出産、中絶、ガチンコ勝負の格闘技を長く続けた、などでショックを受けたり傷を作ったりしたあとに、その後のケアが悪かったために起る状態です。また、大変なストレスをうけても気分がギュウーっと固まって、瘀血が発生します。英語ではBlood stasisと表現します。

しかし、瘀血は誰の体にも大なり小なり存在します。それがアンバランスを引き起こすほどの比率になったときに、体調の乱れや、名前のつく病気の状態になります。

瘀血で起る病名を列挙してみますと、古傷の痛み、頭痛、めまい、吐き気、うつ症状、不妊、お肌のシミ、便秘、耳鳴り、生理痛、生理不順及びその他諸々の症状があります。上記の「虚血」で起きる同じ名前の病気もあるのですが、その背景が異るわけです。

代表的な漢方方剤は桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝龍骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などです。
もし、インスタントお灸で経済的に自己治療をしたい場合は、先ほどの三陰交(さんいんこう)と曲泉(きょくせん)を使うとよろしいでしょう。

まず、多くの方々、特に女性には程度の差は別にして、必ず瘀血があると考えられます。そこで、健康管理、体質改善、病気の予防として、瘀血治療を薦めています。
これは、別に何の病気が無くてもはじめられる、女性や古傷を持つ方の健康法として使える漢方療法です。

桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)を毎日2回服用して、2ヶ月から3ヶ月間様子を見るのです。

もし、便秘がある方は、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を服用しますと、瘀血タイプの便秘がすぐに改善されます。そして、2-3日便が出たらまた桂枝茯苓丸にもどすのです。

しかし、この桂枝茯苓丸、、まったくもって地味な漢方方剤です。飲んでいても数週間は何が起きているのかわからないのです。例えば加味逍遥散などは、ストレスを感じたりイライラするときにこれを飲むと、20分くらいで「なんだかおちついたな~」 と感じることができますが、これとは大違いです。

しかし、古傷や、手術のあとの不具合や、いつもおもい感じの腰痛などが解消されたり、先に挙げた婦人科の病が消えたり、産後のお体の不都合が大幅に改善されたり、うつ症状が軽くなってまいります。

地味すぎて効いているかがすぐにはわからない漢方薬。。。わたしも自己人体実験をしてみたことがあります。
たしかに、、、地味だ。。でも、2ヶ月ほどしますと、昔怪我をした手首の不具合や、なぜかゲップをするとうずくようになった左手の薬指のいやな感覚が消えました。
しかし、瘀血対策としては第一番に挙げられる、とても頼りになる漢方方剤君です。
特に血の道でいきている女性の方や、事故や手術などで、からだにショックがあった方にはいっそうの効果が期待できます。瘀血が取れてくると、顔のくすみやシミが消えてゆきます。また、少し時間がかかりますが、黒ずんだ歯茎が明るい色になってきます。


ちなみにサンフランシスコにたくさんいらっしゃるゲイのお姉さん方に教えたもらったお話ですが、曰く「わたしたちは人にけなされるのは慣れているのよ。だから、みんなアタシを観て!っていう感じで一生懸命生きているの。でもひとことだけショックな言葉があるのよ。。」とのことでした。その言葉は、「あなた、、、地味ね。。」なのだそうです。彼女たちはおもわず「え!そうなのかしら!?」ってあせっちゃうのだそうです。

あー、、、なんかわかる気がしますね。。。人を傷つけてはいけません。



漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。

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お酒で飲んでもよい漢方薬、生姜汁をたらす手もあります

2011-10-20 12:52:30 | 婦人科系疾患
冷え性や、貧血気味の方を癒す漢方方剤の中には、生姜やお酒が含まれているものも多いです。

実際に生薬を煎じて作る漢方薬は液体ですので、その中に生の生姜汁やお酒が含まれていることが多いです。

しかし、特に粉剤の場合はお湯に溶いて飲むことも多いため、そのお湯にショウガの絞り汁を1滴落として飲むと、いっそうからだが温まります。
寝る前でしたら、その粉を口に含み、お猪口1-2杯のお酒やワインで飲み下す手もあります。

日中、お酒の匂いがするのは憚られると思われるときは、このショウガの絞り汁を使いましょう。

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当帰芍薬散 (當歸芍藥散、とうきしゃくやくさん)が出来立てです!

2011-06-30 11:43:29 | 婦人科系疾患
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、本当は難しい字体で當歸芍藥散と書くのが好きです。

大昔、師匠と話しをしているときに、

「當歸芍藥散はシンデレラ姫や白雪姫タイプ。細身で白くて貧血っぽい感じ。脅かしたり辛いいことがあるとすぐに ぁぁっ!。。。といって気を失いそうな感じの女性に使い、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)はディズニーのアニメに出てくる人のよさそうなガッチリ固太りのメイドのおかあさんのタイプに使うのじゃ。。。これは簡単に貧血タイプと瘀血タイプをみきわめる例じゃ。」

と教わりました。このとき同期のとんがりタイプの女性は「じゃあブスは桂枝茯苓丸で、美人は當歸芍藥散という事ですか?!!」と突っかかっていたのを覚えています。この同期は、他の男性の同期に「お前は桂枝茯苓丸タイプだ!しかしキーキーしてるから加味逍遥散も飲まないとだめだな!」といわれて「じゃあ私が可愛くないっていってるのね!」もっとキーキーしていました。
(私も、この人かわいくないなーーと思っていたのは事実です。。。。。)

また、美人さんでも交通事故や激しい運動や手術などで体にショックを受けた事のある方は、桂枝茯苓丸の系列の漢方薬を併用することが必要となります。

アメリカでは当帰芍薬散が大変よくうれていて、常に新しく作って補充をしています。先週も大量に作りました。

当帰芍薬散桂枝茯苓丸、いずれも古来から存在する、女性の健康維持のための名薬です。

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不妊症の漢方薬治療 3 (婦人科系疾患の一般治療も含む)

2010-09-21 07:31:26 | 婦人科系疾患
前回は桂枝茯苓丸錠(けいしぶくりょうがんじょう)のお話でした。
今回はこの桂枝茯苓丸錠を使う体質で、且つ便秘がひどい方に使う漢方方剤です。
なまえは、桃核承氣湯(とうかくじょうきとう)です。これがタブレットになっているので、名前の後に「錠」の文字をつけることがあります。

これは、体力は比較的あって血の流れが悪くなっている、いわゆる瘀血(おけつ)という状態があって、便秘がきつい方に用います。

これを便秘薬としても使うことができます。
長い婦人科疾患を治療するために、この方剤を1-2ヶ月ほど服用してから、次のステップに行くことも多いです。

また、以前にも少し触れましたが、女性でいわゆる血の道に問題があり、生理不順で便秘で、あるいは出産や事故の後に、何か憑き物がついているような、狂騒状態があるときに、この方剤でおとなしくなることが多いです。

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読めますか?當歸四逆加呉茱萸生姜湯

2007-08-07 16:13:08 | 婦人科系疾患
今回はまた、上質の材料が手に入ったので、9種類の生薬を調剤してこの漢方薬を作りました。
題は「とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう」と読みます。
これは婦人科系の大変重要な薬です。体質とお体のアンバランスの様子がこの薬方と合致した場合に効果のある病名を並べてみます。
手足の冷え、しもやけ、冷房病、冷えによる腰痛、月経痛や生理不順、産後の下痢、月経時の下痢、などです。

少し専門的な言い方をすると、肝の蔵(伝統医学では「臓」よりも広い意味でこの字を使います)とそれとつながっている足の厥陰肝経という経絡のなかの氣と血、特に血が虚(減ってしまって)して体が冷え切っている状態。あるいは全身が冷えてしまうまえに、最後の砦として胸を中心に頭にも熱気が残り、手足は非常に冷えているのに胸が熱かったり、顔がほてっている状態です。肝虚陽虚寒証といいます。

こういった方々がこの漢方薬を服用すると、先ずは足腰が程よく温まって、大変気持ちよくなり、寝つきも良くなります。そして、上述の愁訴が改善されてゆきます。

この「とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう」はこれらのほかに、上記のような背景があるからこそ起こりやすい、女性の性行為の不具合に適応する重要な漢方薬であります。冷えや倦怠感から、その行為自体に興味がなくなっていたり、血液、体液の不足から疼痛があるとかの症状が主になります。

日本の患者さんはこういう話題が苦手で、脈診や腹診を行った結果でそれとなくわかったり、こういった症状があった方から、うまく治った後に「実はこうだったのです、、、」とうつむき加減に教えてもらうことが多いです。

米国に来たばかりのときは、日本よりははるかに大胆というか、私達治療家を信じての、非常に素直な米国女性のご返答に内心戸惑ったものです。

次回は同じくこういった分野の女性の漢方薬についてお話をしたいと思います。一気に書き綴ってしまいましょう。

Japanese Acupuncture & Herb
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不妊症に使う、温経湯(うんけいとう)ができました!

2007-08-01 05:03:17 | 婦人科系疾患
昨日は温経湯(うんけいとう)の粉剤をつくりました:
既製品の顆粒やタブレットや丸薬のバージョンもあるのですが、当診療院では米国FDAの基準をクリアーした単品12種類の漢方薬剤を漢方書籍の記載にのっとって調剤したものです。こちらの患者さんはお忙しい方が多いので、土瓶でぐつぐつと調理するのではなく、粉剤としてお湯に溶いて飲んでいただくか、どうしてもあの味がだめという方にはカプセル詰にしてお出ししています。

この温経湯(うんけいとう)は不妊症の漢方薬として知られています。よって月経不順、下血、冷え性、冷え性でのぼせる、無排卵、帯下、手掌角化症、潰瘍性大腸炎、流産後などにも用いられます。
西洋医学的な病名を並べるとこのような疾患名の羅列となりますが、東洋的に観ると、肝虚陽虚寒証といって、足の厥陰肝経という経絡と東洋的に観た肝の気や血が虚していて、冷えの症状が見られる場合ならこれ以外の多くの病名にも適応します。
ご質問があれば、いつでも歓迎いたします。

素人さんの誤解:
ずいぶん前になりますが、不妊症の方にこの温経湯(うんけいとう)を処方して、苦情を言われてことがありました。
「温経湯(うんけいとう)には牡丹皮(ぼたんぴ)という薬剤が入っている、これは体が冷えて流産する危険があるというので、ほかの漢方薬に変えて欲しい」とおっしゃるのです。この方の体質を含めた症状が、上記の肝虚陽虚寒証なので温経湯が一番適当なのですよとご説明したのですが、「だめだ」の一点張りです。 これは一時日本でも問題になった件です。結果はもちろん「安全無比」です。

この方はインターネットで漢方薬のことを大変勉強をされている方でしたので、お電話を受けながら私もインターネットでこの方の情報源を探ってみるに、やはり日本の「医者」の素人判断でした。日本では漢方薬を扱えるのは薬剤師か医師ということになっているので、多くの関係者は大学時代から西洋医学の知識からの漢方薬を分析するようになってしまっているのです。そうすると東洋医学全体の観点から鍼灸と漢方の技術を学んだ者とは大きな隔りができてしまいます。

合せ飲みの妙味:
この漢方的素人医師の言っていることは料理にたとえると、「カレーライスを作るのに、塩は体に毒だから全部抜いて作れ」といっているのと同じです。確かに塩だけをなめたら体にはよくない、しかしそうなるとこれはまともなカレーライスではなくなってしまいます。
ここに西洋の分析医学の弊害が出ているわけです。

漢方薬は単品(1種類)だけで服用することはまずありません。必ず複数の薬剤を使って「合せ飲みの妙味」を作り出すのです。
これだと1プラス1イコール2プラスアルファーの効果が出るのです。

2種類以上の生薬をまぜて服用したときに起こる現象は、ただ単にそれぞれの生薬によって起こる作用を加え合わせたということでは、説明の付かないことが多い。折るときはその作用が、ただ単に加え合わせてと考えられる以上に強くなり(相乗作用という)、あるときは弱くなり(相殺作用という)、またあるときは、全く別の作用を示す(方向転換という)。例えば、麻黄(まおう)を例にとって見ると、麻黄単独の作用は発汗剤で、皮膚の排泄機能障害を治すものである。ところがこの麻黄に桂枝(けいし)を加えると発汗剤(相加作用)となり、石膏(せっこう)を加えると止汗剤(方向転換)となる。さらに麻黄に桂枝と石膏の3種を混ぜ合わせると、麻黄と桂枝の作用である発汗作用が助長される。(相乗作用) また、麻黄に朮(じゅつ)を加えると利尿剤(方向転換)となり、麻黄に杏仁(きょうにん)を加えると鎮咳剤(方向転換)となる。
このように、加えられる相手によってその作用が変って行くのである。(この段は、「漢方薬の実際知識」東洋経済社より抜粋)

合せ飲むことによって限りなく夢が広がるのです。

日本伝統鍼灸漢方

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不妊治療 東西医学コンバインの例

2007-06-01 07:54:41 | 婦人科系疾患
東洋医学の患者さんは東洋医学だけ、西洋医学の患者さんは西洋医学だけに偏向してしまうのもよくない場合があります。
また、両方を併用して画期的な結果を得ることもあります。
私が教えているサンフランシスコの東洋医学校の日本伝統鍼灸漢方の臨床教室でのお話です。

37歳の米人女性で、東洋医学の治療を併用して西洋医学による体外受精をうけたところ、排卵が26個もあり、そのうち23個が受精して、先週そのうちの2個の受精卵を子宮に戻してめでたくご懐妊となりました。この数値はかなり喜ばしいもので、本来は西洋医学のみですと平均排卵数は10個程度、受精の確立は3個以下です。西洋的な治療を受けている人も東洋医学と併用することによって、相乗効果が得られたよい例でした。

東洋医学的には受精ということも大切ですが、それ以上に女性の下腹部が受精卵から胎児にとって居心地のよい環境でいられるようにしてあげることを特に重んじます。むしろ農業をおこなって、種が育ちやすいふかふかで温かく栄養の豊富な水はけのよい畑を作れるようにお手伝いをすることになります。健康な胎盤が育って、胎児が流れないですくすく育つ環境を作ります。この方の妊娠は先週からですので、今回はむしろこれからがわれわれ東洋医学の正念場となるでしょう。

彼女の治療ははじめに体質改善の鍼をして経絡を整えて、足首に近い三陰交という場所にお灸をして、妊娠前はケイシブクリョウガン、ウンケイトウ、トウキシギャクサン、カミショウヨウサンなどをそのときの脈とおなかの具合に応じて服用してもらっていました。
いつも熱気が上に昇って鼻が詰まっていたのが治り始めると、おなかや足腰が温まり始め、結果的に驚くべき受精率となったのです。
一般的には西洋医学のみの不妊治療での成功率は20%、東洋医学と併用した場合は60%以上の成功率といわれています。

もちろん東洋医学のみの治療でも、十分な不妊治療を行うことが可能です。
今回は既に西洋医学の治療を受けている方でもよりよい効果が期待できるという話題でした。
早くこの方の可愛い双子ちゃんに会いたいものです。

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