荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

奥田英朗の巻、ふたたび。

2016年08月10日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




奥田英朗著【向田理髪店】を読了しました。

さすがの安定感で、とても楽しい作品となっております。

北海道夕張市をモデルにした、架空の町・苫沢市が舞台。

その昔は炭鉱で栄えるも、エネルギー革命のあおりを受け衰退。

様々な公共事業を投入はしたのですが、これもことごとく失敗となります。

やがて苫沢市は財政破綻をむかえる事に。

そんな町で理髪店を営む向田康彦が主人公となります。

50歳過ぎの康彦が、小さな田舎町で起きる、ちょいとめんどいトラブルに右往左往する物語。

左程、田舎町をステレオタイプに描き過ぎていないトコに『奥田英朗って達者だなぁ』と感じました。

僕はトーキョー・下町生まれの江戸っ子ですから、よく分かりませんが、それでも『田舎町ってこんな感じだろうなぁ』と。

都会と違い、物理的にも心情的にも狭い社会で日常生活を送るのは、めんどい事でしょう。

でも、ほんのちょびっとは、狭い社会ながらの人情もある。

そんな田舎町が羨ましくすら思えました。

是非、続編を希望します。

あと、BSあたりで原作通りのドラマ化も。

映像的にもキレイじゃないかなぁ。



『田舎の人が歓迎したら、それは歓迎したんだから早く帰れということです』永六輔(ニッポンの放送作家・1933~2016)

過去の記事。
奥田英朗の巻。
田舎の巻。
田舎の巻、ふたたび。
田舎の巻、みたび。



こんな感じかな・・・。