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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

Erik Satie,  3Mélodies   サティ  3つの歌曲 から Elegie

2015-04-05 23:11:40 | サティ
 昨日に引き続きサティの1886年に作曲した「3つの歌曲」の2曲目、「Elegie」です。この「3つの歌曲」に収録された3曲はいずれもLentという遅い速度で、3曲が3曲ともピアノ伴奏は2分音符で和音を鳴らしているだけです。1曲目の「Les anges」は♯2つのD-durで音域はト音記号の第1線のEから第5線の上に張り付いたGまで、2曲目の「Elegie」は♭3つのEs-durで音域はト音記号の第1線のEsから第5線に串刺しにされたFまでの9度と、音程的には特に広くはありません。むしろ狭いと言っても良いくらいでしょうか。

 Elegieといえば悲しい歌=悲歌とも言われ、圧倒的に短調の曲が多いと思います。サティのElegieは短調の和音を叩いてはいるのですが、音の重なりが薄く短調らしさを強調しません。ただただ穏やかに進行していきます。この曲を聞く限り、ジムノペディなどのサティの面影は浮かびません。この曲を歌うには先ず歌詞の内容を把握しなければなりませんが、梅丘歌曲会館に邦訳が公開されていないとなると、仏語の歌詞から英語訳に辿り着いてそれを邦訳する必要がありますが、太平洋に比べ3分の1しか面積のない大西洋を隔てているヨーロッパとアメリカの文化交流の密度は高いものがあるので、フランス歌曲の英訳サイトはこれまでに幾つか見つけています。英訳さえ手に入れば仕事柄英語には堪能(TOEIC750です)なので、歌いこなすのは時間の問題だけになると思います。

 繰り返し聞いているうちに、これまで抱いていたサティのイメージと離れすぎていることからますます歌いたいと思う様になっています。何らかの公開ステージで歌う機会ができればこのブログの上でアナウンスさせて頂きますので是非聴きにいらしてください。「Elegie」といえばマスネーの作品が有名だと思います。マスネーの「Eegie」は確かに聞く者の耳に切々と訴えるものがあります。一人称の歌として歌い手の思い=悲しみがストレートに迫ってきます。それに比べるとサティのこの「Elegie」は一人称の歌ではなく、三人称の歌、客観的に冷静な観察者が離れたところから悲しさを説明しているような印象です。それだけに聞き手に悲しさを伝えるのが難しいのではないかと感じます。しかしそれが出来たときにはより普遍的な時間と空間の広がりを越えることが出来るのではないかと思っています。やはり歌は歌詞を歌うものですね。

 ところでサティは「Elegie」という曲を少なくとももう一曲作曲しているようです。梅丘歌曲会館にサティのもう一曲が取り上げられています。しかし歌詞が異なるので私がここで紹介した「Elegie」とは別の曲だと思います。梅丘歌曲会館で紹介されている方の「Elegie」も音源を確認して紹介させていただきたいと思っています。

Erik Satie,  3Mélodies   サティ  3つの歌曲 から   Les Anges

2015-04-04 23:09:59 | サティ
 例によってオークションサイトの声楽CDコーナーで見つけた、サティの歌曲集をゲットしました。歌うはフランス人バリトンのラプランテ。実はラプランテは動画サイトに多数のフランス歌曲の音源を公開していて、その数の多さは他に匹敵するものは無いように思います。ラプランテのCDと言うことで、最初にその存在を認識したときから購入したいと思って来ましたが、これまでは入札せずに黙って見ているだけにしておきました。日々、ネットのオークションサイトの声楽CDのコーナーを確認して、これはと思うものは入札して来ましたが落札には至りませんでした。ラプランテは来日して公演もこなしているようですが、やはり日本ではフランス音楽よりはドイツ語んがくの方が注目を集めるのでしょう、フランス歌曲、ロシア歌曲に関する動きは微々たるものの様です。このまま出品者が出品を取り下げると入手出来なくなると思い、入札してみたところ落札に至りました。

 サティ、かのエリック・サティの歌曲集CDで、歌うはフランスの代表的なバリトン、ラプランテです。聴き始めて驚きました。収録曲の最初は「3つの歌曲」(Trois Merodies)ですが、サティは「3つの歌曲」という作品を少なくとも2つ作曲していて、作曲年代で区別されていて私が驚いた方は先に作曲された1886年の方です。サティと言えば「ジムノペディ」や「ジュ・トゥ・ヴー」等のイメージが強くて、非常に個性的でアイロニーが効いたイメージが強いと思います。ところがこの1886年版の「3つの歌」は非常に端整で、宗教的と言うか敬虔な印象で、作曲家の名前を伏せて聞かせて作曲家を当てさせようとしても先ずは殆ど当たらないと思い舞う。あのひねくれもののサティがこんな真面目な曲も書いているんだ!というのが最初の印象です。否、正直に言えばCDのケースは確かにサティだったけど中身のCDは別のものが入っていたのではないかと慌てて確認したぐらい、衝撃的ではありました。

 幸いペトルッチ(IMSLP)のサイトに楽譜が公開されています。第1曲は「Les Anges」、僅かに28小節の作品ですが、速度表示はLentで3分弱の作品です。D-dur。ピアノ伴奏は4小節の前奏の最初の小節のみ8分音符の動きはありますが、あとはひたすら2分音符または全音符で和音を鳴らしているだけです。朗々と歌い上げる曲ではなく、語るにちかい歌い方が合う曲の様です。サティに対する評価が大きく変わるインパクトを与えてくれる曲です。是非、歌ってみたいですね。「ジュ・トゥ・ヴー」を歌った後でこの曲を歌うよりは、この「3つの歌曲」を歌った後のアンコールに同じ作曲家の作品として「ジュ・トゥ・ヴー」を歌うのが良いのではないかと思います。

 動画サイトには音源が複数公開されています。ラプランテの音源もアップされていました。

 それにしても有名な曲のみから勝手に作曲家に対するイメージを作っていると、いともたやすく足下をすくわれますね。嬉しい驚きです。

Erik Satie Messe des Pauvres    エリック・サティ  貧者のミサ

2015-03-07 23:29:26 | サティ
 サティにこんな曲があるなんて全く知りませんでした。幸いなことにペトルッチ(IMSLP)のサイトで楽譜が公開されています。作曲年代1893-95、混声合唱とオルガンによる曲となっています。全7曲で各曲のタイトルは 1.Kyrie eleison  2.Dixit Domine  3.Prière des orgues  4.Commune qui mundi nefas  5.Chant ecclésiastique  6.Prière pour les voyageurs et les marins en danger de mort, à la très bonne et très auguste Vierge Marie, mère de Jésus  7.Prière pour le salut de mon âme となっています。ミサ曲でありながら歌が入っているのは1曲目と2曲目だけで、2曲目はあっという間に終わってしまう短い曲です。

 楽譜をみると小節線がありません。それでも演奏を聞く限りでは拍子感はあります。サティと言えば斬新でひねくれた音楽と言うイメージがありますが、宗教曲だからか、それともオルガン曲だからか、あるいはその両方だからか、誰の作品か知らずに聞いたらとてもサティの作品とは思わないのではないでしょうか。いわゆるミサ曲の雰囲気につつまれてはいますが、和声的には現代音楽のスパイスが判る人には判るけれど判らない人には判らない程度に沢山効いていると思います。声楽パートが最初の2曲だけで終わってしまうのが残念ではありますが、パイプオルガンの響きにつつまれると言うのもなかなか良いものですね。特にこの曲ではペダルはさほど使われていませんが時折使われるペダルの低音で体全体、特に脳に心地よい低周波の振動が伝わって来ます。楽譜を見ながら聞いていて気付いたのですが、ピアノ曲の場合は殆ど左手が伴奏で右手が旋律のことが多いので、おそらくピアニストが旋律を浮き上がらせるように弾くため、右手と左手が反行する時は右手の旋律を主に聞いていることに気付きました。ところがオルガンの右手と左手が反行する時は左手=低音の動きを主に聞いています。この違いは楽器の特性の違いも影響しているでしょうね。減衰音と持続音の違いもあると思いますし、どちらの楽器も両手で最大10の音を鳴らせますが、ピアノの方が一音一音の音量や表情等を細かく表現できるのではないでしょうか。そして曲自体の特性も大きく効いていると思います。

 有名な曲の様で、動画サイトに複数の音源がアップされています。オリジナル通りの合唱付きのオルガン曲もあれば、ピアノで演奏したもの、オーケストラに編曲したものもありました。残念なことに合唱無しの純器楽曲として演奏されているものも多い様です。合唱の出番が最初だけで少ないと言うオリジナルの曲作りが合唱無しでの演奏が増える原因のひとつではあると思います。ともあれ私が聞いた限りの音源ではやはりオリジナル通りの合唱付きのオルガンでの演奏がもっともあるべき姿なのだろうと思いました。おそらくはヨーロッパの何処かの町の教会で、少人数の合唱が2階のバルコニーで歌っています。この曲は演奏会用のホールにはちょっと馴染み難いかもしれません。やはりヨーロッパの石造り、高いドーム天井のキリスト教会で歌われるところを聞いて見たいと思います。あるいは自分でも歌ってみたいですね。

Erik Satie  3 Mélodies (1887)  ELEGIE    サティ  3つの歌曲から  エレジー

2014-10-18 22:07:50 | サティ
 前々々日にマスネーのエレジーを取り上げました。エレジーと言えば多くの(フランス系の???)作曲家が作品を残していますが、その中で結構異色なエレジーがサティのエレジーでしょうか。アーンの「クロリスに」でフランス歌曲の世界の扉を開いてから、あらためて最初に購入したフランス歌曲のCDがサティの歌曲集でした。それまでは高橋アキ女史のピアノ作品のサティのCDを購入して、ジムノペディとかグノシェンヌなどでサティの音楽とはこういうものだというイメージを持っていました。歌曲集のCDはそんな私の、サティのピアノ独奏作品で勝手に作り上げていたイメージを木っ端微塵に粉砕してくれました。今現在、私はサティに対するイメージを持つことが出来ていません。

 サティの歌曲作品は非常にバラエティに富んでいて、特定のイメージで代表させることは出来ないと思っています。が、そんな中で最もサティらしくないかもしれない一つの範疇に、1886年に作曲した3つの歌曲(Trois Melodies de 1886)があり、その2曲目が「Elegie」です。1曲目が「Les Anges」、3曲目は「Sylvie」です。3曲ともLentのテンポで、伴奏のピアノ譜は殆どが2部音符で構成されています。

 最愛のものを失ったことを認識した瞬間の慟哭と言うよりは、少し時間をおいてその悲しみを少しづつ受け入れられるようになったときの、乾いたではなく、乾き始めた悲しみを歌っているように思えます。サティの歌曲としては有名な曲の様で、EMIレーベルの「ジュ・トゥ・ヴー(サティ歌曲集)」というCDにも収録されていますし、インターネットの動画サイトにも複数の音源がアップされています。どうぞ、このブログをきっかけとしてお聴き頂ければ幸いです。

Erik Satie     Je te veux           エリック サティ   貴方が欲しい

2014-08-06 20:06:06 | サティ
 レイナルド・アーンの「クロリスに」によってフランス歌曲の扉を開いた私ですが、動画サイトで「クロリスに」以外のアーンの歌曲を物色している最中にも、他の作曲家の歌曲が続々と飛び込んで来ます。その中で最初のものがサティの「ジュ・トゥ・ヴー(貴方が欲しい)」でした。

 サティの「ジュ・トゥ・ヴー」と言えば、昔から知っていました、ハイ、ピアノの独奏曲として。たしか1980年頃にピアニストの高橋アキさんがサティの全作品を演奏するとか言うムーブメントがあってサティ・ブームがあったと思います。そのブームに乗ってCDを購入して聴きました。ジムノペディ、グノシェンヌ、そしてジュ・トゥ・ヴー。ジュ・トゥ・ヴーがそもそもは歌として作曲されたと言う事は今回初めて知りました。そして女声用の歌詞と男声用の歌詞とが別々に用意されています。それもこれも動画サイトで Monsieur Bruno Laplant の音源のおかげです。

 ドレミ楽譜出版社の「フランス愛唱歌集 シャンソン・フランセーズ」という楽譜集にも採録されており女声版と男声版がそれぞれ載っています。更にこの楽譜集の優れているところは、歌詞の下に発音記号が漏れなくついているところです。と言う事で発音記号で安心してしまいまだ譜読みも何も行っていませんが、何となく歌える気になっています。しかし女声版にしろ男声版にしろ主要メロディーを3回繰り返していますので、結構長く、途中に間奏らしい間奏も無く歌いっぱなしで、とは言え流れるような旋律なので歌うほうは良いかも知れませんが聞く方は飽きてしまうかもしれません。その点男声と女声でデュエットするとちょうど良いかもしれません。Monsieur Laplant も France Duvalさん(Madameかmademoiselleか存じませんので)と音源を残しています。それによると男声が1コーラス歌い、次いで女声が1コーラス歌い、3コーラス目は男声は男声の歌詞を女声は女声の歌詞でユニゾン(実声ではオクターブ)で歌っています。これ位が聞いていても飽きずに済んでちょうど良いのではと思われます。

 どなたかワタクシメとこのようなスタイルでのデュエットをしていただける女声はおりませんか???今から気長~~~に待っていますので、興味のある方はこのブログにコメントを入れて下さいませませ。

 ところでアルバムタイトルを「ジュ・トゥ・ヴー」としたサティ歌曲集のCDも販売されています。無論「ジュ・トゥ・ヴー」も女声版と男声版がそれぞれ収録されています。それ以外の曲を聞くと「ジュ・トゥ・ヴー」以上にそれまでのサティのイメージを覆してくれます。それら「ジュ・トゥ・ヴー」以外の曲については、まだ十分に聴きこんで咀嚼しきれていないので、いずれあらためて取り上げられたらと考えています。



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 さて、宣伝です。

 来る8月24日(日) 大人の学芸会サマー・フェスティバル で

 レイナルド・アーンの歌曲;「クロリス」、「夜に」、+もう1曲ぐらい

 歌わせて頂きます。 @門前仲町徒歩10分 Symphony Salon

            13:00-18:00

 このブログを見て興味を持っていただいた方は、宜しかったらお聞きにいらして

 下さいませ。なおサマー・フェスティバルは器楽アンサンブルが中心で声楽は

 少数派ではあります。