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スキーの「足裏」感覚とカカト荷重(更新)

2012年03月24日 | スポーツ
この記事は削除しようと思っていたのですが、意外にも、皆さまに読まれているようなので、あえて残すことにしました。これまでの私のスキーの「葛藤」が、他のスキーヤーの方々の参考になれば幸いです。この時から3年後、私は「カカト荷重」を完全に止めました。その結果、スキーの質は格段に良くなったと思っています。

数年前から、私はポールに入っています。カチカチの中・急斜面バーンにおいて、SLでもGSでも、20ターン以上滑ります。その際、カカト荷重では、とても滑れないのです…。くわえて、いわゆるデモ用の板はまったく通用しない…。トップレベルの技術を持つ基礎スキーヤーであれば、板を選ばず、カカト荷重でも、規制されたハードバーンを高速で滑れるのかもしれませんが、私には到底無理でした。

なぜカカト荷重では滑れないのか。答えは簡単です。第1に、カカト荷重では、スキーのセンターに体重を乗せにくいのです。体重をスキーの中心にもってこないと、スキーは十分にたわみません。その結果、うまくターンができない。第2に、体軸がぶれやすくなります。カカトに重心を持って来る意識で滑ると、お尻が落ちがちになり、身体が生み出す板への圧力が後方に抜けてしまいます。さらに悪いことに、足首も曲げにくくなります。こうなってしまうと、もう、まともにターンができません。へたをすれば大転倒につながります。

ポールの規制がないフリースキー(基礎スキー)の落とし穴は、キチンとした身体の動きやスキー操作ができていなくても、何とか滑れてしまうことではないでしょうか。その結果、自分のスキーの欠点に気づきにくくなり、変なクセがついてしまい、それが修正しにくくなる。悪循環ですね。ところが、ポールに入ると、そうはいきません。体軸がぶれたり、ポジションが悪くなると、次のポールに入れなくなるか、入ることができても、何とか通過できる程度になります。ですから、ポール練習では、すぐに自分の滑りの良しあしをチェックすることができ、修正に結びつけられるのです。

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今シーズンは、3月に入ってもかなりの積雪があり、気温も例年より低めなので、まだまだスキーが楽しめそうです。ところで、先日、志賀高原で久しぶりにスキースクールを受講しました。指導のポイントは、きわめてシンプルでしたが、私にとっては、滑りの改善にとても役に立ちました。

カービングスキーになって、よく強調されることが「カカト荷重」です。正直、私は、この「カカト荷重」には強い違和感がありました。カービング以前のスキーで修得した拇指球を中心にした荷重のクセが身体に染みついていたことと、カカトに荷重ポイントを移すと、ポジションが後傾気味になってしまうからです。とくに、後傾はとりわけ急斜面高速ターンでの安定性を損ないます。難斜面をカンガン飛ばすのが好きな私は、後傾にならないよう注意しながら、前傾を保とうと無意識に滑っていました。当然、足裏の荷重ポイントは、自然と前になり、極端な場合には、つんのめり気味になります。

私の滑りを見て、Sさんは、その欠点に気づいたのでしょう。「荷重ポイントはカカトです。缶を足で潰すときに、カカトを使うでしょう」とのアドバイス。う~ん、確かに、その通りです。でも…。カカトに乗ると、スキーが先に走り、身体が遅れて、スキーのセンターに乗れなくなり、暴走しないだろうか、という不安と疑問が残ります。

Sさんの指導は続きます。「荷重するときは、ブーツの中で親指を立てます。そうすると、すねの筋肉が緊張するでしょう。一日、滑り終えて、すねの筋肉痛になるくらい、意識しましょう」。さらに、「カカト荷重で斜面に拇指球が接触するような感覚で滑るとよいです」とのこと。この一言で、ここ数年のカカト荷重への疑問が一気に解消しました!要するに、外足は足の内側に体重をかけるという、従来のスキーで言われていたことと同じなのでしょう。そこから一歩進んで、あとは、いかに圧をスキーのセンターに効果的に伝えるかという、細かい技術の話になります。

実際、こうしたアドバイスを実行することを意識して滑ると、スキーの板が雪面をよく噛み、ターンが安定することを実感します。また、ターンの切り替え時に、足首の緊張が緩んで、谷回りへの入りが遅れることを改善するのにも有効のようです。そして「論より証拠」。Sさんの指導後の自分の滑りをビデオチェックしたところ、これまでの欠点がだいぶ直っていることが一目でわかりました(もちろん、まだまだ修正すべきところは多いのですが)。

カービングスキーになり、「内足主導」とか「骨盤の動き」とか、さまざまな技術ポイントが指摘されていることもあり、私の中で腰から上の動作に注意が集中してしまい、基本中の基本である雪面にもっとも近い足裏の感覚の重要性が薄らいでいました。この問題をたった数ターンを見ただけで見抜き、シンプルな基本動作の指導だけで改善させてしまうとは、さすがプロと感心しました。
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