Kazuko MISAWA World

三沢かずこの青の世界 ー 作品の周辺

ストラスブール・ヨーロッパ現代アートフェア ST-ART 2015(Strasbourg-France)

2015-11-18 19:39:01 | 展覧会情報

                     ST-ART    2015

         第20回  ストラスブール・ヨーロッパ現代アートフェア

                         2015/11/26-11/30   フランス・ストラスブール・ワッケン国際見本市会場

 

 

                                               

     NATURE  2015-3            NATURE  2015-2              NATURE  2015-4          NATURE  2015-5

                65.2×53.0cm                   65.2×53.0cm                  65.2×53.0cm               65.2×53.0cm

                OIL   CANVAS                  OIL   CANVAS               OIL  PANEL  WASHI         OIL  PANEL  WASHI

 

   2012年からストラスブール(フランス)の現代アートフェアに出品を始めて、今年で4回目になる。自分の中での位置づけとしては、個展に

   匹敵するような、大きな挑戦の出品である。毎年の厳しい審査に信頼感がある。


パリ

2015-11-17 07:28:18 | アトリエから

土曜日の朝、TVのニュースで、パリの惨事を知った。パリの歴史が始まって以来の大きなテロ事件。一般の人たちが、一瞬にして災難に巻き込まれた。寒い風の吹く中でも道路に面

したカフェテリアで、カフェオレを楽しむ人、レストランで、週末の憩いの時間を過ごす人たち。それぞれの週末のかけがえのない時間が一気に、永遠に、止まってしまった。

個展のオープニングに来てくれた人、ギャラリーの関係者、絵に見入ってくれた画家の女性、あの人たちは、大丈夫だったのかしら。ロックのコンサート会場へは、多分行ってない

と思うが...。無事を祈るしかない。パリの個展、三回を重ねた。一回、一回、さまざまな人たちに出会っている。作品を通しての出会いなので、ほとんどは、個展ごとに幕が引かれ

る感じのおつき合いだが、こころのなかに、その人たちの映像がくっきりと蘇ってくる。

今、作品を制作していると、どうしても、パリの様子、できごとが影響する。その作品が、来年のパリ個展に展示するものなので、なおさらである。使う色も、変わってくる。なん

でこんなことに、と思いながら、筆の動きがどうしても激しくなる。筆先にのる絵具の量も微妙に変わってくる。気持ちのままに制作を進めている。進めるしかない。今年の2月の

パリ個展は、1月パリでのテロ事件のあった11区にあるギャラリーだった。いろいろな人から、大丈夫ですか?と心配された。無事に個展を終えて帰国したのだが、また再び、テロ

の脅威にパリが脅かされるとは、それ以後考えていなかった。パリでは、テロへの脅威がずっと続いていたのだろう。テロには屈しないという意識も共に。

天変地異に人間は無力だけれど、人為の殺し合いをさけられない複雑な時代の現状にやりきれない思いでいっぱいだ。

自分にできること、今日一日、予定をこなして、生きること...か。

 

 

 

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りんご

2015-11-13 09:02:06 | 日々の思い

母の部屋に入ったら、りんごの甘酸っぱい香りがふっと漂ってきた。仏壇に供えてある小さなりんご。柔らかな赤色で「千秋」という名前でスーパーで売られていた。小粒だけど、

さわやかな酸っぱさがあって「紅玉」りんごに似たようなシンプルな味わいだ。りんごの産地に育ったので、りんごの名前は10種類は言える。まあもう、店頭に並ばないものも多い

が。子どもの頃はりんごを一日中食べていた記憶がある。食後、おやつ、夜食代わりに。大人になっても、外国の個展の時は、りんごを探し歩く。外国のりんごは小粒なので丸かじ

りして、元気を取り戻す。

毎年のように、故郷の信州から、熟して蜜の入ったふじりんごが送られてくる。何年か前、小学校時代からの親友から送られてきたりんごのおいしさに、しあわせ一杯で大きな実を

二つ割りにした。そのとたん、中の果肉の中央に透明な黄金色の鳥が現れた。わあ、きれい。蜜が飛翔している鳥の形になっていた。切り口に突然現れた鳥、皮を剥くのをやめにし

て、クロッキー帳に何枚もスケッチした。香りが漂ってきて、早く食べたい。でもこらえて、スケッチを続けた。このころ、神戸での個展の準備をしている時期だったので、なんと

か、このりんごの感動を作品にしたいと思った。でも、私の求めている世界は抽象表現。りんごをりんごのまま、描いたら自分の絵ではなくなる。りんごの輪郭を描かずに、りんご

の存在と、その背景の故郷の友人のこころを描きたかった。個展に、めずらしく、モチーフがある作品を並べた。とにかく、自分の心情だけは曲げたくなくて、出来上がりは、他の

絵とかなり違っていた。個展に来てくれた歌人、画家でもある方に、この絵、先日夢に見た世界よ! と驚かれた。けっこうエキセントリックな夢であったらしい。りんごへの思いを

描いたのですが、とは全く言えずに、こちらも負けずに驚いた。その後、何人かの方たちに、好きですよ、この絵、と言ってもらったような気がする。どちらにしても、冒険作だっ

たと思う。個展の中に、交響曲のように、強い部分や、少し弱くて、見る人が思いを補ってくれるようなところ(作品)をつくった方がいいね、とアドバイスをもらったことがある

実行に移せているか分からないが、冒険作を交える勇気は持ち続けたいと思っている。

 

 

 

                        フォト 2015

 

 

                                                                    

 

 

 

 

 

 


高野山

2015-11-06 19:23:48 | 日々の思い

近畿圏に住みながら、一度も行ったことのない高野山に夫と二人で行って来た。朝、6時台に家を出て、バス、電車、ケーブルカーと乗り継いでようやく、高野山に着いた。長旅だ

った。この旅は、いのちや自分たちの日常に、ゆっくりと向き合える旅になった。独特な宗教都市だ。奥の院の古来からのお墓のなかを歩く。苔むす墓石を見上げながら、今生きて

歩いている実感を強く感じ、自分を見つめる時間がしばらく続く。

宿坊に泊まり、朝の勤行に参加し、般若心経の写経もした。精進料理をいただいて、ほんとに短期間だったが、ミニ修行に行ったような気がしている。夏に入院していた夫の全快祝

いを兼ねての高野山行きだった。宿坊での朝食の折に、思いがけない人に出会った。神戸在住の現代美術家、榎忠さんだ。食事中だったので、少し迷ったけれど、声をかけた。榎さ

んが高野山で出品されている現代美術展『いのちの交響』は、もう大分前から始まっており、すでに終了しているものと思っていた。榎さんに聞くと、ちょうど、搬出の最中である

とのこと。まだ、残骸が残っているよ。と言われ、急いで、金剛峰寺へ向かった。間に合った、残骸!であるかもしれないけれど、榎さんの宇宙にまた出会えた。宿坊での出会いは、

この作品に会うための縁のような気がした。奥殿という、普段は入れない所に、作品群が広い台の上に鈍い金属の重みを放っていた。その背後に、この金属の作品群を生み出した人

間の存在を確かに感じ取れる。古い寺院のふすま絵の前の磨き上げられた金属の作品は、時間や空間と見事にとけ合っていただろう。(この展覧会は、11月3日で終了)

作品というのは、作品を創り出す人が全面にあぶり出される。現代美術であっても、伝統的な美術であっても同じだと思う。作り手の心情や生き方が感じられる作品でありたいと思

う。それは、表面に表れるものでなく余韻のようなものだろうか。

 

 

             

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