毎朝ということではないが、12月から3月の初めの寒冷期に限って、ベランダに玄米を少しだけ撒いて野生のスズメたちと交流しているが、三年ほど前までには、ヒヨドリの(たぶん)ペアもやって来ていて、スズメ軍団を追い払っては、ぶきっちょなつまみ方ではあるが、ペアがなかよく交互に舞い降りてきて小さな玄米を一粒づつ啄んでいた。追い払われたスズメもなかなかやり手であって、ヒヨドリの背中側に舞い降りて気付かれないようにつまんだり、ヒヨドリが気付いて振り向くととっさに後ろ側に回っては、米をつまむなど機転を利かしていて、そんな彼らの様子を観察するのを楽しんでいた。
それが、この2年間はヒヨドリはベランダにはやってこなかった。ナワバリ意識の強い野鳥といわれているヒヨドリたちは、家族ごとどこかに行ってしまったのか。天敵に襲われて滅んでしまったのか。少し心配していた。
それが、今年になって毎日ではないが、ヒヨドリの(たぶん)ペアが姿を見せてくれて、またスズメ軍団とやり合うようになった。3年前のペアなのか、その子孫なのか、またはあたらしい家族なのか、そんなことまで分からないが、古い客がまた店に戻ってきてくれたようで、なんだかうれしくなった。
このヒヨドリの特性として褒めてやりたいのは、一羽が啄んでいる間に、もう一羽が近くに待機しているようで、少し食べたら一羽が飛び去り、すかさずもう一羽がやってくるというチームワークの良さである。天敵への防衛手段なのか、スズメたちにスキを与えないという戦術なのか分からないが、いつもペアで行動する彼らに身についている処世術なのだろう。
姿も鳴き声もあんまり可愛くはないヒヨドリではあるが、虫のいない季節には、ツバキやサザンカの蜜を吸いながら、ツバキたちの受粉のお世話をしてるとのことであり、鳥媒花にとっては恩人だろう。
あと半月ばかりか。もう少しだけ、野生たちと交流しながら春を待とう。
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