Kazuko MISAWA World

三沢かずこの青の世界 ー 作品の周辺

墨の抽象

2015-06-30 08:23:42 | 作品

パリ個展から帰国した三月から自宅、アトリエの片付けが続いている。このごろは腰痛が起きそうな行動の前に、貼り薬を使っている。これが意

外にきく。痛くなる前に貼ってしまう。昨日は、気合いを入れて、50号を2点きちっと梱包した。長い間梱包もせずに、立てかけてあった。ごめ

ん、と言いながら包み終えた。その折に中身の分からない包みを見つけた。中から出てきたのは墨の抽象作品だった。

ネパール紙だったろうか。はっきり分からないが、墨をいじっていた頃の作品だ。書道から水墨画に変わり、墨を使って抽象作品を描こうとして

いた頃のものかもしれない。書道の影響だろうか、和紙をはじめアジアの紙を探してはストックし、いろいろな紙で作品づくりに挑戦していた。

その影響が今の、油彩と紙との格闘に続いている。この包みの中の作品、個展にも出せずに雑に包んで、天袋にのせてあった。この頃の創作への

体当たり的な表現などが感じられる。正直、新鮮な思いがした。やはり、好きな色青も使っている。タイトルもなく、ひっそりとしまわれたまま

何年も経過している。制作年はいつだったか。

片付けはエネルギーの消耗がきついが、こんな風に、昔の自分に出会ったりして、よいこともある。

 

   墨抽象  65.2×53.0cm     紙   制作年不明

 

        

 

 

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制作の基本

2015-06-27 21:24:18 | 作品

昨日の夕方は、ようやくできた、と弾んだ気持ちだった。夕食には、信州の赤ワインを楽しんだ。今朝アトリエに行ってドアを開け、真っ先に

昨日の作品を見た。えっ、と絶句した。どぎつい、赤系の色が激しすぎる。青と他の色がけんかしている。

昨日は、余りにも絵が静かすぎるような気がして、エネルギーが全然感じられなくて、思い切り色をのせた。結果の無造作な感じがこの絵の仕上

がりにぴったりだと思った。新境地が開けた気になった。それなのに絵は、いつもの水準に全く届かない不安定さを放っている。何度も経験して

いることだが、かなり、めげそうな気分。

でき上がらない絵、でも、ここで負けたらだめ...だ。今までも何とかやってきた。青が青以外の色彩と解け合い、互いに個性を放つ、そしてすべ

てが青に包まれる絵を、描きたい。

先に進んだり、やり直したり、その過程で少しだけ残るもの。その少しだけのものを大切にし続けることが、私の制作の基本かもしれない。

 

   NATURE  (ひかり)91.0×72.7cm   油彩 2010       シチリア FANGO美術館 『太陽の島シチリアに於ける日本の芸術展』出品

 

         

 

 

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イタリアの展覧会

2015-06-27 09:05:51 | 作品

シチリア島、メッシーナのファンゴ美術館でグループ展に参加したのは、2013年だからもう2年前になる。速いものだ。そのときの出品作品はま

だシチリアにある。その後、継続展のような形でミラノの美術館での展覧会の話が出、緩やかな進展をみせたが中止になり、次のミラノ万博のシ

チリア館展示という話も現実にはならなくて、パンフレットでの紹介に変わった。ハプニングは外国での展覧会につきものだが、本当に、ハプニ

ング慣れした、と言える。

9月にはミラノ近郊の城(美術館になる、とのことだが)での展覧会が決まりそうだ。メンバーは、このシチリア紹介のパンフに掲載がある、7名

の日本人作家である。7人とも現代美術(抽象)の作家で、花鳥風月的、水墨画的な古来からの日本美術におぶさった作品ではない。現代の日本に

生きる作家の作品を、イタリアの人々に見てもらうのは意義あることかもしれない。評価の定まった物故作家のものだけではなく。

歴史に残っている作家にしても、無名時代はあったし、その試行錯誤の時期を通り越して自分の表現を極めることができたのだろう。いづれにし

ても多くの人に見てもらうことが必要だ。イタリアの城での展覧会が進展していくことを期待している。

 

 シチリア島紹介のパンフレット (ミラノ万博の会場で紹介されている )

 MISAWA作品は左から三番目。

 

     

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アートフェア

2015-06-21 21:12:13 | 作品

フランスの北部、ストラスブールのアートフェアに出品するようになってから今年で4年目になる。今年の出品はまだ正式には決まっていない

ので4回目の出品の予定...といったところか。このフェアは、審査が厳しく、毎回毎回、出品の4作品の制作にエネルギーを費やす。この4作品

というのが難しい。4点の中身がバラバラではまずい。かといって、連続する内容もまた考えものだ。同じ大きさ、向きという決まり(出品会

社のブースの)があり、やはり、骨が折れる。昨年は、美術館の大きな個展があり、制作時期が重なり、15号の画面を4点完成させることが

できなかった。10号の正方形サイズを4点出品したのだが、後になって小さすぎたなとくやんだりした。画面が小さい分、勢いだけでなく、優

しさや柔らかさも出したいと思い、その分複雑さが増したかもしれない。青の絵が2点、赤が1点、緑が1点と色に幅を持たせて出品した。

このフェアには私の青が定着しているらしい。今年はまたすべて青の作品に戻そうと思っている。

一昨年、あるプレスから、フェアを代表する一枚に選ばれ、広報された。多くの出品作の中から選ばれるというのは幸運の一言に尽きる。

この辺でパソコンを終了させよう。今年の締め切りが近づいた。

 

   WORKS  (ボタニカル)  53.0×65.2cm 2013    油彩     ( パリ   スタイリスト誌掲載 )

   

                        

 

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信州 佐久平

2015-06-21 15:18:19 | アトリエから

信州佐久市のうぐいすの森に行って来た。ここは軽井沢の近郊にある里山に位置する別荘地だ。長野市出身の我々が、かつてはここを永住地に

と決め、100坪ほどの土地を確保していた場所だ。神戸から日帰りでその土地を見に行き、落ち着いた感じの自然に満ちたこの土地を即決で

決めた。うぐいすがさえずっていて、林間で絵を描ける夢が広がった。もう10年以上前のことだ。その後、夫の仕事の関係や、母親が神戸に

移住してきたことなどがあり、その夢は消えた。消した...。今回、その土地に行って、けじめのようなものをつけたいと思った。こうして梅雨

のさなかの信州行きとなった。

我が家の土地は樹木が大きくなり、下草も豊かで、あー、あの時、決めたことは間違っていなかった、と心から感じた。夫も同感のようだっ

た。全く放りっ放しの土地だったけど、優しく迎えてくれた。

この土地に移住することはもう無いだろう。必要としているどなたかにわたってほしいと願うばかりだ。

やはり、ふるさとは遠きにありて思うもの。

(この土地の情報は、うぐいすの森にある不動産屋さん、丸代商事まで)

 

      うぐいすの森別荘地  2015、6月

                

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