アトリエへの途中、小径の草叢の緑が美しい。新緑の時期は木々の若緑に心ひかれるが、道を歩く人の脇にある緑の美しさも格別だ。帰りを急いで
早足で通る時、肩にイネ科の植物の穂がさわっと触れる感じが植物とのつかの間の一体感のようで嬉しい。葉や茎の明るく柔らかな緑、絵の具でこ
の様々な緑色を表すのはおそらく無理だなと思う。私の絵は青が基調なので、青の中に使う緑ということになるが、それはまた別の表現になる。
先日、私の絵を飾ってくださっている方からお手紙をいただいた。生活の場所の通り道にその絵をかけてくださり、通るたびに日に20回以上も眺め
ていただいているとのこと。白い壁があるので、額に入れないでこのままで飾ります、としかお聞きしていなかったので、絵がその方のところにピ
タッとあっていることを知りほっとした。常に眺められて、絵は成長していくに違いない。作者も然りか。
個展終了後の体調はなかなか戻らない。体力消耗は個展の充実度と正比例するものだ。個展が終わって、次の制作への勘が取り戻せないで困ってい
る。裏庭の泰山木の落ち葉拾いをグズグズやりながら、たくさん拾えて嬉しいと思いながらやるべきなんだろうな、とつぶやいた。