イギリスには、いまも著者イーグルトンのような、ちょっと強面のマルクス主義者がいるんだなぁというのが、この本を読んだ第一の感想です。それから、ヨーロッパの人たちの日常生活にはキリスト教が強固に根付いているのだというのが第二の感想です。この本のわかりにくさは、キリスト教への日常感覚の差異から来るのかもしれません。
「神は妄想である」というリベラル合理主義者の宗教批判に対して、宗教は資本主義の悲惨な現実に根ざす抑圧された人々のため息(マルクス)であり、非科学的妄想として簡単に退けてはならない、「理性は、理性そのものより深い部分に横たわる信仰の力や資源に頼らなければならない」として、宗教擁護の論陣を展開するマルクス主義者イーグルトンの姿がとても印象的な一冊でした。
しかし邦題「宗教とは何か」で期待した内容とは、少しずれていたように思います。原題は「Reason, Faith, and Revolution: Reflections on the God Debate 」。これを、「宗教とは何か」と訳すのは、少し無理があるように思いました。
「神は妄想である」というリベラル合理主義者の宗教批判に対して、宗教は資本主義の悲惨な現実に根ざす抑圧された人々のため息(マルクス)であり、非科学的妄想として簡単に退けてはならない、「理性は、理性そのものより深い部分に横たわる信仰の力や資源に頼らなければならない」として、宗教擁護の論陣を展開するマルクス主義者イーグルトンの姿がとても印象的な一冊でした。
しかし邦題「宗教とは何か」で期待した内容とは、少しずれていたように思います。原題は「Reason, Faith, and Revolution: Reflections on the God Debate 」。これを、「宗教とは何か」と訳すのは、少し無理があるように思いました。