Kazuko MISAWA World

三沢かずこの青の世界 ー 作品の周辺

アトリエの片付け

2015-05-26 07:16:24 | アトリエから

アトリエの片付けをしてもうひと月過ぎただろうか。立ったり座ったり、しばらくおさまっていた腰の痛みがぶり返している。

今のアトリエを使い始めてから、15年ぐらいになるのだろうか。書道時代の和紙、ストックしてあった多くの筆、おまけに写真時代の

紙焼きプリント。その時代ごとに、情熱を傾けてきた私の多くの通り過ぎたものたち。他にも、昔書いていた文章の原稿用紙。

これは捨てられないか....。ストレスたまる、こういうものたちの整理は。肝心の絵に関する画材類だけでも、水墨画、水彩画、日本画

アクリル画、油彩画と、絵具も、キャンバス類も、パネルも、大判和紙も所狭しだ。

いろいろやって、ようやく今の油彩、抽象画にたどり着いた。自分なりに走りに走ってきた感がする。今年は、パリの個展を3月に終了

させたので、来年の発表まで少し時間がある。そこで思い切ってアトリエ整理を始めた。こんな折、時を得て残間里江子さんの『閉じる幸

せ』(岩波新書)という本に出会った。

次に進むため、余分なものを整理して、本当に大切なものを残す。勇気をもらえた。今、ダンボールの山と格闘しながら、過去も少し

のぞいたりしてがんばっている。

 

『WORKS   水のいのち』 162.0×130.3 cm     OIL   2014        ポートピアホテル所蔵(神戸)

      

 

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新茶

2015-05-21 07:42:21 | 作品

新茶の季節になった。お茶は昔から薬といわれている。朝、冷ましたお湯をたっぷり入れた新茶の上に注ぐ。このお湯が熱すぎても

ぬるすぎても困る。『ああ、美味しい!』と感慨深げに言う90代の母親がいる限り、この味を保とうと努力する。

長生きは何歳からかな、と思いながら『長生きできるね』と返事をする。毎年、ポケットマネーで知覧茶を買って来てくれる夫も

満足げに飲んでいる。朝食がすめば、気持ちは制作諸々に向かい、パニックになるのだが、それまでは、結構暮らし向きに集中している。

抽象画は特に、描こうとして描ける世界ではない。自分を超えた不思議ともいえる世界が見えたり、見失ったり....。応援してくれている

人たちのためにもよい作品を描こうとすればするほど、完成が遠のいていく。

二服目のお茶は渋みが増した。もう少し、絵のことを忘れていたい。やっぱりお茶は薬だな。

 

フォト 『新緑』 2015

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アマチュアパワー

2015-05-20 08:48:08 | 作品

昨日、5月19日から『るりの会展』が始まった。神戸市内で20年ほど講師として絵画指導している教室の発表展だ。

年齢層も昔、ヤングといった落ち着きのある世代。でもパワーがあります。アマチュアの皆さんは、無欲で、大胆で

自分のやりたいことに向かって一生懸命エネルギーをつかう。そんな清新さがいいですね。

写実画あり、抽象画あり、水墨画ありの自由画の発表展です。モノトーンの墨もカラフルな作品に負けていません。

写実も抽象も一つの会場に違和感なく収まる、これは、描き手の気持ちの表れがひとつの空気感をつくっているのですね。

原田の森ギャラリーの、東館2Fで自由奔放といわれている展覧会が行われています。(24日まで。10時ー18時、最終日16時まで)

講師の作品も出してという要望を飲んで15号程の作品を展示しているのですが、これは脇からの見守り役ですね。

パワー全開のメンバーに拍手を送ります。

 

等身大のムッシューたちがお出迎えしています

めいめいが描いたダンボール作品(みんなでひとつ)

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白花

2015-05-12 19:46:15 | アトリエから

石段を上がった先に白い固まりがゆれる。近づくとそれは西洋ツツジの純白の花の群れ。混じりけのない白。傍らにあるマーガレットの

かすかに黄味を帯びた白ともちがう。その横のコデマリの白ともまたちがう。きぜんとした白だ。前を通ると香り立つ。この花は

いっせいに咲いて花首からポトンと落ちる。厚みがあって湿り気のある花弁は、しばらくの間、道を純白に彩って茶褐色に枯れていく。

何日もこの白に迎えられた。

なぜか、蕪村の『愁いつつ岡にのぼれば花いばら』を思い出す。ツツジの白が、瞬間目に飛び込んで、仕事中に心のなかにたまったものを

吹き飛ばしてくれる。心が晴れるのだ。

蕪村の句は、花いばらから、憂愁がより深まったと解釈するのが一般的のようだが、一瞬の視覚が放つエネルギーを信じたい。

目に飛び込んでくる白はいのちの一杯詰まった白であり、瞬間、いばらから解放されることもある。

 

 WORKS   20×20cm     OIL    2015

      

 

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京都はインスピレーションをくれる

2015-05-11 07:59:20 | アトリエから

 

構想をきちっとしてから描くタイプではないので、ランダムに画面に色を置いていく。その過程で

イメージが立ち現れるのを待つやりかた。地図を見ない山登りのような、試行錯誤の連続、絵具の

塗り重ねが長い間繰り返される。

先日取りかかり始めた100号も先は見通せない。そんななか、京都に行く予定ができた。

用事をすませて帰路、ぼうっとバスを待つ数分、バス停の脇の堀川の水面に反射している光のきらめき、

木立の深いグリーンを溶かし込んで流れる青があまりに美しくて、デジカメを取り出した。まもなく満員の

バスが来て慌てて乗り込んだ。

アトリエの100号の絵の行き先は、この堀川にあったようだ。外に出ることによって、頭の中に不意に

イメージが喚起されたのか。ありがたいと思う。

こうして日々生きること、社会も見て、自分の立ち位置も見て、自分の無力さを見つめ、それでもめげないで

一日一日、過ごして絵を描いていくしかない。

『FLOW』1    60.6×72.7cm    2012    OIL

 

 

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