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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

声域は訓練次第で高音側には伸ばせるが低音側には伸ばせない???

2016-02-23 23:49:08 | より良く歌うために
 個人の声域は、高音側には訓練で伸ばせるけれども低音側は生まれついた声帯の長さで決まっているのでどんなに訓練を積んでも伸ばせない、という主旨の言葉を聞くことがあります。決して珍しい言い方ではなくて、殆ど常識として認知されているのではないかと思います。私自身長い間その様に思い込んでいました。

 しかし、です。実際に声楽の個人レッスンを受けるようになって低音側の声域が確実に広くなっています。私自身はハイバリトンで、低音部記号の五線の下にはみ出したLow-Fまでは何とか混声合唱のバスパートとして歌っていました。その長2度下のE♭までは自分の声帯がその周波数で振動するのを確認出来ていました。しかし殆ど空気の振動のみで声にはなっていないような気がしていました。ところが声楽の個人レッスンを受けるようになって、声帯を上手くリラックスさせて柔らかく使えるようになったこと、声帯以外の喉周りの筋肉も力まずに柔らかく使えるようになったこと、さらには息の使い方が上手くなったことで、低音側にも自分の声域が広がりました。以前は声になっているかどうかは疑問ながら何とかLow-E♭の音程で自分の声帯が振動していることは確認出来ましたが、今はその下のLow-B♭までは確実にその周波数で自分の声帯が振動していることが確認出来ます更にはその半音下のLow-Aまで自分の声帯から声が出る可能性を実感しています。最下限はともかく以前から出ていたLow-F程度の音域については、自分では声帯が何とかその周波数の音を出しているぐらいにしか思えませんが、レッスンしていただいている先生からは千人規模のホールでも十分に聞こえる声だと言われています。確かに側鳴りの声ではなく、聞き手にどの程度の音圧を届けられているかどうかはともかく、確かに数百人規模のホールの奥の席にまで届き得る声だということは、自分でも納得できるようになっています。

 声域は訓練で高音域側は伸ばせるが低音域側は伸ばせない、というのは声域に対する誤解からいつの間にか定着してしまった言い方だと思いますが、相当系統的なレッスンを受けないかぎり高域側は伸ばせるが低音側は伸ばせないという判断にも肯定したくなる気持ちもよく判ります。

 声楽は器楽に比べてレイトスタートに対する許容範囲が大きい世界です。良い指導者に恵まれればハイバリトンの私ですらオクタヴィストの音域であるLow-B♭まで出せるようになります。ここまで歌えるとマーラーの交響曲第2番「復活」、第8番「千人の交響曲」も歌えます。マーラーはこのLow-B♭に特別な思い入れがあるようで、第2番「復活」・第8番「千人の交響曲」のいずれもその箇所に、「出せないからといって1オクターブ上げて歌うことは作曲家の意志に反するもので、とにかくその音域を歌える歌い手であればバリトンだろうがテノールだろうが当該部分を歌って欲しい」という注釈が記載されていました。ということで「復活」と「千人」の当該箇所は下バスを歌っても良かったんですね。「復活」と「千人」、もう一度歌う機会は来ませんか?

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