ネオクラシカル・リアリズムの理論構築や検証方法、今後の課題などをまとめた学術書 Neoclassical Realist Theory of International Politics (Oxford University Press, 2016) は、よくまとまっていると思いました。著者は、Norrin M. Ripsman(コンコーディア大学)、Jeffrey W. Tariaferro(フレッチャースクール)、Steven E. Lobell(ユタ大学)であり、彼らは一連の編著 Neoclassical Realism, the State, and Foreign Policy (Cambridge U. P., 2009); The Challenge of Grand Strategy (Cambridge U. P., 2012) を世に問うことなどにより、一貫してネオクラシカル・リアリズムの研究に取り組んできました。
国際関係研究における「パラダイム」や「主義(イズム)」は、何かと批判にさらされますが、私は、いまだに重要であると思っています。彼らの言葉を借りれば、「パラダイムによるアプローチは、われわれが国際政治のダイナミックスやその規則性を全体論的な方法で理解する手助けになり得る…有用な政策に通じる経験的研究を活性化することもできる」(Neoclassical Realist Theory of International Politics, p. 8)からです。
ネオクラシカル・リアリズムは、システム要因と国内要因を1つの理論に組み入れるものです。こうした理論化の試みは、過去に何度も試みられましたが、本書の成果は他の研究より画期的かもしれません。なぜならば、彼らの試みに問題はあるにせよ、簡潔性(parsimony)をあまり損なうことなく、両方の変数を理論に組み込んでいるからです。しかも、説明する範囲が広いので、説明力(explanatory power)が高いと言えそうです。
Neoclassical Realist Theory of International Politics はコンパクトですが、中身の濃い学術書です。とりわけ、国際関係のグランドセオリーに興味がある方には、間違いなく読むに値する良書です。
国際関係研究における「パラダイム」や「主義(イズム)」は、何かと批判にさらされますが、私は、いまだに重要であると思っています。彼らの言葉を借りれば、「パラダイムによるアプローチは、われわれが国際政治のダイナミックスやその規則性を全体論的な方法で理解する手助けになり得る…有用な政策に通じる経験的研究を活性化することもできる」(Neoclassical Realist Theory of International Politics, p. 8)からです。
ネオクラシカル・リアリズムは、システム要因と国内要因を1つの理論に組み入れるものです。こうした理論化の試みは、過去に何度も試みられましたが、本書の成果は他の研究より画期的かもしれません。なぜならば、彼らの試みに問題はあるにせよ、簡潔性(parsimony)をあまり損なうことなく、両方の変数を理論に組み込んでいるからです。しかも、説明する範囲が広いので、説明力(explanatory power)が高いと言えそうです。
Neoclassical Realist Theory of International Politics はコンパクトですが、中身の濃い学術書です。とりわけ、国際関係のグランドセオリーに興味がある方には、間違いなく読むに値する良書です。