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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

Gabriel Fauré Romain Bussine Après un rêve  フォーレ作曲 ビュシーヌ作詞 夢のあとに

2015-01-20 23:02:53 | フォーレ
 レイナルド・アーンの「クロリスに」という歌曲を聞いて、自分でもフランス歌曲を歌いたくなり、現在「クロリスに」を含むアーンの歌曲を4~5曲ほど歌える様にしています。5月の演奏会ではイタリアオペラ、ヴェルディの「リゴレット」からアリアと重唱が候補となっているので、フランス歌曲までは歌えないだろうと思っていたところ、先生よりアーンの「クロリスに」とフォーレの「夢のあとに」を歌ってはどうかと言われました。フォーレの「夢のあとに」は、フランス歌曲を代表すると言っても過言ではない作品で、言われるまでもなく自分でも何時でも歌える様にしておきたいと思っている曲です。しかし先生から指名されると正直逡巡してしまう部分があります。

 それは歌詞の内容です。夢の中で思いを寄せる相手に手を引かれ、光の中を飛び回り、目が覚めると思いを寄せる相手はいない、あの素晴らしい夢をもう一度返してくれ、という様な主旨です。人生も後半にさしかかりドップリ黄昏ているオジにとっては全く違和感を感じることなく歌える内容とは言い難くはありませんか??? トスティにも「夢」という秀作がありますが、トスティの「夢」の方がまだ現実的な内容で、しかもトスティの「夢」は長調ですがフォーレの「夢のあとに」は短調で貫徹しています。日本では初等義務教育の音楽で長調は明るく楽しい曲、短調は暗く悲しい曲という刷り込みがされるので、日本人は長調は明るい短調は暗いと思っているが、ヨーロッパの人たちにとっては長調だから明るいとか短調だから悲しいと言うイメージは日本人ほど強くない、という話を聞いた(読んだ)記憶があります。

 フォーレの「夢のあとに」は短調で始まりそのまま最後まで短調のままで歌われますが、歌詞の内容は必ずしも日本人のイメージする暗く悲しいものではないように思います。それから旋律は大変美しく、器楽独奏に編曲されて様々な楽器で演奏されてもいます。ピアノの伴奏は淡々と8分音符を重ねるシンプルなもので、前奏が僅か1小節、後奏は2分音符の和音のみ、間奏はなし、徹頭徹尾歌が主役です。技巧を聞かせる歌でもなく、最も良い声で歌い続ける技術こそが「夢のあとに」では求められると思います。この意味では本当にチャレンジングな曲ですね、特に今の私にとっては。相手にとって不足はありません。本番では聞いてくれた方々をうならせる様な歌唱をして見たいものです。そういえば本番ではリゴレットも歌うんだった!!! 一部でフランス歌曲、二部でリゴレットにして貰わないと、リゴレットを歌ったあとでフランス歌曲なんて歌えません!!!


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 今後の予定です。

 ・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会
 ・6月10日 市民オペラ「リゴレット」合唱参加
 ・6月11日 市民オペラ「リゴレット」マルッロ

Gabriel Fauré Romain Bussine Après un rêve Op.7-1 フォーレ作曲 ビュシーヌ作詞 夢のあとに

2014-08-29 20:58:52 | フォーレ
 大変に有名なフォーレの作品です。題名を聞いてそれと判らなくてもメロディーを聴けば大抵の人は聴いたことがあると思います。ただ、歌として知っているかというと???です。フォーレは歌曲として作曲していますが、チェロの大家のカザルスがチェロの独奏用に編曲し、これがなかなか良いということで、ヴァイオリン、フルート、オーボエ、ヴィオラ、コントラバス、ピアノ独奏、弦楽アンサンブル等々、様々な楽器で演奏されています。私自身も最近まで器楽曲として認識していました。インターネットの動画サイトを見ても、歌曲としてのものより器楽演奏による音源の方が多いのではないかと思うくらいです。

 詩の内容は、夢の中で理想の恋人との至福のときを過ごしていたが、夢が覚めたら恋人が居ない、もう一度夢の中に戻しておくれ、とまあ、ざっくりこういったものです。様々な楽器の独奏曲とされてもいる様に、声楽曲としても女声が歌っても良く男声が歌っても良く、高声系が歌うなら透明感のある声で、低声系が歌うなら倍音に溢れた豊かな声で歌って欲しいとは思いますが、一定水準の演奏技術さえ持っていてくれれば誰が歌っても良いと思います。

 ところで、レイナルド・アーンの「クロリスに」との出会いによってフランス歌曲の世界の扉が開かれた私ですが、2~3年前に、ふとフランス歌曲も聞いてみようと思い立ったことがありました。あまり個性が強すぎないものとして、レクイエムからの発想でフォーレが良いだろうと思い、コストパフォーマンスも考慮して紙箱入りの4枚組みCD全曲集を購入しました。ポータブルオーディオプレーヤーに放り込んで一通り聞きましたが、その時は特にピンと来るものはありませんでした。その後も思い出したように時々聞くことはありましたが、歌ってみたいと思ったことはありませんでした。「クロリスに」を聴いて自分でも歌いたくなり、フランス帰りの声楽の先生に師事してアーンの曲をさらい始めた頃から、アーン以外のフランス歌曲についても自分で歌える歌が無いかと精力的に探し始めました。その時点でフォーレの歌曲だったら「夢のあとに」、これ一曲だけで十分と感じました。ただ余りにも有名すぎて特に歌いたいとも思いませんでした。その後サティとか、プーランク、デュパルク、ショーソン等、他の作曲家の作品などを聴いているうちに、何故かじわじわとフォーレの「夢のあとに」が自分の中で存在感を増していることに気がつきました。今は必ず自分のレパートリーに加える積りです。本番で歌う予定は今のところありませんが、年内には人前で歌って恥ずかしくないレベルに仕上げておく積りです。

Gabriel Fauré  Après un rêve     ガブリエル・フォーレ 夢のあとに

2014-08-08 20:44:36 | フォーレ
 フォーレの歌曲「夢のあとに」。レイナルド・アーンの「クロリスに」に出会ってフランス歌曲に目覚めるはるか以前から、この曲は知っていました。ただ、歌曲とは知らずに器楽曲だとばかり思っていました。そういえば数年前に漠然とフランス歌曲も聞いてみようと思いフォーレの歌曲集CD4枚組みを購入してモバイルプレーヤーに放り込んで聞いたことがありますが、もちろんその中にも収録されていましたが、その時も特にピンと来るものはありませんでした。

 私が尊敬してやまないカザルスがこの曲を歌曲からチェロ独奏曲に編曲したそうで、そこから様々な楽器で演奏されるようになったそうですね。チェロ、ヴァイオリン、コントラバス、フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネット、サキソフォーン、フリューゲルホルン、ハープ、オルガン等など。コントラバス奏者がレパートリーに加えたい気持ちは痛いほどわかりますが、単純に聞く側からすれば弦楽器であればチェロ、次いでヴァイオリンが宜しいかと思います。木管楽器はフルートが多いようですが、私としてはエアーリードのフルートやダブルリードのオーボエやファゴットよりも、シングルリードのクラリネットやサキソフォーンの方が曲のニュアンスを再現するのに適しているような気がします。サキソフォーンならアルトかソプラノでしょうか。ハープ伴奏はなかなか良い感じで、歌うときの伴奏も機会さえあれば是非ハープ伴奏で歌ってみたいと思います。オルガンはこの曲の速度感を今一つ表現しきれない様に思います。

 動画サイトでフランス歌曲を漁っていれば当然この曲も出てくるわけで、あらためて歌曲として聴いてみました。悪くありません。いやいやなかなか名曲ではありませんか。自分の中で数日間かけて、じわじわとこの曲の存在感が大きくなって来ました。逆にフォーレの歌曲は「夢のあとに」一曲だけ、これだけ歌える様にしておけば良い、という感じになって来ました。今月中に本番を控えているのでそれが終わるまではフォーレの「夢のあとに」に取り組むことは出来ませんが、それでも自分で歌う積りで楽譜を見ながら音源を聴いていると、流れるように綺麗なこの曲の難しさが何となくわかって来ます。まず4分の3拍子の前奏が僅か1小節、ppで和音を刻む8分音符が6回叩いたところでクレシェンドしながらの上行音形で歌いだし、3連譜の下降音形を繰り返して2分音符4分音符と落ち着いたところで6度の跳躍と、さすがはフォーレさん歌唱技術を駆使させてくれるじゃないの、と言う感じです。この曲が人気があるのはその旋律の美しさにあると思いますが、その旋律の美しさを活かすには絶対に重たくなってはいけないと思います。モーツァルトの交響曲第40番を「疾走する悲しさ」と評したのは評論家の小林秀雄だったかと思いますが、フォーレの「夢のあとに」も疾走感が必要だと思います。そして曲全体を貫く均質感も重要だと思います。例えて言うなら音符の一つ一つが独立して感じられるような粒餡ではなく肌理の細かい漉し餡の様でなければなりません。望むらくは透明感のある水羊羹の様に歌えればなお宜しいかと。何時の日か透明感を湛えつつくっきりとした琥珀色のコーヒーゼリーの様な「夢のあとに」を歌えればと思っています。


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 さて、宣伝です。

 来る8月24日(日) 大人の学芸会サマー・フェスティバル で

 レイナルド・アーンの歌曲;「クロリス」、「夜に」、+もう1曲ぐらい

 歌わせて頂きます。 @門前仲町徒歩10分 Symphony Salon

            13:00-18:00

 このブログを見て興味を持っていただいた方は、宜しかったらお聞きにいらして

 下さいませ。なおサマー・フェスティバルは器楽アンサンブルが中心で声楽は

 少数派ではあります。

Faure Requiem   フォーレのレクイエム

2014-07-27 08:22:07 | フォーレ
 合唱人でクラシック音楽愛好家なら、誰でも歌って見たいと思うのではないだろうか。モーツァルト、ヴェルディのレクイエムと合わせて三大レクイエムとされている。三大レクイエムの中でも飛びぬけて端整で、穏やかで、sophisticateな、ただただ美しい曲である。日頃クラシック音楽に縁遠い人に初めて聞かせても、きれいな曲だね、と言うだろうし、この曲を好きじゃないという人は居ないだろう。

 アマチュアオーケストラの創立○○年記念演奏会でカルミナ・ブラーナを歌った次の本番として、その時の市民合唱団で、別のアマチュアオーケストラで、ホールは音のよさで有名な、パイプオルガンが設置されている、大ホールで歌いました。至福のひと時でした。

 何故これほどまでに端整で穏やかで美しいのか、無論フォーレの才能に依るのだろうけれど、もう一歩踏み込んでみると、めずらしく第一ヴァイオリンよりもヴィオラの方が活躍しているのが、その一因ではないかと思う。オーケストラの後で見ていると、本当に第一ヴァイオリンが暇そうにしている。フォーレの初稿では弦楽の中でヴァイオリンがそもそも使われていなかったようである。

 初演の際には、レクイエムとしてはあまりに斬新過ぎて不評だったらしい。最もレクイエムは宗教儀式に使われるものとして厳密にその様式が決められているが、ディエス・イレが無いなどと様式・形式的な逸脱に対する批判だった可能性もあると思っている。

 第4曲の Pie Jesu はソプラノの独唱のため、独立してソプラノのコンサートピースとして演奏会で歌われたり、CD等の音源媒体に収録されたりしている。

 第6曲の Libera me はバリトン独唱と合唱が交互に登場する。Libera me の旋律も非常に印象的で、バリトンとしてもコンサートピースとして歌いたいのであるが、そうするには短すぎるのが大変残念である。会社の合唱好きのオジサン達の飲み会で、その場で歌える歌を次から次と歌っているうちに、やがて歌える歌が尽きてくると、ひたすらフォーレのレクイエムの Libera me を繰り返して歌ったこともありました。

 機会さえあれば合唱でも何度でも歌いたい曲です。しかしそれ以上に一度で良いからバリトン独唱を歌わせてくれるところはありませんかね、チケットノルマウン万円承っても構いません。宜しくお願いします。


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 さて、宣伝です。

 来る8月24日(日) 大人の学芸会サマー・フェスティバル で

 レイナルド・アーンの歌曲;「クロリス」、「夜に」、+もう1曲ぐらい

 歌わせて頂きます。 @門前仲町徒歩10分 Symphony Salon

            13:00-18:00

 このブログを見て興味を持っていただいた方は、宜しかったらお聞きにいらして

 下さいませ。なおサマー・フェスティバルは器楽アンサンブルが中心で声楽は

 少数派ではあります。