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生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

Reynaldo Hahn L'hnamouree  レイナルド・アーン 恋する乙女

2014-08-05 20:48:54 | アーン
 レイナルド・アーンの歌曲、「恋する乙女」である。「恋されるひと」とか「愛される人」という様な邦題もあるようだ。
Des-dur 4分の3拍子 lentのゆったりとしたリズムで、歌の旋律とピアノの間奏が互い違いに繰り返す。ピアノの左手は途中から16分音符の5連譜のアルペジオとなり、歌の旋律は時として3連譜でピアノ伴奏にからむ。この曲も初めて聞いたときから印象に残る曲であるが、何故か「クロリスに」や「私の詩に翼があったなら」に比べると、動画サイトにアップされた音源もネット上のその他の情報も、顕著に少ない。ということで私が聞いた音源は全てピアノ伴奏のものばかりである。尤も印象的な間奏はピアノの打楽器的な特徴を活かしていると思うので、ハープで伴奏するとややインパクトが弱くなると思う。それでも間奏以外をハープで伴奏してもらい、間奏部分をヴァイオリンや木管楽器で演奏してもらうという手もあるだろう。
この曲もさらう積りで楽譜はダウンロードしているが、24日の本番で歌う予定には入っていないため譜読みは始めていない。24日が終わった後でゆっくりと歌ってみたいと思っている。

 ということでこの曲についてはあまり書くことがないので、レイナルド・アーンについて少し記す。ウィキペディアに依れば、アーンの父親はドイツ系ユダヤ人で母親はスペイン系バスク人。1875年にベネズエラに生まれフランスへ移住、1912年にフランスに帰化し、1947に没した。1870年代に生まれた有名な作曲家を並べてみると

         スクリャービン  1872-1915
         ラフマニノフ   1873-1943
         シェーンベルク  1874-1951
         ラヴェル     1875-1937
         アーン      1875-1947
         ドナウディ    1879-1925
         レスピーギ    1879-1936

 アーンが生まれる9年前の1866年にエリック・サティが生まれており、パオロ・トスティは1846-1916である。こうしてみると19世紀後半から20世紀前半にかけて各国でそれぞれ独自のスタイルをもった歌曲が爛熟し、またロマン派音楽から現代音楽への架け橋となった様々な音楽史的な画期となる重要な作品が制作されたことが再確認出来るようだ。



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 さて、宣伝です。

 来る8月24日(日) 大人の学芸会サマー・フェスティバル で

 レイナルド・アーンの歌曲;「クロリス」、「夜に」、+もう1曲ぐらい

 歌わせて頂きます。 @門前仲町徒歩10分 Symphony Salon

            13:00-18:00

 このブログを見て興味を持っていただいた方は、宜しかったらお聞きにいらして

 下さいませ。なおサマー・フェスティバルは器楽アンサンブルが中心で声楽は

 少数派ではあります。

Reynaldo Hahn   Si mes vers avaient des ailes  レイナルド・アーン   私の詩に翼があったなら

2014-08-04 20:14:40 | アーン
 レイナルド・アーンの「私の詩に翼があったなら」である。アーンの歌曲の中で「クロリスに」を差し置いて最も有名な曲だそうである。アーン13歳の時の作品(1歳ぐらいの前後があるかも知れません)。もっともこれまでに挙げてきたアーンの歌曲は殆ど10代の作品である。天才音楽少年としての地位を築いたのがこの曲だったということかも知れない。

 ともあれアーンの歌曲の典型的なスタイルが既にこの曲に高い完成度で見られる。ニ長調、4分の4拍子、アンダンテ モデラートのゆったりとしたテンポ、波のように反復する16分音符のアルペジオ。付点や3連譜を使うセンスのよさが光っている。動画サイトの音源も聞き切れないほどアップされている。オリジナルはピアノ伴奏だが、無論ハープ伴奏もある。従って「クロリスに」、「恍惚の時」と合わせてハープ伴奏で歌ってみたいと自然に思う。

 しかし、初めて聞くアーンの曲が「クロリスに」ではなくこの曲だったら、おそらくフランス帰りの先生を探してまで自分で歌いたいとは思わなかったのではないか、と思う。いやいい曲なんですよ、この「私の詩に翼があったなら」は。何と言っても詩はヴィクトル・ユーゴーの作です。ただ、あまりにも完成度が高く、出来すぎていて、近寄りがたい美人で頭の良い転校生という様な印象があります。自分が手を出すには気が引ける、という感じでしょうか。

 そうは言ってもこの曲もさらっております。印象に違わず歌う分にはかなり難しい歌です。ほぼ同じ上行音形のフレーズが3回出てくるのですが、2回目がクレッシェンドしてfでロングトーンになります。その時の母音がイなので喉を開け辛く引っ込んだ音色になりがちです。ここでどれだけ美しい声で歌えるかが一つの勝負になります。そして3回目は逆にデュミヌエンドしながら上行してpでロングトーン。そして最後はpppでレントにスローダウンして終わります。歌うだけなら直ぐに歌えます。しかし美しく歌おうと思うと、水面を泳ぐ白鳥と同じで、人には見えない水面下で必死に足を掻いている必要があります。イタリア歌曲とはまた違った難しさ、基本の重要さを思い知らされる曲です。声を張り上げれば良いという歌とは正反対です。声楽の初学者がいきなり取り組むべき曲でない事が良く判りました。先ずはイタリア歌曲で口の中の開け方と息の流し方を身につける必要があります。しかし、ある程度発声の基礎が出来てきたら、フランス歌曲あるいはフランス語のオペラアリアもどんどん歌ってほしいと思います。そこにはイタリア語やドイツ語の歌曲やアリアの世界とは異なる魅力をもっている、大きな世界が広がっていますよ。



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Reynald Hahn L'Heure exquise レイナルド・アーン 恍惚の時

2014-08-03 14:00:26 | アーン
 アーンの歌曲、こちらは「Dans la nuit」と異なり日本でも有名な様である。「L'Heure exquise」の日本語訳としては、「魅惑の時」とか、「素敵な時」等とも訳されている。歌曲集「7 Chansons grises」の中の1曲で、この歌曲集の中では唯一この曲だけが単独のpdfファイルとしてダウンロード出来るようだ。

 ネットからダウンロードした楽譜を見ると、H-dur、8分の6拍子で Tranquillo e dolce possibile と記載されている。アーンの15歳の時の作品らしい。どこまでも穏やかで優しい表情の歌ではあるが、pianoはあくまでも8分の6拍子を刻んでいるのに対して旋律にはところどとろに2連譜を入れることで、歌と伴奏との緊張感を加えている。これが何とも心地よいスパイスとなっている。

 動画サイトで検索すると、女声の音源も男声の音源も多数ある。自分の不明を恥じるばかりだが、何と Dietrich Fischer=Dieskau の音源もあった。美声ですよね。透明度の高いソプラノで歌われてもそれはそれで良いのだが、この曲に限らず、またアーンの作品に限らず、フランス歌曲=メロディー・フランセーズには、低声系、重苦しくない、軽やかなバリトンが合うと思う。フレンチ・バリトンと思われる Bruno Laplante の音源もあり、録音のクオリティも高く、申し分ないが、 Dietrich Fischer=Dieskau というネーム・ヴァリューだけでハハァーと平伏してしまいます。軽く深い、耳障りな成分を全く含まない高貴な声、押し付けがましさは微塵も無いのにもう声を聞いただけで説得されてしまう。こういうのを必然性に裏打ちされた演奏と言うのでしょうな。題名の通りの「恍惚の時」が終わらずに何時までも続いて欲しいと願ってしまう一時でした。

 ハープ伴奏で歌っている動画もあって、「クロリスに」と合わせて何時の日にかハープ伴奏で歌う曲の候補にもちろんなるのだけれど、 Dietrich Fischer=Dieskau の様に軽く深い、重苦しさの全く無い豊かな声をどうすれば出す事が出来るのか、声の良し悪しが強調される曲でもあると思います。8月24日のプログラムはまだ確定していないが、持ち時間をもらえればこの曲も歌いたいと思い準備はしています。



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Reynaldo Hahn Dans la nuit レイナルド・アーン  夜に

2014-08-02 11:53:06 | アーン
 「クロリスに」の楽譜をダウンロードサイトから入手したが、フランス語は読めないので歌えない。しばらく放って置いたが「クロリスに」を自分でも歌いたいという思いは一向に治まらない。ある日ネットを彷徨っていると、何と自宅の傍にフランス帰りの女流声楽家(またまた古い表現で恐縮です)が声楽教室を開いている事を見つけ、後先何も考えずに「クロリスに」を歌える様に教えて下さい、とメールでレッスンを依頼した。これがまたきっかけとなって、「クロリスに」一曲だけではフランス歌曲を十分に理解する事はできないだろう、よし先ずはアーンの曲から片っ端から聞いてみよう、と思い動画サイトでアーンの曲を漁りました。一流どころの女声陣の音源が多数アップされていますが、男声陣の音源もあります。ホセ・カレーラスやフィッシャー=ディスカウの音源もありました。そのうちどうやらフランス人のバリトンらしい Bruno Laplante という歌手の音源が系統的に多数アップされていることに気付き、彼を中心に聞くようになりました。Laplante の音源を中心にアーンの曲を十数曲聞いて、代表的な作品はほぼ聞いたかなと思ったところで、それまでに出来つつあったアーンのイメージとは全く異なる、激しい音の奔流が襲って来ました。それが Dans la nuit (夜に)です。思わず別の作曲家の作品を間違って聞いてしまったのかと確認しなおした程です。

 伴奏のピアノは16分音符の4連、5連譜、5連譜、4連が一小節となり、断崖に打ち寄せる大波と砕け散る白い波頭を表しているかの様。何かに似ていると思い続けて数日、そうだラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第1楽章の曲想に良く似ている、と気付いてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を聴いてみた。違うと言えば全く違う曲ではあるが、その隠し様の無い激情とも言うべき曲想は、共通するものがあると思う。うねるピアノ伴奏の上に乗る歌の旋律も4部音符の2拍三連を多用する等、不安定さを疾走する速度感で支える、そこがこの曲の魅力だろう。但し残念な事に、その速度感のためにあっという間に終わってしまう。演奏時間として1分半ほどである。この短さが仇となってか、あるいは曲想が他のアーンの曲と余りにも違いすぎるからか、あまり人気のある曲ではなさそうである。アーンの他の曲に比べ、アップされている動画の数が極端に少ない。 Bruno Laplante と Dans la nuit で検索してもヒットしない。それどころか Dans la nuit だけで動画サイトを検索するとサラ・ブライトマンが歌うショパンの分かれの曲が出てきたりする。動画サイトだけでなく歌詞の日本語訳を検索しても全く見つからない。仕方なく Dans la nuit と translation で検索して漸く英語訳を見つけたが、しっかりと著作権があるので勝手に流用するなと赤字の注意書きがある。ともあれその英文を基に拙い日本語訳を試みると、

 夜に、風の中で、人気の無い断崖の端まで来て座ろうとする。

 私の心がこの地上に作ろうとする貴方の音が、私には聞えない時。

 貴方を満足させる事のない逆巻く大海。

 私の顔に波の華(泡)が。

 一波くれば貴方は貴方の苦渋の中での眠りに私を誘う。

 ということにでもなろうか。今一つ意味をとりにくい。どなたかにもっと良い日本語訳をご教授願いたいところである。なお拙訳については私の著作物になるので、使用したい方はこのブログのコメントとしてご連絡をお願いします。

 兎に角格好良い曲なんですよ。特に「クロリスに」と同じステージで歌うと絶好の好対照で、アーンの世界が単に優しく綺麗なだけのものではないことを、雄弁に語ってくれると思う。初めて聴いたときには自分に歌えるだろうか、と思いましたが、兎に角音源を作って聞き込んで、ヴォカリーズで旋律を追っかけるところから始めるうちに、何とか歌いこなす事が出来そうな手応えを感じています。全体に緊張感のみなぎっている曲なので、全てを思いっきり歌うのではなくメリハリをつけて控えめに歌うべきところは控えめに歌えというのが先生のご指摘です。


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Reynaldo Hahn A Chloris レイナルド・アーン クロリスに

2014-08-01 19:40:10 | アーン
 オーケストラでの合唱曲が続いたが、新しい月に入ったこともあるので、独唱曲に戻ろうと思う。

 昨年の11月だったと思う。名門私立音大の寮で同室だったという3人の女流演奏家(今時こんな言葉は死語でしょうか)のジョイント・コンサートがあった。フランス留学の経験がある稲垣絢子さんというソプラノの声楽家の声でこの曲を聴いた。そこで初めて聴くまで、アーンという作曲家がいることも、「クロリスに」という美しい曲があることも全く知らなかった。稲垣さんご自身も留学中に自分のレッスンを待っているときに、前のレッスン生がこの曲に取り組んでいて、ピアノの前奏を聴いた瞬間に自分でも歌いたいと思ったそうである。私自身もピアノの前奏が鳴りだしたとたんに吸い込まれた。それほど人の心を掴む前奏である。

 2分の4拍子、Lentのテンポで、ピアノの左手はオクターブの跳躍をしながら和声の進行を司る。右手は装飾音符を思わせる16部音符の3連譜が続く。ご本人がソプラノと言っているのだから正真正銘ソプラノなのだろうけれど、稲垣さんの声は低い方の倍音が豊かで、メゾとかアルトと言われても信じてしまう、というか、声を聴いた限りでは低声系ではないかと思うほど、柔らかく豊かな声である。完全に完成された声ではなくまだ伸び代のある若い声だが、更に精進してその声の魅力を磨いて欲しいものである。いずれにしても豊かな倍音のソプラノの美声によるアーンの、程よい皮肉がスパイスとして効いた、流麗な旋律に包まれた一時を堪能した。至福の経験でした。

 帰宅して直ぐにアーンと「クロリスに」のことを調べ、ネットのダウンロードサイト(IMSLP)から「クロリスに」の楽譜を入手した。かなり有名な曲のようで動画サイトを見ると多数の動画がアップされている。歌詞の日本語訳も色々なサイトに出ている。歌詞を見ると女性が男性を想って歌う歌というよりも、男性が女性を想って歌う歌のようである。イタリア歌曲の歌詞は熱烈な恋愛を歌っているものもあるが、案外女々しい失恋の歌等もある。この「クロリスに」も大変な恋愛を歌い上げていると思う。相手から愛されているという自信に裏打ちされて、相思相愛を正面から賛美している歌だと思う。「君が僕を愛しているなら」と言いながら、「君が僕を愛している事は知っているよ」と堂々とのたまう。こういう詩はイタリア歌曲にはあまり無い様に思う。若い男女の今を歌っているのかもしれないが、私にとっては初老と言っても良い年代の男が、越し方を振り返ればこんな昔もあったと、遠い昔を呼び起こしているようにも思われる。今の私はこのようにとらえて歌っている。

 有名な曲だけあって、楽譜のダウンロードサイトにはオリジナルのピアノ伴奏譜の他に、ハープとヴァイオリンによる伴奏譜と、サクソフォーン四重奏の楽譜も載っている。動画サイトではオーケストラ伴奏も聞ける。一介のアマチュア声楽愛好家にはハーピストのお友達はいないのでハープ伴奏で歌う事は無いだろうけれど、弦楽合奏を伴奏に、前奏(間奏と後奏も)はオーボエ等の木管に奏でてもらって歌う事ができたらそのまま死んでも構わない、否その様にして生涯を完結させる事ができるなら。と、ここまで書いて、ハープ演奏会用のへそくりを始めるか、財形貯蓄を取り崩すか等すれば決して不可能な話ではないですよね。う~ん、悩んでしまう。他にもハープ伴奏で歌いたい歌を探しておかないと。


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 さて、宣伝です。

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 レイナルド・アーンの歌曲;「クロリス」、「夜に」、+もう1曲ぐらい

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            13:00-18:00

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