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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

理想のフルート

2017-03-17 23:00:42 | 器楽・楽器

 声楽を学んできた立場からすると、器楽というものは楽器を複数用意して交換して演奏することが出来ることが何ともうらやましい様に感じます。もっともそのためには財力が必要になりますが。しかし声楽では親から授かった自分の声帯の特性によって声質が決まってしまい、いくら歌いたいと思ってもバリトンやバスが「誰も寝てはならぬ」を歌うことは難しいですね。ところがフルートであればピッコロに持ち替えれば更に高音域に、アルトフルートやバスフルートに持ち替えれば低音域を容易に広げることが出来ます。

 さて、フルートに限らず現在の木管楽器というものは全て理想からはかけ離れたもので、常に音程を微妙に調整しながら吹奏する必要があるのだとか。管体にトーンホールという多数の穴を開けて、キィを操作して特定のトーンホールを開け閉めすることで管体の実効的な長さを変えることで音程を作ることが原理ですね。倍音をつかってオクターブ音程を上げると開放端補正も変わるので音程が微妙に変わるのは当然と思います。さて、フルートやサキソフォンでは金属製の管体から平面上のタンポがトーンホールを閉じられるように側壁が立ち上がっています。なので管体の中にある空気の立場で眺めてみると、管体のあちこちに凸凹があることになります。これらの凸凹の空間が理想的な管体からのズレを生む一つの原因にもなっているのではないかと気になります。

 つまり単純なパイプ状の管体にトーンホールを開けただけで、側壁の立ち上がりのない形状の方が理想的なフルートになるのではないかと思うのですが。バロックフルート等の古いフルートは木製で管の厚みがある一方でトーンホールの大きさは小さく、人間の指だけで開閉していた訳です。現代フルートの父と呼ぶべきドイツ人のベームにより改良されたモダンフルートで、金属製の管体で管の厚みが薄くなり、トーンホールが大きくなり側壁が立ち上がってタンポでトーンホールを開閉するようになりました。当時の金属工作の精度や技術では側壁の立ち上がりのない湾曲したトーンホールを正確に開け閉めする機構を作成することは至難の業だったと思います。しかし現代の様々な加工技術や素材を用いれば、側壁の立ち上がりのない理想的なパイプ状の管体に、湾曲したトーンホールを直接開閉するタンポを用いることも不可能ではない様に思うのですが。

 そうすると、より抵抗なく息を流せて、遠達性のある豊かな音が吹奏できるのではないかと思うのですが如何でしょうか・・・。これまでにも合成樹脂製のタンポ等が提案されているようですが、いまだに昔からのフェルトに豚の腸だか魚の皮だかを貼ったタンポが使われています。髪の毛一本分の狂いでも音が出なくなる等と言われているようですが、現時点では半信半疑です。デリケートな演奏技術が身についてくると、クラシックスタイルの楽器が一番だと言うようになるのでしょうか。そう言えるようになるぐらいまで演奏技術を身につけてみたいものです。


木管楽器の音源

2017-03-10 21:58:47 | 器楽・楽器

 CD等の録音音源に限ることではなく、生演奏の際にも当てはまるのですが、弦楽器や鍵盤楽器、金管楽器にはない雑音が木管楽器には付随します。お分かりの方もいらっしゃると思いますが、トーンホールを抑えるタンポの音がパタパタ聞こえますよね。オーケストラの演奏会ではさすがに木管楽器のタンポの音まで聞こえることはないかと思いますが、木管楽器のソロやアンサンブルのリサイタルでは、前方の席に座った聴衆には結構聞こえるのではないでしょうか。

 タンポのパタパタ音を含めて木管楽器の音楽であると受容出来てしまう心の広い聴衆もいると思いますが、生演奏では気にならなくてもCD等の録音音源を再生した際には結構気になりましょうか。特に異なるCDを続けて聞いた時に、前に聞いた方の録音ではほとんどタンポの音がしなかったのに後から聞いた録音でタンポの音がパタパタ目立ってしまうと結構気になってしまいますね。それでも音楽を邪魔しない程度であれば良いのですが、録音の仕方でかなり抑えることが出来ると思っているので、タンポの音が目立つ録音だと演奏家と録音技術者の双方ともに仕上がりの再生時点でのタンポの音にまで気配りされていないということで興ざめしてしまいます。

 簡単に言えば楽器からマイクを離せばタンポの音は拾い難くなります。タンポの音が目立つのはマイクを楽器に近づけすぎているからです。マイクを楽器に近づけたいという心理には、出来るだけ周囲の余分な雑音を拾わずに楽器の音だけを拾いたいということだと思いますが、そのためにタンポのパタパタ音まで拾ってしまうのは、片手落ちというか配慮が足りないと思います。

 最近は通勤電車の往復時にもフルートを初めとする器楽曲を聞くことが多くなっていますが、録音によって殆どタンポの音を拾っていないCDもあれば、タンポの音がふんだんにちりばめられている録音もあり、タンポの音を気にしない人が多いのかなと訝しがっている今日この頃です。


フルートに関してあらためて知ったことなど

2017-03-09 22:05:23 | 器楽・楽器

 楽器を購入して自分でフルートを吹こうと思い立ってから、インターネットなどであらためてフルートに関する情報を諸々仕入れています。

 まず、フルートに限らず木管楽器とは音程が不確かなため常に気を使って自分で音程を微調整しなければならない楽器だ、という主旨の記述を見かけました。木管楽器の音程は基本的に管の長さで決まり、途中の音階は管に開けられたトーンホールの開閉で行われます。オクターブについては基音に対する倍音を使用します。さて基本的に管の長さで音程が決まりますが、実際には管の長さよりも僅かに長い長さで音程が決まります。この不一致を開口端補正と言いますが、開口端補正の量自体が周波数=音の高さに関して依存性があるので、オクターブが変わると微妙に音程関係も変わるというのは、理系人間の私としては理解しやすいものです。

 先人たちはそのために必要な補正方法を経験的に見出していた様で、ベームが改良したモダンフルート以前の木製のバロックフルートというかフルートトラヴェルソの管径は、実はストレートではないそうで、吹き口から開口端に向けて先細りのテーパーがついていたそうです。対してベームが改良したモダンふるーとでは管体はストレートの管径になっているそうですが、頭部管がマウスピースから本外部に向けて末広がりのテーパーになっているそうです。そう思ってみるとなるほど頭部管が僅かにテーパーになっているのが判ります。この頭部管のテーパーのプロファイルがメーカーによって異なるし、メーカーによっては同一メーカー内で異なるテーパープロファイルをもった頭部管を何種類か用意しているところもあるそうです。

 木管楽器や金管楽器の内部で生成する定在波=特定の音程を持った音は、流体力学に基づいたコンピューターシミュレーションが有効に機能する対象です。大手の楽器メーカーであればコンピューターシミュレーションを駆使して、トーンホールの位置や大きさなどの最適化を行っているかと思います。しかしそれだけで楽器の良しあしが決定されるわけではなく、材質や仕上げについての様々な経験やノウハウが活きる世界でもあります。その点でコンピューターシミュレーションを利用しない小メーカーであっても、それまでの経験値の蓄積等によって大手メーカーをしのぐ楽器を世に出すこともまだまだ十分に出来るでしょうね。


習ってみなければ判らない フルート事始め 構え方

2017-03-08 22:38:15 | 器楽・楽器

 楽器を入手して、とりあえず構えて鳴らそうと思ったら音が出ました。めでたしめでたし、後は教則本で練習すれば上達する、という訳にはなかなか行きません。何事も基本が肝心。フルートの構え方を間違える人はいないと思いますが、見た目の格好だけ同じでも力加減が正しいとは限りません。フルートの支え方は3点支持で、右手親指と左手人差し指の付け根、そして下唇の3点ですね。要は力加減ですが習って初めて認識したのが、思ったよりもかなり強く下唇に押し付けるという点ですね。右手親指が支点で左手人差し指の付け根が力点、下唇が作用点になります。左手人差し指付け根で楽器を下唇にかなり強く押し付けるという意識が必要です。

 フルートの歌口を下唇に押し付ける力が弱いと、右手の指から左手の指を次々に開放していったときに楽器を支えきれずに管体が回転して歌口がずれたり、正常な演奏が出来なくなってしまいます。両手の指がキィ=トーンホールを押さえるパターンが目まぐるしく変わっても、楽器が安定して保持されていなければ早いパッセージは吹けません。体験レッスンで正しい保持の仕方(力の入れ具合)を教えてもらっていなければ、いまだに必要な力とは程遠い弱い力加減で指使いが変わるたびに楽器の保持が怪しくなって指使いも暴れてしまうという、素人の判っていない体たらくで教則本を練習しても上達は見込めないでしょうね。

 3点支持で思いのほか強く下唇に押し付ける以外にも、楽器の構えは左右の肩を結ぶ線と平行にするのではなく、右側=足管側を体から離すように前に突き出す感じ、その為に頭はやや左側に向けるそうです。なるほど、言われてみればフルーティストの皆さんはその様に構えられていますね。やはりきちんと教わるということが大切ですね。特に最初ほど決定的に重要だと思います。決定的に重要というのは、そのことを確認しているかしていないかでその後の上達スピードに大きな差がつく、という意味です。


愛好者人口密度

2017-03-03 22:21:26 | 器楽・楽器

 フルートのレッスンを受けようとして、ネットで自宅付近のフルート教室を探したところ、あっという間に生活圏内に個人のフルート教室を3つも発見しました。これは声楽教室やヴァイオリン教室に比べて、明らかに多いと思います。もしかしたら桁が違うくらい多いかも知れません。

 日本の管楽器人口の多くを支えているのは、(小?)中高(大学?)の吹奏楽部であることは間違いないでしょう。吹奏楽の中でもフルートは人気の楽器だと思います。また、木管楽器の中でもクラリネット、オーボエ、ファゴットはクラシックが主体の楽器と思われます。一方でサキソフォーンはジャズに馴染みが深い楽器ですね。その点フルートはクラシックでもポピュラー音楽でも使用頻度の高い楽器と言えましょうか。ついでに言えば金管楽器ではホルンはクラシック主体ですが、トランペットとトロンボーンはクラシックにもポピュラー音楽でも活躍する楽器と言えるでしょう。

 フルートの人気が高い理由の一つには、楽器が小さく軽いということもあるでしょうね。私自身、フルートを吹こうと思った理由の大きい部分がまさに小さくて軽く、持ち運びが苦にならないということがあります。また入門用の楽器であれば他の楽器に比べて安価に手に入れることが出来るということも大きいですね。

 人気のある楽器なので、クラシック嗜好のアマチュアフルーティストがアマチュアオーケストラに入団しようとしても、競争が激しいんでしょうね。何となく小耳にはさんだ話ですが、音大のフルート科を卒業したくらいの演奏技術をもっていないとアマチュアオーケストラのフルーティストには成れないようなことも聞きましたが、本当でしょうか?そんなこともあり、私自身はこれからフルートを始めたとしてアマチュアオーケストラにフルーティストとして入団しようという気持ちはさらさらありません。フルート教室の発表会などで時々独奏やピアノ伴奏で、あるいはデュオやトリオ、カルテット等のアンサンブルが楽しめれば大満足と思っています。さらにや世の中にはフルート属の楽器(ピッコロ、フルート、アルトフルート、バスフルート、更に低音フルート)のみからなるフルートオーケストラというものもありますね。

 ともあれ愛好者(演奏家)人口が多いということはフルート教室の数も多く、フルート教室の数が多いということは教室間の競争もあり、また生徒数が多いことから薄利多売というか、レッスン料単価を下げて生徒数を増やすことでフルート教師も経済的に成り立つことが出来る、ということでレッスン料は声楽やヴァイオリンに比べて比較的安価という気がします。様々な意味で数は力ですね。