パリ個展から帰国した三月から自宅、アトリエの片付けが続いている。このごろは腰痛が起きそうな行動の前に、貼り薬を使っている。これが意
外にきく。痛くなる前に貼ってしまう。昨日は、気合いを入れて、50号を2点きちっと梱包した。長い間梱包もせずに、立てかけてあった。ごめ
ん、と言いながら包み終えた。その折に中身の分からない包みを見つけた。中から出てきたのは墨の抽象作品だった。
ネパール紙だったろうか。はっきり分からないが、墨をいじっていた頃の作品だ。書道から水墨画に変わり、墨を使って抽象作品を描こうとして
いた頃のものかもしれない。書道の影響だろうか、和紙をはじめアジアの紙を探してはストックし、いろいろな紙で作品づくりに挑戦していた。
その影響が今の、油彩と紙との格闘に続いている。この包みの中の作品、個展にも出せずに雑に包んで、天袋にのせてあった。この頃の創作への
体当たり的な表現などが感じられる。正直、新鮮な思いがした。やはり、好きな色青も使っている。タイトルもなく、ひっそりとしまわれたまま
何年も経過している。制作年はいつだったか。
片付けはエネルギーの消耗がきついが、こんな風に、昔の自分に出会ったりして、よいこともある。
墨抽象 65.2×53.0cm 紙 制作年不明