けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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シミ、そばかすに効く漢方薬

2007-02-18 15:17:10 | Q&Aコーナー
ご質問
私の友達が腕を骨折しました。
ギブスこそしなかったものの、固定していたもので肌が密封され、ケロイド状に荒れてしまいました。彼女はもともとアトピー体質です。
痒みも酷いため、市販の痒み止めを使っていますが、それを余り使いすぎると肌が黒くなってしまうそうです。
漢方で改善する方法はありますか?


回答
これは包帯や固定器具などで密封されてしまい、発散できなかった体内の熱の一種がこういった症状を引き起こします。
塗り薬としては紫雲膏(しうんこう)がよろしいでしょう。これは当帰、紫根(着物を染める紫染料)、蜜蝋、猪脂などをごま油で練りこんだものです。日本では薬局ですぐ手に入ります。しかし、これはシュウマイみたいなにおいがするので、気になる方のために、私が作る場合は、オリーブ油で練りこんだりしています。

また、骨折や打撲の後には、必ず血液の循環が悪くなる箇所が発生し、いわゆる瘀血(おけつ)が発生していますので、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を2ヶ月ほど飲むとよいでしょう。
これは下腹部のおけつにもききますので、結果的にシミやそばかすができる原因を取り除く作用があります。
これを美容に使う場合、顔面にシミが多く、唇はやや赤黒く、肩こり、腰痛で足がつりやすくて、食欲は旺盛なほうで便秘がちの方に特に適合します。専門的には脾虚肝実証下腹部瘀血型といいます。
成分は桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬が当分に配合されていて、どれもあまり刺激の強すぎない薬剤がお互いに作用しあってできております。普通程度の健康な女性ならば長期にわたって毎日健康維持のために服用をしてかまいません。
事故よる打撲、手術の後、おけつによると思われる前立腺疾患の方はもちろん男性でも服用する必要があります。



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男子の本懐 スタミナ治療

2007-02-14 09:32:43 | 泌尿器科系
前回女性の疾病に関するコラムを書いたところ、多くの方々から、じゃあ男はどうするのか?という質問が多く寄せられました。
確かに世の中には強壮剤とか強精剤とかいう名前で、社会でストレスと過労と戦っている方のための薬が横行しています。その多くは付け焼刃的で、あまり体によいとはいえません。
結果的にのぼせたり舌や顔に吹き出物が出たり、血圧が上がってしまったりするものが多いです。

日本の鍼灸学校時代に足の親指の先にお灸をすると、「足の 肝経という経絡(氣のとおりみち)が充実する。この経絡は足の親指から始まって、足の内側を通って登り、陰部を通過して肝臓と胆のうをめぐって上行し、胸を抜けて両眼の後ろで終わる。よって足先にお灸をするとその通り道である陰部の気力が充実するので結果的に強い男になれる。」と教わりました。
翌日の実技の時間、みんな服を脱いでお互いに治療をしあうのですが、そのときに男子生徒全員の足の親指が真っ黒く焦げていました。
一同大爆笑でした。

もう一つはこの足の親指から少し足の甲に上がったところにある、太衝(たいしょう)というツボにお灸をして、八味地黄丸(はちみじおうがん)を飲むという方法がよいでしょう。即効性もある程度期待ができる上に、根本的な体力をつけてゆく効果があります。
この八味地黄丸は別名金匱腎氣丸(きんきじんきがん)ともいわれて、体がやや冷え気味で、上半身にのぼせ感や、のどが渇きやすい腎虚陰虚証という状態に使用する薬です。
日本では糖尿病や白内障の薬として服用している場合が多いのですが、例えば男性不妊症にもよくつかいます。精子の尾の動きが弱くて力強く泳げない場合や、放射線関連のお仕事をされていて子供が欲しいということで、一定期間職を離れたのちに改めて子供さんを授かる努力をしたい方などに使います。
また、八味地黄丸を服用して胃腸に負担がかかる気がするという方は右帰丸(うきがん)でも同じ効果が期待できます。

もう一つは四逆散(しぎゃくさん)を飲むというのもよい手です。これは消化器がやや弱めで、胃十二指腸潰瘍などになりやすい体質で、少し怒りっぽい方に適合します。消化器系統を落ち着かせ、肩こり、性欲減退、勃起不全などに使います。

この四逆散から派生した方剤に解労散(かいろうさん)というのがあります。
これは肩こりの方剤として有名なのですが、ようは肩がしっかりしてしまって(硬くなってしまって)しっかりしていなければいけない足腰の方は手薄になっているのを調整する薬です。もちろん男女ともに効果が期待できます。
当診療院では毎回これをバケツいっぱい作るのですが、すぐに売り切れてしまいます。

コメント (4)
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お肌によいハトムギ

2007-02-03 05:22:03 | 美容、美肌、ダイエット
全ての女性と一部の男性が美しいお肌を求めています。
これを薬膳とか漢方的に考えると、皮膚の滋潤をつかさどる肺と大腸を整えることが大切になります。
お肌に直接つける化粧水や薬品は外からの治療ですが、漢方薬は中からの治療です。

お肌の調整にはハトムギ剤を飲むとよく効きます。
ハトムギは健脾補肺、利水除湿、胃腸のコントロールシステムである脾とその経絡を健やかにし、肺を補って水はけをよくして、湿気を取るとあります。
なんだかたんすの除湿剤「水取りゾウさん」みたいですが、水はけをよくして皮膚の下や関節にたまった余計な水分を取り除く作用を示しています。
漢方では肺と大腸はペアになっいますので、結果的に大腸も健やかになります。
そして皮下にたまった湿(スキット出きらない水)が動くことにより、余分な熱が取れて、お肌がきれいになるのです。

普通漢方薬は、方剤といって2種類から多いものは20種類近くの薬剤が微妙な配合で成り立っていて、単品で使うことはあまりありません。
しかしハトムギは単品でもよくつかう薬剤です。
日本ではカネボウやツムラが薏苡仁(ヨクイニン)錠という錠剤が出ていて、これも大変よく効きます。
このハトムギはイボ取りにも優れた効果を表します。剣道や柔道などをやっている方で、手や足の指の付け根や、膝の裏のあたりにころっとできる頑固なイボがある方がらっしゃいますね。これはイボコロリのような薬品を外からいくら塗ってもまたキノコのように生えてきます。
このハトムギを飲んでいると人にもよりますが、2週間からひと月くらいでイボが自然に落ちてしまいます。
私も確か高校生の頃に頑固なイボがポロッと落ちて驚いたものです。

アメリカでは中華系のマーケット、特にRanch99(大華市場)、Marina Market(永和超級市場)のお茶や豆の売り場で売っている、台湾製の「苡仁茶」という名前の商品が品質的にも値段的にも最良だと思います。苡仁茶と書いてありますが、中身はお茶ではなく白いハトムギの粉です。赤ちゃんの粉ミルクのような円筒形の缶に入っていて、缶の色は緑色です。缶の中にはスプーンが入っていて、これで1-2匙分をお湯に解いて飲みます。あまり甘くなくて大変のみやすいです。

これを飲んで一週間ほどすると多くの場合、背中の皮膚からきれいになり始めます。だんだんと全身の皮膚に波及してゆくでしょう。
これは一種の食品でもあるので、じゃんじゃん飲んでかまいません。お値段は一缶10ドル弱です。
漢方薬剤の本には妊婦さんは禁忌と書いてあります。これはそれほどからだを冷やすものではなく、ハトムギを飲んで流産した例は一度も見たことがないのですが、念のため妊婦さんは飲むのをやめておきましょう。
コメント (4)
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