夜半からの雨音が途絶えて明るくなったので、カーテンを開け、窓を開け、ベランダに出ると、前の家の庭の桜の花が咲き始めていた。昨日はつぼみだったのに、もはや二分咲き模様だ。去年の開花発表は、4月1日だったが、どうなのだろう気象台の標本木は。毎年、毎年、開花日が早くなることに悦んでばかりはいられないが、もう心は浮足立っている。
ブランチをいただいたら、まず近所のスーパーに行って日本酒を買ってこよう。銘柄は秋田の「爛漫」がいいな。家に帰ってから紙パック1.8lの「爛漫」を、こないだダイソーで買ってきた透明な500mlボトルに移し替えて、花とベンチのある公園を数箇所周ってみよう。目標は2万歩。桜が咲いていて、近くにベンチがあって誰もいなければ、座つて、花を眺めながら、「まるで喉が渇いて水を補給しているような格好」でチビリチビリとやろう。おつまみなんてつまんでいればばれるので、がまんをして「爛漫」だけをいただこう。
いい青空だ。水蒸気をたっぷり含んだブルーセレストの淡い大空。咲きだした桜には、メジロやスズメも花をごちそうにやってくるのだろう。カメラと双眼鏡も持っていこう。春爛漫、小鳥たちと一緒に甘露に酔おうではないか。そのうち、花も青空も霞んできて、この世かあの世かの見境もなくなるだろう。
ただし、ふらついてばれないように、いい時間に切り上げよう。まちがっても、行き倒れないように。
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