秋の長雨だろうか。台風が去ってもすっきりしない天気、雨ばかりだ。アトリエへ行く途中、石段の真ん中あたりに、柿の
黄葉が雨に濡れて落ちている。どんよりとした空気感の中で、オレンジ色を帯びた黄色の柿の葉が目立っている。一枚を拾
う。もう一枚、少し、緑色がかった黄色の葉も拾う。周りから色が呼びかけてくれたような、少しはずんだ気持ち。
アトリエで、描きかけの25号の黄緑に近いグリーンに、少しだけ、オレンジがかった黄色を入れてみる。だめな時は、す
ぐ絵の雰囲気が壊れてしまうので入れた色を拭い去るのだが、この黄色、画面にすっと収まった。ああ、うれしい。
季節の変わり目だ。抽象画を描いていても季節や、環境や、いろいろなものとの出会いに影響される。影響される作品で
いいと思っている。絵は、生きている人間が描くものだから。少し風が冷たくなってくると、黄色や、くすんだオレンジ
を自然に使う。西脇の作品は、青にグリーンが多かったな....。 今からの季節に描く絵は、来年の発表のためのものになる
だろう。ファッションのように季節先取りの世界ではないのですね。
フォト 2015