アトリエの片付けをしてもうひと月過ぎただろうか。立ったり座ったり、しばらくおさまっていた腰の痛みがぶり返している。
今のアトリエを使い始めてから、15年ぐらいになるのだろうか。書道時代の和紙、ストックしてあった多くの筆、おまけに写真時代の
紙焼きプリント。その時代ごとに、情熱を傾けてきた私の多くの通り過ぎたものたち。他にも、昔書いていた文章の原稿用紙。
これは捨てられないか....。ストレスたまる、こういうものたちの整理は。肝心の絵に関する画材類だけでも、水墨画、水彩画、日本画
アクリル画、油彩画と、絵具も、キャンバス類も、パネルも、大判和紙も所狭しだ。
いろいろやって、ようやく今の油彩、抽象画にたどり着いた。自分なりに走りに走ってきた感がする。今年は、パリの個展を3月に終了
させたので、来年の発表まで少し時間がある。そこで思い切ってアトリエ整理を始めた。こんな折、時を得て残間里江子さんの『閉じる幸
せ』(岩波新書)という本に出会った。
次に進むため、余分なものを整理して、本当に大切なものを残す。勇気をもらえた。今、ダンボールの山と格闘しながら、過去も少し
のぞいたりしてがんばっている。
『WORKS 水のいのち』 162.0×130.3 cm OIL 2014 ポートピアホテル所蔵(神戸)