厳しい寒さが続いている。ここ神戸は雪はまだ降っていないが、超一級の寒さがきている。窓際に置いてあるガラスの花瓶の水がカチカ
チに凍っている。お風呂場のタワシも凍りついていた。なんて寒いのだろう。暖冬だ、暖冬だと油断していたら一気に寒さがピークにな
った。ガチガチのタワシでお風呂の掃除を何とかすませ、アトリエへ。暖房をしても、しても、いっこうに温かくない。こんな時は何か
口に入れたくなる。ありったけのクッキーを食べ、レーズンを食べ、コーヒーを飲み、紅茶を飲んだが、気分が制作に向かわない。ゴミ
を拾ったり、読みかけの本を開いたりして、制作モードに自分を変えようと努力した。やりかけの作品を持ってきて、壁に立てかけ、の
ろのろと色を塗り始めた。こんな状態の時は、仕上げたい絵をさわらないこと。経験から分かっている。
今日は、もう早く帰ろう。4時には片付けようと決めて、小品に色を入れ始めた。4時近くなって、突然、筆が進み始めた。制作の気分が
やってきて、4時にはやめられない状態になった。辛抱強いのか、あきらめの悪い性格なのか、夕暮れに、ごほうびをもらった思い。
熱中していて、窓の外をふと見ると、遠方のマンションの窓ガラスに、日没のきらめきが反射している。オレンジの温かい光だ。よく見
ようと立ち上がった瞬間に光は消えた。ほんとうに一瞬の輝きだった。
フォト 2016