これもまた、高橋源一郎の飛ぶ教室で紹介されました。
『植物少女』 朝比奈秋 作 三島由紀夫賞を受賞。(2023年5月)
現役の41歳の消化器内科の医師。
加賀乙彦さんもそうでしたが、『神様のカルテ』の夏川草介さんも医師。
古くは森鴎外もそうでした。
この朝比奈秋さんは、30代半ばまで、文学とは無縁、小説なども読んでいなかったという。
しかし、自分の体験したものが、体内(心と魂)に蓄積していって
あるとき、論文を書いているときに、映画の映像のように場面が浮かんできたという。
それを書き留める。。。
いわゆる上から降りてきた、、、というタイプのようです。
どんどん書いては、短編の新人賞に送るようになったという。
すでに『塩の道』で林芙美子文学賞を受賞(2021年)
この『植物少女』は、自分を出産したときに、脳梗塞を起こして、植物人間になった母親と、
毎日病室へ行き、話をする少女。
植物状態といっても、チューブにつながれて。。。というのではなく、
食べ物を口のことろへもっていくと、口を開けて咀嚼して、飲み込む。食べるのだそうです。
少女は、母親の髪を金髪に染めたり、口紅をぬったりする。
誰にも話せないことを、少女はお母さんに話す。
なんの批判も、忠告もしないで、聴いてくれるお母さんは、
最もよき理解者であり、子育てをする母親であった。
「お母さんは、空っぽじゃない」と気づく高校生になったこの少女。
生きるって、どういうことなのでしょう。
映像のように浮かんでくる物語に、作者自身が教えられることが多いという。
書きたい・・・ではなく、書かせられている。
こういう人、作家もいるのですね。
一応図書館へ予約しました。
駒岡紫陽花通り (親愛なる教え子 杉浦譲治君からお借りしました)