雨の一日。傘をさしてアトリエへ。石段を降りる際にジャンプ傘をパシャっと天に向けて開いたら、一瞬体が浮いた気がした。わあ、ファン
タッシック! だけど体がよろけたのかもしれない、と現実に戻る。ニュースの時間ごとにコロナウイルス感染の状況などを暗い気分のなかで見
る。怖がってはいけないのだけど先が見えない。 アトリエへの小道には紫や黄色の花々が咲き始め、白モクレンの花弁がふっくらとカーブを描
き、すみれや水仙が優しい白を陽に反射させている。こうした植物の変わらない生き様にどんなにか励まされる。春の太陽のもとでは動物も植
物も同じ大きなエネルギーを受け日々を生きているはずなのに、右往左往してしまう動物に比べて何と植物は強いのかと感じる。アトリエに向
かう5、6分の道のり。一目散にアトリエに通っていた頃を思い出しながら、今は、大きな木の下に寄ったり、苔の緑の多彩さにスマホを向け
て撮影したりしている。ここまで文章を書いて、電話を受け取る。教室の休講の知らせだ。いつ再開になるか、未定だ。教室に来てくださって
いる生徒さんたちも高齢の方が多い。全ての方々の平穏を、無事を祈りたい。 桜ももう少ししたら晴れやかに咲いてくれる。