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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

CD紹介 畑儀文 「シクラメンのかほり」

2017-04-15 22:54:48 | 

 テノール歌手畑儀文氏の存在はこのCDを購入するまで全く知りませんでした。関西出身で私よりも若干先輩のプロの声楽家にして指揮者、私立女子大学音楽学部元教授だそうです。例によってインターネットの声楽CDのオークションを見ていて「シクラメンのかほり」というタイトルが目に留まり入札価格が一桁だったため入札したところそのまま落札できました。収録曲を記すと

 ・季節の中で(松山千春)

 ・夜空ノムコウ(SMAP)

 ・シクラメンのかほり(布施明)

 ・妹(かぐや姫)

 ・I Love You(尾崎豊)

 ・もしもピアノが弾けたらな(西田敏行)

 ・ふれあい(中村雅俊)

 ・少年時代(井上陽水)

 ・TSUNAMI(サザンオールスターズ)

 ・さよなら(オフコース)

 ・なごり雪(イルカ)

 ・心もよう(井上陽水)

 ・心の旅(チューリップ)

 ・乾杯(長渕剛)

 ほぼ同年代のせいか、選曲には共感をおぼえます。全てピアノ伴奏で、曲によっては口笛、ヴァイオリン、フルート等が入るものもあります。このCDを聞いて好きじゃないとか嫌いと言う人はあまりいないのではないかと思います。熱狂的に好きとまでは言わなくても、まあんなCDがあっても良いのではないかと思う人が大半ではないでしょうか。どんなCDかと言えば全てクラシック唱法での歌唱です。ただ、何度も聞いていると極々僅かな違和感を感じないでもありません。おそらく録音は録音スタジオで収録したのではないかと思います。CDを聞いていると時々僅かですが歌い手の息を吸う音が聞こえます。従ってマイクはかなり演奏者に近くセッティングしてあると思います。ということで雰囲気重視の録音ではなく、解像度重視の録音ですね。たとえそうでなくてもホールの広がりというものが全く感じられないんですね。どちらが原因でどちらが結果かは判りませんが、クラシックの発声で歌われているにもかかわらずプロの声楽家がホールで歌う時の圧倒的な息の支え、ブレスコントロールが感じられません。良く訓練されたクラシックの発声でリリックなテノールの美声でJ-POPが聞こえてはくるのですが、ミュージカル歌手が舞台ではなく主題歌を録音するときの様な歌い方になっているような気がしないでもありません。

 クラシックの声楽家があえてポピュラー音楽を録音するのであれば、むしろオペラチックなベルカント唱法で高らかに歌い上げてなお魅力が伝わる様な選曲にして、クラシック声楽家の魅力を最大限に伝えてほしいな、と思ってしまう訳です。その点伴奏の編曲もポピュラー音楽のオリジナルの演奏を活かそうとしてか、例えば冒頭の「季節の中で」ではギターのスリーフィンガーピッキングというテクニックをピアノ風にアレンジしていますが、これも何か中途半端で面白くないですね。モーツァルト風とか、ベートーヴェン風、ヴェルディ風、ワーグナー風等にあえてアレンジしたらどうでしょうか。是非、そんなCDを聞いて見たいと思います。ただ、少々ケチをつけすぎたかと思いますが、不通に聞けば嫌味なく、(かつて)人気のある(あった)J-POP(フォークソング)をクラシックの声楽家が正面から歌唱している、誰もが安心して聞ける歌唱だと思います。機会があれば是非聞いて見て下さい。


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