川本ちょっとメモ

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京大タテカン「祝ノーベル医学生理学賞 本庶佑先生 京大の誇り」 大学側 即撤去

2018-10-03 07:14:48 | Weblog

<2018(H30).10.2.毎日新聞大阪夕刊>
 京都大学吉田キャンパス(京都市左京区)北西角の石垣に2日朝、本庶佑さんのノーベル医学生理学賞受賞決定を祝う立て看板(タテカン)が設置されていた。「本庶佑先生 京大の誇り! 癌(がん)治療に希望!」と書かれていた。京大の正門脇の石垣にもノーベル賞のメダルを印刷して「おめでとうございます」と書かれた紙が貼られ、通行人らが足を止めて興味深そうに眺めていたが、いずれも午前9時に大学側に撤去された。

 タテカンは京大の「自由な学風」の象徴とされていたが、京都市の屋外広告の規制条例に基づく指導を受けた大学が5月から撤去。学生らが新たに設置する「いたちごっこ」が続いていた。


 今年5月来、京都大学当局と学生の間で、タテカン(立て看板)の撤去、設置がくりかえされています。このタテカン攻防の新聞記事を見るたびに、「そんなもん、ぼくらが小さい子どものときから見なれてきた学生文化のうちや、なんであかんねん」と、わたしは思います。

 昨年2017年10月ごろ、京都市が「京都市屋外広告物等に関する条例」に基づいて京大当局への行政指導をしたのが、京大タテカン問題の始まりです。

 京都市は学生たちのタテカンを、常時あるいは一定期間継続して屋外で公衆に表示される「屋外広告物」であり、京都市の条例が設置を禁止している擁壁への立てかけや公道の不法占拠にあたるなどと判断したわけです。

 しかし、京大の石積み外壁は公道ではありません。京大敷地内の構築物です。立て看板は石積み擁壁にもたれています。石積み擁壁の基礎は必ず外側に張り出しているので、もたれ看板の足は京大敷地内に立っていることになります。

 これを「公道の不法占拠」というのは言いがかりです。

 昨年2017年12月19日、大学当局は「京都大学立看板規程」を公表しました。この規程は、京大構築物外面だけでなく京大構内についてもタテカン設置を厳しく制限しています。学生によるタテカン設置を許可制にする学内規則です。

 立て看板を設置できるのは、京大総長の承認を得た団体だけです。さらに、大学側が別途指定した場所以外の設置は許されません。

  学内には、大学承認団体でなくて自由に活動しているサークルが無数にありますが、彼ら自由サークル派には「タテカン宣伝権利」がありません。これは人権無視の思想。



 
 わたしは幼いときは京都大徳寺の近くに住んでいました。その後、京都府庁前丸太町通りの南・二条城前堀川通の東に当たる地域に住んでいました。着物業界の関係者ばかりが目立つ地域でした。


 そんな京都の町では、大学生を「学生はん」とか「学生さん」と呼んで大事にしてきました。京都の町の人はとりわけ、京都大学の存在を誇りにしてきました。旧制三高の時代からそうなんです。昭和敗戦後早い時期に、日本最初のノーベル賞を受けて、敗戦日本の励みになったのは京大の湯川秀樹先生でした。

 わたしにとってはこどもの時から、大学とタテカンはいっしょにあるなじみ深い風景でした。立命大在学中もそうでしたし、わたし自身、タテカンを書いたことが何回かあります。あれは刷毛を使えば太くて四角いタテカン文字をうまく書けます。

 タテカンは京大だけでなく、京都のほかの大学でも風景になっていました。大学近くに住む人たちや店屋さんにとっても毎日の生活の中でなじみ深いものでした。タテカンは学生の文化であり、大学の文化であり、大学のランドマークであります。タテカンは大学のある街にとけこんでいる風景そのものでした。

 今、大阪のミナミの繁華街はアジアの観光客にあふれています。それを思えば、京都の大学のタテカン文化のある風景は、観光資源にだって成りかねません。それが取り締まりの対象になっているとはなんと息苦しい時代になったことでしょうか。

 学生のタテカンは、創造的で多様性のある学生文化の一つとして、わたしには見えます。

 大学当局が功利的一辺倒の管理社会と同じ見方しかできないとなれば、そういう視点しか持てない大学教育は、管理社会の従順で功利的一辺倒のサラリーマンを育成することしかできないでしょう。

 それにしても、ときにはユーモアや風刺性のある抵抗をくりかえしている京大タテカン学生を、それでこそ若さにあふれた学生や、とわたしは応援します。


 小泉政権以後、所得格差が広がり固定されて、若いときの低所得はそのまま老後生活の見こみが立たないことにつながっていきます。しかも年金は実質では少しづつ値切られていき、富裕層や大企業の減税が行われるのに反比例して消費税は上がっていきます。

 男女ともに青年・学生の勉強が足りず、自分たちが悪い政治の犠牲になっているという自覚に乏しく、個人的に自分の能力が貧しいからだと思いこんで自分を責めるばかりで、社会制度の悪、悪い政治に抵抗しようという気概がまったくもって足りません。

 社会の欠点が何に起因しているのか見定めよう。所得水準や生活水準の格差がなぜ拡大しているのか、それが何に起因しているのか見定めよう。労働法制が悪い。税制が悪い、などなど。

  世の中には改めなければいけないことが山盛りになっています。悪い政治に抵抗しよう。意思を示そう。政治家に要求しよう。今どきの高校生以上の若い人たち、それに青壮年・熟年世代の働く人たちは、政治に対して従順すぎる。



 京都は学生の街です。大都市の中で、人口比学生数1位は京都市で9.5%。全国2位は東京都区部で5.8%。全国3位は福岡市で5.3%(いずれも2017年統計)です。


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