Kazuko MISAWA World

三沢かずこの青の世界 ー 作品の周辺

落花

2015-08-29 21:30:41 | 旅路

その島で、最初に出会った花だった。朝陽が幾筋かの光を落とし始めた地面で、落花は息づいていた。

写真家への道へ、一歩でも踏み出せたら、と気負って旅に出た。たった一つの定期預金をくずし、会社勤めの夫を家に残して、写真雑誌の撮影ツ

アーに参加した。南の島では、太陽が燃え盛り、何もかもが乾ききっていた。何かが違う。私は焦った。こころに届くものが無い。すべての風景に

激しく陽が注ぎ、まるで陰りというものがないのだ。ぎらついている。風景そのものが。自宅のある近江八幡も、撮影に通った京都にも、情感とい

う、こころに響いてくる何かがあった。

ある朝、一人で島を巡った。ふと、足を止めた。南国の自然が、砂地に、一枚の絵を配してくれていた。落花、二輪。私は、花の周りをぐるぐる

回ってファインダーをのぞき続けた。

自然の贈り物、自然の技に、シャッターを一度、切った。         

   (1982      モルディブ 撮影の旅より)

 

          フォト 2010

 

                   

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つかの間の夏休み

2015-08-27 21:06:47 | アトリエから

つかの間の夏休みをとった。神戸市北区の「しあわせの村」で一泊。総合福祉ゾーンといわれているように、高齢者や、障害のある人たちにも優し

く病後の人も無理なく過ごせるような環境だ(現在の我が家にぴったりか)朝のジムを体験。家から近いので、何回か利用している所だが、今朝は

とても新鮮だった。大きなガラス窓から、外の空気の透明さが伝わってくる。散歩の茶色の犬の、ふさふさした尻尾の毛が光を含んで、ゆらゆらと

輝きながら移動する。初老の男性の帽子のツバも映画の一シーンのように光の帯だ。

朝はこんなにも瑞々しいのかしら。しばらく忘れていた感動だ。遠くに行かなくても、自分自身に帰れる場所がある。こころの感じ方で、発見もあ

る。

午後からは、またアトリエだ。しあわせの村で買った巨峰のレーズンを口に入れながら、やりかけの作品を見つめた。昨日の絵具がほぼ乾いている

手直しが必要と思っていた箇所は、意外にすっきりとしている。眼が冷静さを取り戻したのかもしれないな。よかった。休養して。

厳しかった夏が、ゆっくりと、過ぎていく。しあわせの村で、95歳になった母親の誕生日祝いができて、ほんとうによかった。

 

 

          フォト    2015

 

                      

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サムホール

2015-08-25 08:33:33 | 作品

西脇市の岡之山美術館のサムホール大賞軌跡展が始まった。この展覧会は、岡之山美術館で1995年から続くサムホールの全国公募展の意義を検証

する主旨で開催されている。第一回展に応募して入選した。今回、私自身のサムホールの変遷を壁面で見たくて、1995年から2015年までのサム

ホール作品を15点出品した。最初の入選作は、狭い画面にコラージュあり、盛り上げあり、絵具も墨も使っている。さまざまなものを表出したと

いったところか。他の作品に比べてかなりにぎやか、浮いている感じが強い。外そうと何度も思ったが、これは、私自身の軌跡なので、15点のなか

に入れた。基調色はすべて青なので、それでくくればいいか。

サムホールは、22.7×15.8センチとかなり小さなサイズである。でも小さいからといって、速く描けるものではない。大画面とはまた違った難しさ

がある。自分よりもかなり小さな空間に、広い世界を表現するのは、一時的に、小さな自分になって、画面に入り込む必要がある。もちろん、気持

ちの上でのことだが。実際は、いろいろな要素を加え過ぎたり、色面を加え過ぎたりしてこの小さな画面と葛藤の連続だ。こんな小さな画面でも何

年もかかって完成させる。100号は、画面を充実させるのに大きなエネルギーがいるが、等身大の自分が入り込めるので、その分、自分が解放され

る。大きな画面でも、小さな画面でも、両方、充実したものを描ける作家でありたい。時間がかかるのは承知の上で。

 

       

       サムホール   2015 油彩

 

                       

 

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西脇市サムホール大賞軌跡展 

2015-08-24 08:32:21 | 展覧会情報

 ☆ 西脇市サムホール大賞軌跡展 VOL.2 が今日から始まりました。

   9月13日(日)までです。16名の作家が出品しています。

   サムホール軌跡展に因んで、1995年から2015年までの15点のサムホール作品を

   出品しました。ご覧いただけましたら嬉しいです。  

 

       

     

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片付け記 その2

2015-08-18 07:58:42 | アトリエから

やはり、ブログの文章を書く時間がとりにくい。絵は仕事なので、描きたい時ばかり描くわけにもいかないが、文章はできるだけ思いを正直に、感じた

ままを書きたい。次の日になると思いが薄まって作り事になるような気がするので、つい書くのをやめてしまう。

片付け記 その2を、まだ臨場感が残っているうちに書こうと思う。

キッチンや物入れの片付けの時、またまた後頭部が痛くなるような物が現れた。洗剤類、同じ漂白系の物が2本、両方とも使いかけだ。植物の肥料、これ

も同じメーカーの物が2本(半分づつぐらい残っている)他に、殺虫剤、これも2本(両方とも使用している)あきれかえる。キッチンの戸棚からも天ぷ

らの廃油パット(大きな袋)が2袋開封状態。天ぷらの敷き紙も白、生成り色、両者とも使いかけ。

母が、脇で、ポツリと、この家余り天ぷら揚げないのにねえ...と言った。

絵を描く姿勢が知らず知らずに家事にも影響していたのかも。多くの描きかけ(数えるのが難しいほど多い)を少しづつ、時期が来るのをを待つように

して仕上げていく。完成の時期はほとんど計れない。締め切りが近付いて無理に、構図を考えたりすることもあるが、自分の絵から遠のいてしまう。

やりかけの作品に囲まれてアトリエで筆をもつ毎日、でも絵と家事もろもろはちがうのですよね。これからは、何でも使い終わってから封を開けようと

思う。家族の皆さんもどうぞ、協力を。

 

 

         フォト 2015

 

        

 

 

 

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